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1000文字小説 作者:折坂勇生
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46・ネコミミ


 目覚ましの音が異常な程にうるさかった。
「うっさいにゃぁぁーっ!」
 あたしはぶん殴るように目覚ましを止めた。
 目をパチっと開いて、うとうとと閉じる。眠かった。もう三時間ぐらい眠っていたい。
 なんだか今日はやかましい。一階にいるお母さんの鼻歌、お兄ちゃんのクチャクチャ食べる音、お父さんがトイレでブゥーっ!と鳴らす音まで聞えてくる。
 いや、これはやかましいのではない。
 私の耳が鋭くなったんだ。
 どういうこと? と両耳を触ってみる。
「ないっ、ないっ、耳がないにゃあっ!」
 左右にあるはずのあたしの耳がなかった。
 しかも、耳がないのに私の聴覚は何倍もの性能となっている。
 あ、
 お母さん「どうしたのかしら?」
 お兄ちゃん「寝ぼけてるんだろ」
 お父さん(尻)「ブーッ!」
 という音が聞えた。
 聞えないものがないというほど、なんでも聞えてしまっている。
 音がするのは頭の上からだ。そこを触ってみる。
 とんがっていて、もふもふとした物が付いていた。私の体の一部になっていて、引っぱってみると痛かった。
 鏡を見てみる。
「ねこみみだにゃああ!」
 びっくりした私に反応してピンと立っていた。
「にゃあにゃあにゃあにゃんだこにゃああっ!」
 しかもなんであたし、語尾ににゃあをつけてるわけ! すっごい恥ずかしいんですけど!
「萌枝、どうしたの?」
 お母さんがやってくる。
「ふにゃあ、お母さ~ん。これなんにゃの~っ?」
 あたしは泣きべそをかいた。
「え……あ……まさか……それって……」
 お母さんは口をあんぐりとして、恐ろしいものを見たかのようにネコミミを見ている。
「ヘンなのが、生えちゃったんにゃあ」
「萌枝……あなた……」
 お母さんは、体を震わせながら近寄ってくる。
 虫になったカフカの小説のように、あたしは家族に殺されてしまうのかも、と目をつぶった。
「かわいいいいーっ!」
「うにゃあっ!」
 がばぁ、と抱きつかれた。
「かわいー! かわいー! かわいー!」
 窒息しそうだった。

「今日の萌枝は最高に可愛いな」
 お父さんは大喜びだった。
「バーカ、今時ネコミミなんてウケねぇよ」
 といいながらも、お兄ちゃんは鼻血を出している。まったくおたくは持ち悪い。
「学校どうしようにゃあ」
「人気者じゃない」
「いきたくないにゃあ」
「ネコミミ付いたから学校休みますとは言えないでしょ? はい、ご飯」
 お母さんは、豚汁にご飯を入れたのをあたしの前においた。
「これなに?」
「ネコまんま」
「にゃあ……」
 これって絶対にイジメだ。
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