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1000文字小説 作者:折坂勇生
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52・魔神のランプ


 道端にランプが落ちていた。
「まさか魔人が出てきたりしてな」
 冗談半分にランプをこすったら、もくもくと煙があがった。
「我は魔人」
 本当に魔神が登場してしまった。
「ここから出してくれた礼に、願い事を3つ叶えてやろう。なんでも言ってみなさい。叶えて遣わすぞ」
 笑いたくなったほど、イメージ通りの姿に、お約束のセリフを言ってくれる。
 俺は漫画の世界に入ってしまったのかと疑った。
「ほんと…」
 まで言って口を閉ざした。
 ここで、さっき言おうとした、
「本当に願い事を叶えてくれるのか?」
 と聞いたとしよう。
 そしたら、
「ああ、そうだ何でも叶えてやるぞ」
 と魔人は言い、
「質問に答えたぞ。願い事は後2つだ」
 となりそうだ。
 すると俺が、
「ちょ、ちょっと待ってくれよ」
 と慌ててしまい、
 「よし待ってやる」
 が次の願い事となってしまう。
「ええっ、嘘だろ!」
「嘘じゃない、本当だ。よし。願いを叶えたぞ、さらばだ」
 と、結局なにも願い事ができないまま魔人が去ってしまう。
 なんて、お決まりのオチが浮かんできた。
 俺はそんなバカじゃない。
 なので、質問を抜きにさっさと願い事をする事にした。
「金持ちにしてくれ。そうだな、死ぬまで贅沢できる金がほしい。100億円ほどありゃ十分だな。もちろん、銀行強盗して札のナンバーが割れているっていう、使えば逮捕になる危険な金は駄目だぞ。問題なく使用できるお金を100億だ」
「いいだろう。叶えて遣わすぞ」
 魔人は手を上げると、空から札束が雨のように降ってきた。
 俺はうれしさのあまり歓喜の叫びを上げた。
「次はなんだ。後2つ叶えてやるぞ」
「うむ。俺好みの彼女がほしい。性格が良くて、優しくて、尽くしてくれる。俺が理想とする女性そのまんまの彼女だ」
「わかった」
 魔人は手を上げると、20歳前後のかわいい女性がパッと現れた。
「はじめまして。ふつつかものですがよろしくお願いします」
 礼儀正しく挨拶してくれる。
 初対面にもかかわらず、愛おしくて抱きしめたくなったほど俺好みだ。
「最後の願いはなんだ?」
「うーん、もうほしいものはないな。よし、一つぐらい、良い願い事をするとしよう。最後の願い事はこれだ。世界中が平和で、争いのない世の中にしてほしい」
「うむ。それでいいのか?」
「ああ、平和なのが一番いいからな」
「よし。叶えてやろう」
 俺は消えた。
 彼女は消えた。
 人類は消えた。
 こうして、自然を破壊し、戦争を繰り返す人類は地球上から消え去ったのだった。
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