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不老不死の魔女とはどうやら私のことらしい 作者:Ellen

1章.混乱の王宮編

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16.望んでいなかった入隊『勝たなきゃよかった』

今日は入隊試験がある。そして、私は今試験の会場である闘技場(?)に来ている。ヤマトも一緒だ。しかし、私としては少し危惧するところがある。もし何かの間違いで征伐隊なんかに入ってしまったら、この先どうなってしまうかわからない。そのあたりは十分注意するとしよう。
しばらくして、試験官らしき人が歩いてきた。

「僕が今回の試験官を務めさせていただきます、エヴァンジェリスタ・カルヴィーノと申します」

若干背が高くて、イケメンな男性だ。この人、さぞモテるんだろうな...

「そちらのお連れ様は、観客席での観戦となります」

「わかりました。今日はよろしくお願いします。」

そうして、試験が始まった。
一人目。合図とともに私は詠唱して、剣を作る。

「『リェジェノイ』」

対する相手は、私に向かって走り出す。
どうやら相手は、私をただちょっと運動神経の良い少女と見ているらしい。私はレクセリアさんに鍛えてもらったのだ。当然、そんなすぐにやられる訳がない。

「ぐはっ」

相手の剣を躱し、剣の柄で腹を殴る。そうして少し怯んだ隙に、さらに一撃を叩き込む。

「『トゥーブ』」

相手がさらなる追撃から逃れようと、苦し紛れに私との間に壁を作る。しかし、それももう遅い。私は壁に乗り、真下に飛び降りながら詠唱でハンマーを生成する。

「ありがとうございました」

そう言って、私は落下の勢いもつけて思い切り相手を頭上から殴る。死なない程度の硬さにしたはずだが、大丈夫だろうか。
そう思っていると、入り口から担架を持った人が来た。ちょっとやり過ぎたかな、私。
そうして一人目を見送って、二人目の相手が来た。
一応私が『魔女』だと悟られないよう、まだ氷魔法しか使っていないのだが、二人目は使った方がいいだろうか。

「開始です」

そんなことを考えて、二人目に臨む。そこで私は思い当たった。使わなくても、ブラフをかければいい。分かりやすい嘘のように「使うフリ」をすればいいのだ。

「『フレアバーン』」

これは以前、本に載っていた魔法だ。しかし私に使えるわけもない。この魔法は本来、直線の軌道を描いて進む火炎放射の様なものらしい。
相手はまんまと罠にはまり、横に跳んで避けようとする。
私はその隙を逃さず、詠唱省略で作った槍を、相手に向けて突く。
槍は相手の金的に当たった。

「「あっ...」」

相手以外の全員で声が揃う。
ヤバい。潰れてないよな?いくらミスでも潰れたら取り返しがつかない。相手は悶えながら倒れて、助けを求める。すぐに、先程の担架が来た。
そうして私は二人目も見送る。大丈夫だろうか、あの人。

「あとで、あの2人を見に行っておこう...」

三人目。今度は、もうちょっと本気を出した方がいいだろうか。
合図が鳴り、始まる。
相手はすぐに私に接近し、剣を振るう。それを避けつつ、私は目くらましに氷の壁を作り、破壊する。

「『リェジェノイ』」

そしてすぐに詠唱して、剣を作る。そして相手の剣を逸らし、懐に入る。剣を振るが躱され、カウンターとばかりに飛んで来る斬撃を躱す。

「うわっ」

危なかった。髪の毛が一房、持っていかれたかもしれない。しばらくの間、攻防が続いた。もうそろそろ面倒になってきたので、決着をつけるとしよう。

「『リェジェノイ』」

私は、氷で相手を覆うように、硬い壁を築いた。私はそれを魔法で作った槍を落として上から砕き、正面から斬りかかる。

「参った」

首に刃を当てられた状態で、相手が降参する。

「次がラストです」

カルヴィーノさんが言った。

「最後は、僕です」

「テンプレですね。あなた、近衛隊の隊長だったりします?」

なぜ分かったのか、という風にカルヴィーノさんは首を傾げる。分かりやすいな、この人。

「それでは、開始です」

「少し話しませんか?」

時間を稼ごう。きっと、カルヴィーノさんは私が『魔女』だと知らないはずだ。私は今日、まだ氷魔法しか使っていない。だから、そこに賭けよう。

「断ります」

...うん。何となく分かってた。まあそう一筋縄ではいかないよね。とりあえず剣を作るか。

「はあ...」

戦いつつ、私は魔法を唱える。カルヴィーノさんが警戒するが、何も起こらない。まあ、直接相手に干渉しないようにしているから当然だが。
私はわざと攻撃を受け、カルヴィーノさんの動きが止まるのを待つ。

「そんな氷魔法しか使えない少女の身で、僕に勝てると思ったんですか?」

「正攻法ではやりませんよ。それこそ、狡猾に穴を探しますっ!」

剣撃を掻い潜り、私は詠唱する。

「『トゥーブ』」

私が詠唱した瞬間、地面が揺れた。

「...何をした?」

「何って、土魔法の詠唱ですけど?」

カルヴィーノさんは今、土から頭だけ出した状態で埋まっている。それもそうだ。

私は氷魔法の詠唱でこのフィールドの土の下を薄く覆うように氷を張り、先程の詠唱でカルヴィーノさんが立っていた辺りを除いて、壁を建てた。

()()()()()()()()()()()()()
結果地面が揺れ、カルヴィーノさんが驚いている間に地面を崩すことに成功した。そうして、私は勝利が目前なのだが、彼はまだ諦めない。

「あー、しつこいっていうか潔くないっていうか」

カルヴィーノさんは埋まったままもがき、脱出を試みている。しかしそれが出来るはずもなく、私はトドメを指しにかかる。

「それじゃ、おやすみなさい」

そう言って私は氷のハンマーでカルヴィーノさんの頭を殴る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「完敗ですよ」

目を覚ますと、彼はまずそう言った。

「征伐隊への入隊おめでとうございます」

...ん?なにか間違えてしまったような気がするんだが。

「何をボーッとしてるんです?征伐隊ですよ?」

嗚呼、私は何故勝ってしまったのか。ギリギリで負ければよかったのに。
私の背中を冷や汗が流れていくのがわかった。
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