拝啓、母上様へ
ご無沙汰です。
あなたのもとを離れてからどのくらいの月日が経ったでしょうか?
けれど、遠くに居てもあなたの事忘れた日はありませんでした。
あなたは覚えていますか?
夢の為に上京すると言った時、周りは口を揃えて反対する中、あなただけは応援してくれた事を……。
『お前のやりたい様にしていいんだよ。周りなんか気にしなくていい。やれるだけやってみな。何があっても母さんは味方だから。』
優しい優しい笑顔でそう言ってくれた事……。
とても嬉しかったです。
あなたは知らないと思いますが、
あなたのその言葉がその笑顔が何よりの支えになっていました。
でも、照れ臭いという感情であなたに感謝を伝える事は出来ませんでした。
憧れの土地は冷たく厳しい物でした。
それでも応援してくれたあなたに応えたくてがむしゃらに頑張りました。
あなたの自慢の息子になりたくて……
あなたの存在のおかげで夢が少しずつ形になってきた時にあなたの死を知りました。
心にぽっかり穴が開いた気がしました。
あなたがもうこの世に居ないなんて……
あなたの声がもう聞けないなんて……
あなたの笑顔が見れないなんて……
もう二度とあなたに会えないなんて……。
そう思うと心が張り裂けそうです……。
あなたは今どこにいますか?
この声が聞こえますか?
淋しくはないですか?
思えば、あなたは最高の母親でした。
厳しく優しい素晴らしい自慢の母親です。
心残りはたくさんあります。
初めて貰った金であなたに服か花を贈りたかった……。
もっと長く生きてほしかった……。
など挙げたら、キリがありません。
けど、一番の心残りは母親であるあなたに素直になれなかった事です。
上京してすぐに電話をくれたあなた。
なのに、素っ気ない態度であなたの優しさを無下にしてしまいました。
こんな事なら、もっと優しくすれば良かった……。
悲し過ぎて悔しくて涙が溢れます。
手紙の字もぼやけて上手く書けません……。
でも、一つだけ言える事があります。
あなたの息子で良かった……。
あなたが母親で良かった……。
心の底からそう思います。
最後になりますが、産んでくれてありがとうございます。
ゆっくり休んで下さい。
そして、たまにでいいから遠くから見ていて下さい。
いつか必ず夢を叶えるから……。
どうか見ていて下さい。
大好きな母さんへ。
――あなたの息子より
敬具
fin
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