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1000文字小説 作者:折坂勇生
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53/82

53・平凡


 勇次は大学に進学するか、就職するか悩んでいた。高校は普通に生活してきていた。成績は中ぐらい、赤点は取ったことはない。陸上部に所属し、レギュラーであったが、大会で上位に入ったことはない。
 いつも、真ん中辺りのランクだ。
 素行はまともで、万引き、煙草を吸ったり、喧嘩をしたり、悪い行いはしたことはない。やっていることといえば、父親に付き合って酒を飲むぐらいだ。
 クラスの中で目立たない存在であるけど、それなりに活躍しているので、陰が薄いほどでもない。友達の数は多い。LINEのフレンドは50人近くいるのでボッチとは言えない。だが親友といえる相手はいなかった。異性は、友達として付き合う分にはいいけど、恋人としては遠慮する、という扱われ方で、モテるようで、モテないようでという感じだ。当然、告白されたことはない。勇次から告白したこともない。したくなる女性と出会ったことがなかった。もちろん童貞である。
 これと思う趣味はなく、将来の夢があるわけでもない。親や学校から指定された課題を行うだけの、流されるままの毎日を過ごしてきた。
 生まれてきてから今日という日まで、自分の意思で何かを始めたことは無かった。明日も同じだろう。大人に命じられたことを、素直に受け入れて、精一杯頑張ってきた。そんな生活態度なので、誰かから憎まれたり、軽蔑されたりと、嫌な思いをせずに済んでいる。
 特徴がない。それが、自分にとっての特徴だ。
 勇次は自分のことを考えて、そんな結論に達していた。
 先のことなど遥か未来の事だと思って、何も考えてこなかった。先生に進学について聞かれて、卒業が目の前に来ていることに気付かされた。
 多分、自分の成績で判断して先生がここがちょうど良いと推薦した大学を受験して、なんら苦労もなく進学してしまうのだろう。
 しかし、このままでいいのだろうか。
 流されるままの人生で正解なのだろうか。
 よくない。
 ことは分かっている。いつの日か躓くときがやってくる。だからと、生まれたときから続いていた自分の習慣を変えるのは難しい。
 まだ大学が残っている。就職活動の時に、将来を考えていけばいい。それまでに自分の夢は、きっと見つかっている。
 そう現実逃避ともいえる楽観的な結論で思考を中断する。本心では5年先になろうと、自分は今のままなのは分かっている。
 いくら経っても何も変わらない。死ぬ前になって、そんな人生に後悔する。
 それが平凡という生き方だ。
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