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1000文字小説 作者:折坂勇生
40/82

40・見られる悲劇


 勤め先のK子って不気味なんだよっ!
 ミッシーのプライベートを把握してるみたいなの。

「ぬっし男とデートしたんだって?
 あれ、つまんない男でしょ。
 二人っきりなると結構しゃべるわけ?」

 ぬっし男とデートしたなんてK子に言ってないんだよ。
 なんで知ってるの!
 ほかにもさ

「Bホテルのバイキングランチって美味しかった?
 どんな料理があってなにがオススメなの。
 あたし行ってみたいのよねー」

 なんで! なんで!
 あそこのバイキング食べたって知ってるんだよ!
 あれって高校の友達と食べ行ったんだよー。
 会社の人には内緒なのに~ビックリしたよ。
 はっ!
 もしかして、ミッシーのことストーカーしてる?
 いやーん、こわーい。

 今日の会社でもね、こんなこと言われたの。

「ハゲ男にセクハラされてるみたいなんだって?
 それねー、嘘じゃないわ。
 あいつってやらしそうに、
 ミッシーのお尻じろじろ見てるわよ~。
 観察してみたもん、間違いないって。
 あのセクハラ上司、気味悪いわよねー」

 あんたの方が気味悪いわっ!

 ハゲ男上司にエロい目で見られてる感じがするって、
 なんであんたが知ってるわけ?
 誰にも言ってないんだよ。
 そんなこと書いたのって……



 ブログの記事をここまで書いてから気が付いた。
 ああ、夏央子はこのブログを見つけてしまったんだ。
 そうでなければ私の情報がバレるわけがないのだ。最近のあいつは、私がやったこと、考えたことと、びっくりするほどリンクすることが多かった。
 私が嫌いだと書いた人を「私も嫌いよ、あいつ」と言ってきたり、上司のユニークな癖について書いたら「あの上司って面白いわよねー」と、職場仲間に私のブログ記事とそっくりな話をした事もあった。
 夏央子に驚かされてばかりで、気味が悪くなっていた。
 その謎も、私のブログの読んでいるからだと考えれば、納得がいく。
 私は会社のパソコンで時折、自分のサイトを覗いていたし、暇なときはそこから日記を更新していたこともあった。
 考えてみたら不注意なことだ。
 夏央子だけでなく、他の会社の人にもバレていたのかもしれない。
 ブログはよいストレス解消になっていた。人に言えない事を、気軽で書いて鬱憤を晴らせる恰好の場所だった。ネットの世界でなら私は匿名な人間になって、どこの誰だか分からない存在になれる。
 だから好きな事を書き込めていた。
 王様の耳はロバの耳……。
 知り合いに見られるとは最悪だった。更新なんかできない。
 閉鎖するしかなくて、悲しくなった。
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