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1000文字小説 作者:折坂勇生
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4・ビールジョッキで一気飲み

 飲み会でどんちゃん騒ぎ。
 ビールの一気飲みは最悪な場合、死に至る危険な行為であるにも関わらず、俺に向かって「イッキ! イッキ!」コールがわき上がっていた。
 アルコールで悦となっている数十人もの男女が一斉に手を叩いて、異様な盛り上がりを見せている。
 外戸な俺は困ってしまった。
 ビールは「乾杯!」の1口で済ます予定が、そうはいかない空気になっていた。
 酒が飲めないことを伝えても「場を白けさせるだろ」「空気よめよ」「だから童貞なんだ」「飲めばモテモテだぞ」と断らせてくれない。
 困ったものだ。これは強要罪である。
 急性アルコール中毒になったら、俺の身体どころか、サークルまでも失いかねないというのに、そんなこと起こるわけないと根拠のない思い込みを持っているようだ。
「イッキ! イッキ!」
 はやし立てる声が大きくなってきた。
 どうしたものかと辺りを見回すと、斜め向かいの席の女の子が、心配そうにこちらを見ていた。
 付き合って9ヶ月のラブラブな彼女だ。いまのところ俺たちの関係はバレていない。
 目が合うと、視線をそらした。
 困った様子で、太ももを擦り合わせて、体を小さく揺らしていた。そして、居ても立ってもいられないと、隣の女性に小声で何かを伝えて、忍ぶように部屋を出ていった。
 一気飲みコールのなか、そんな彼女をぼんやりと眺める。姿が見えなくなって10秒ほどして、とっておきのアイデアが浮かんできた。
 そうだ。ビールは駄目でも、代わりのものならいける。
「早く飲めっ!」「飲まないなら罰金な!」
 酒に酔っている仲間は、ぼんやりとする俺に痺れを切らしていた。
「さっきから我慢してたけど、限界だ。便所いってくる!」
 大袈裟に慌てて、ビールジョッキを持ったまま席を立った。
「逃げるのかよ!」と怒鳴ってきたので「戻ってきてからな。飲めなかったら金払ってもいいぜ」と約束をして、彼女を追いかけていった。


「ねっ、ねぇ? ほんとにやるわけ? バレたらヤバイってばっ!」
 宴会場に戻ろうとする俺を、彼女は慌てて引き留めていた。
「大丈夫、バレやしない」
「う~、でも~、でもっ」
 可愛いやつめ。彼女の顔は真っ赤っかだ。
「おまえら、待たせたなっ!」
 人を斬りに行く侍のように、みんなの前に姿を現した。
 そして、彼女がジョッキに並並と注いだ最高のビールを、乾杯!と高々と上げた。
「イッキ! イッキ!」
 大きな歓声の中、俺はビールの色をした彼女の黄金の水をぐいっと飲み干したのだった。
ひどいオチでごめんなさい(´・ω・`)

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