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1000文字小説 作者:折坂勇生
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64・おまえは誰だ


 いきなりトイレのドアが破壊され、ナイフを持ったおまえが現れた。
ふんばっていた俺はびっくりして、出るものも出なくなってしまった。
「だ、だれだキサマ! 俺になんの用だ!」
 便器から俺は立ち上がった。
「ふん。つまんねぇもん、ぶらぶらさせやがって」
 ナイフをちらつかせて、おまえは俺の下半身を見て鼻で笑った。大事な息子を出したままだと、慌ててズボンを穿いた。
「金ならないぞ」
「おっと、俺が欲しいのはあんたの命だ」
「俺は人が怨むようなことをした覚えはない」
「キサマになくても、こっちにはあるんだ」
 おまえはじりじりとナイフを近づける。逃げようにも、トイレの個室の中なので身動きが取れない。
「俺が何をした?」
「あんたはタイムマシンを発明させただろ」
「な、なぜ知ってる?」
 昨日、成功したばかりだった。まだ、誰にも知らせていない。
「俺はなんでもお見通しなんだよ。あんたを殺して、タイムマシンは俺たちが作ったことにするんだ」
「ふざけるな」
「ふざけていない。俺は本気だ」
 ナイフを喉もとに持ってくる。殺されると、体が震えた。
「ゆすっとめ……」
 おまえは、ニヤニヤと気味の悪い笑いを浮かべている。
「タイムマシンが欲しいのか? なら、やってもいい。未来でも過去でも、行きたい所にいけばいいさ」
「約束するか?」
「する」
 嘘でないと、真面目に頷いた。
「よし、いいだろう」
 ナイフを引っ込めた。信じられなかったが、命は助かったらしい。
「タイムマシンの場所に連れてけ」
 脅されたまま、タイムマシンのある研究所に連れて行った。
「死ねっ!」
 研究所に入ると、突然襲い掛かってきた。ナイフはすれすれだった。
「なんでだ!」
「言ったろ? 俺が欲しいのはあんたの命だ」
 俺は恐怖に逃げた。追いかけてくる。研究所は密室だ。
 逃げ道が無かった。
 いやあった。一つだけある。
 俺はタイムマシンに乗り込んだ。
「地の果てまで追いかけてやるからな!」
 その声と一緒に、俺は過去に飛び立った。震え上がった。おまえは俺を殺しにくる。そうだ。それなら、おまえの存在を消してしまえばいい。生まれる前に殺してやろう。
 つまり、おまえの母親を殺せばいいんだ。
 母親に会った。とてつもない美女だった。ドキンとした。
 俺は一目惚れをしてしまった。
 一年後。おまえは俺の息子だと気付いたのだ。
 あれから二十年。息子よ。その日が来た。頼む、俺を殺しに行ってくれ。
 やれやれ、これで俺はタイムマシンを世間に公表できるわけだ。
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