2-物語の始まり
広大な廃墟の中、その一部分に真新しい小規模な都市が作られていた。
面積はせいぜい40平方キロメートルで、外周を大きな塀で囲まれている。
形式上の名称を「N60-E140-6」、通称「アクセル」と呼ばれる都市だ。
――この物語は、この都市に住む一人の少年を中心に描かれていく。
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都市の西側に建設されている戦闘訓練場、その敷地内に少年はいた。
少年はここの訓練生の一員で、6年工程のうちの2年目。つまり2年生である。
今は戦乱の世なので、すべての人が必ずこの訓練所に通うことになっている。
訓練場の中の、まるで射的場のような場所に多くの訓練生が並んで
決められた的を狙い撃ちしている。しかし、飛び道具らしき物は見当たらない。
「撃つ」と言っても、「飛び道具で何かを発射する」という訳ではないようだ。
その中、12個並列している発射台の右から7番目に位置する台に
この話の主人公となる、赤い髪に真紅の瞳、加えて緩い表情を持った少年は立っていた。
「いっけぇぇぇえええーーーッ!」
少年がそう叫ぶと、掌が光を帯びた。そのまま投げるように腕を振ると
少年の手から光球が発射され、的に向かって飛んでいった。
その直後、離れた場所でドカーンと大きな爆発が起こる。
その少年の的となっていた頑丈そうな――厚さが10cm近くある、石製のボードは一撃で粉々に粉砕され、破片がその辺の地面に広範囲に渡って飛び散った。
「おおー……」と、同じ場所にいた全員が感嘆の声を上げる。
教官らしき人も目を見開き、さすがだな、と口々に言っているようで
今の光球が、いかに並外れた破壊力を持っていたのかを物語っている。
自分の番が終わった少年は、「ふう」と息を漏らしながら
自分と同じく撃ち終わった(ボードを破壊し終わった)訓練生たちが並ぶ列に向かって
歩き出し、列に加わろうとした。すると、その中から1人の少年が飛び出してきた。
「さっすがメル!相変わらず凄いね、その出力!」
やけに調子がいい、青い髪と碧眼が特徴的な少年だった。
その少年に「メル」と呼ばれた主人公の少年は、それほどでもない、と言葉を返す。
「一撃で破壊できる人なんて、そうそう居ないよ!誇れることさ!」
「うーん、出力が高くても当たらなきゃ意味がないだろ?今後の課題だなー…」
そうメルは言ったが、青い髪の少年はそれを無視するように賞賛し続けた。
「今回は一発で当たったし、最近精度いいじゃないか!みんな驚いたよ!」
その言い方は「メルなんかが一発命中させたのに驚いた」と言っているようにも取れるが…。
「命中率98%を誇るクロに、30%の俺を褒められてもアレなんだけど…」
メルは破壊力が高い代わりに命中精度が低く、訓練場の外壁を吹っ飛ばしたこともある。
それに引き換え、クロと呼ばれた少年は高い命中率をキープしており
先ほど自分の番のときも、放った23発全てを的へと正確にヒットさせ、見事破壊していた。
ちなみにボードは普通、10発程度で壊れる。つまりクロは破壊力の方が低かった。
「出力と命中率、容量に効率… 何事にもバランスは大切だな…」
そうメルがつぶやくように言うと、反応してクロは
「まあ俺もお前も極端にバランス悪いよなー。2人合わせて2で割れば丁度よくなるのに」
と少し調子を落として、つぶやくように相槌を打った。
それからしばらく2人は他の訓練生たちの射撃訓練を見ていたが、
すぐに飽きてしまったようだ。雑談を始めようとして、しかし同時に突如ベルが鳴り響く。
この授業(この訓練所は学校のようなもので、戦闘訓練は授業の一部)が終わった合図だ。
「ああ、丁度いいタイミングだ」「俺らは次、物理だっけ?北館だし急ごうか」
ベルが鳴ったのを機に訓練は終わり、生徒たちは次の授業のために移動し始めた。
メルとクロも同じ教室のメンバーと共に、別の場所に移動していきました。
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このように、「イレギュラー」の人たちは不思議な力を持っている。
原理も何もかもが謎だが、「エネルギー」を自由自在に操ることができるのだ。
(つづく) |