挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
1000文字小説 作者:折坂勇生
66/82

66・遊び場所


「いつも勉強を頑張っている啓太くんに、おじさんからのプレゼントだ」
 おじさんがくれたのはサッカーボールだった。
「今の子供はゲームばかりで外で遊ばないらしいね。おじさんの子供のころはやんちゃでね。家にいるより、外で遊んでばかりだったよ。帰るなり、ランドセルを放り投げて『遊びに行ってきます』ってな。それで、いつもお母さん、つまりは啓太くんのお婆ちゃんだね、にその前に勉強しなさいと怒られていた。それでも外の遊びをやめなかったよ。おじさんは、虫取りが好きでね、セミとかバッタとかカブトムシとか他にもいろいろ捕まえていたものだ。そうそう。啓太くんのお父さんの服の中に大きなカエルを入れて、大泣きさせたことがあったな。はははは、懐かしい。家でゲームをするのもいいけど、外で遊んでみるのも楽しいものだよ。このサッカーボールを持って、遊びにいきなさい。体を動かして汗をかくのは、気持ちがいいものだ。今の子どもの体力がないのは……」
 貰ったプレゼントのおまけに、長々とした思い出話までプレゼントしてくれる。実にありがたい迷惑であるけど、ボールを貰ったことだし、ぼくはニコニコとした顔を作って、おじさんの話を聞くというサービスをしてあげる。
 貰ったボールをそのまま放っておくわけにもいかないし、せっかくのプレゼントなのだから、塾のない日に外に出かけてサッカーで遊ぶことにした。
 家の前の通りで遊んでいたけど、住宅街にある小さな道路とはいえ、頻繁に人、自転車、車が通っていく。そのたびにサッカーをやめなくてはいけない。
 道路では力一杯に蹴ることができず、つまんないので、近くの公園に行ってみた。
 犬の散歩をする人たち、滑り台や砂場で遊んでいる小さな子供がいる。こんな場所で蹴ったなら、ボールを当ててしまい怒られそうだ。
 それに、
「ボール遊びはキケンなので禁じられています」
 との看板がご親切にも立っている。
 ここでは遊んじゃいけないので、諦める他なかった。
 歩いて15分ほどにある、大きな公園に行ってみた。人が多すぎて、ボール遊びができない。グラウンドもクラブの人たちが使用している。
 おじさんが子供の頃は、遊び場所がたくさんあったのかもしれない。だけど僕の時代は、そのように伸び伸びと遊べる場所が無くなってしまっている。
 公園にきても、携帯用ゲーム機をするぐらいしかないのだ。
 ぼくは家に引き返して、ゲーム機のサッカーゲームで遊ぶことにした。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ