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1000文字小説 作者:折坂勇生
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68・超高級超高層マンション

 宝くじで3億円を当ててしまった。
 俺は50階建ての超高層マンションを買った。43階から地上を見下ろせる都心の景色は最高だ。それを毎日眺めることが出来る俺は幸せものだった。
「このマンション平気かしら? もし地震が来たら……」
 あまりの高さに、心配性の妻は不安になっていた。マンションのずさんな建築が話題になっていたという古い話題を思い出したように口にして、ここも欠陥マンションなのではないかとビクビクする。
「おまえはいつも、どうでもいいことを心配するよな。億もした高級マンションなんだ。さすがに手抜き工事はしないだろ。それに、最先端の技術を使っていて、大地震が来ても大丈夫なように、非常事態用のとんでもない機能まで付いているって言ってたじゃないか」
 俺には良く分からなかったが、なにか特殊な装置があって、世界が滅びてもこのマンションは安全とのことだった。
「そう言ってたけど……。やっぱり買わないほうが良かったんじゃないかしら? 都心部の真ん中だし。このご時世だから、大きな地震がきたらと思うと心配で眠れない」
「うるさいな。俺は快適に過ごしているんだ。おまえもさっさと慣れろ」
 そう言いながら、俺は赤ワインを取ってソファに座った。
 すると急に、
 ゴゴゴゴ!
 と大きな揺れが襲った。
 地震だ!
 ワインのグラスが割れた。家具がガンガン揺れている。
「きゃあ」
 妻は、俺に抱きついた。ものすごい揺れだった。立つことが出来ない。
「す、すごいぞ!」
「だから、買うのやめようと言ったのよっ!」
 妻は悲鳴を上げる。ぎゃあぎゃあうるさい女だ。購入したての時は大喜びしてやがったくせに。
 5分ほどで揺れは収まった。
 長かった。
 部屋は滅茶苦茶になってしまった。不幸中の幸いなことに、俺たちは無事だ。マンションは倒れなかった。
「震度は?」
 確実に7を超えていると思った。
 地上の様子を確かめようと、俺たちは窓を見た。
「なんだこりゃっ!」
「えっ! えっ!」
 俺と妻は愕然とした。
 地上が見えなかった、その代わりに星々が見えた。下には青い星が見える。
 地球だ。
 信じられないことに、俺たちは宇宙にいた。
 その時、マンションからアナウンスが入る。
「いや~、申し訳ありません。実はうちのマンションは、世界が滅びても大丈夫なようにロケットになっているんです。そのロケットの発射ボタンを間違えて押してしまいまして……はははは。まぁ、この機会ですので、みなさんで宇宙旅行を楽しみましょう」
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