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1000文字小説 作者:折坂勇生
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39/82

39・老婆と山


 むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがすんでおりました。
 おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくに……いくはずだったのですが、おじいさんがカゼでねこんでしまいました。
「おっしゃあ、おじいさんの代わりに、オイラがしばかりにいきますとするかね」
 せんたくを終えたおばあさんは、「よっこらせ」とマサカリをかついで、曲がったこしで山へでかけていきました。
 山についたおばあさんは、森を見まわしながらおもいました。
「はてな。しばかりとは、なにをするものかいな」
 年をとりすぎて、しばかりがなんなのか、分からなくなっていました。
「じぃさんはいつも、木をもってきてたのう。ようし、この木を切ってけばよいんじゃな」
 マサカリをもって、空たかくそびえ立つ大きな木にむかい、ちからいっぱいにきりつけました。
 どすん!と大きな音がして、木がたおれていきました。
「コレを運べばいいのじゃな。よいしょと」
 たおれた木をかつごうとしましたが、重くてもちあがりません。
「こりゃこまった。べつの木にしますかな」
 おばあさんは、ぺっぺっ、と手につばをつけて、マサカリをぶきに森にある木にいどむことにしました。

「おばあさん、おそいのう」
 夕ぐれになってもおばあさんはもどってきません。どうしたのかとおじいさんはしんぱいになりました。
 長いことねむったので、かぜも歩けるまでかいふくしています。
 クマにおそわれたかとしんぱいになって、おばあさんをさがしに山へいくことにしました。
「なっ、なっ、なっ、なんじゃこりゃーっ!」
 山にきたおじいさんは、びっくりしました。
 森の木がすべて切られてしまって、山はまるぼうずとなっていたのです。
「いったい、どうしたというんじゃっ!」
 サル、シカ、リス、クマなどの森でくらしているどうぶつたちは、いき場をうしなってこまっています。
 どうぶつたちは、うらめしげに山のてっぺんを見あげていたので、おじいさんも見あげました。
 そこにおばあさんがいました。
 マサカリをもって、ひとしごとを終えたとまんぞくげな顔をしています。
「おや、おじいさん。びょうきはなおっのですか?」
「そ、そんなことより、これはいったい、なんだ。なにをしたというんじゃあ」
「なにをってしばかりですわ」
「おばあさん、これはしばかりじゃない。山がりじゃあ!」
 山がりじゃあ!
 ……やまがりじゃあ!
 …………やまがりじゃあ!
 おじいさんのさけびがこだましました。
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