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1000文字小説 作者:折坂勇生
35/82

35・鈍感

「Aちゃんって女の子がいたんだ」
「急にどうしたの?」
「ちょっと思い出しちゃったから。Aちゃんは、Bくんという男の子をいじめていた。いじめというか、元々AちゃんとBくんは、子供のころは仲良かった。いわゆる幼馴染み。でも、中学生なったら、思春期で、いろいろとアレでしょ?」
「女の子と遊ぶのが恥ずかしい年頃だよね」
「そうそう。BくんはAちゃんのことが女の子として好きなの。AちゃんはBくんの気持ちに気付いていた」
「両想いなんだ」
「問題はAちゃん。Bくんの気持ちを知っているからこそ、冷たい態度を取る様になったの」
「恥ずかしかったからかな?」
「ううん、そうじゃない。彼女はBくんが傷つく姿が好きだった」
「えーと?」
「Bくんは純粋なんだ。Aちゃんが冷たくなったのは、自分が頼りないからだと、勉強を頑張って、運動部に入って体を鍛えるようになった。すごい努力したのよね。一年後にはレギュラーで大活躍して、成績もトップクラス、W効果ですごい格好良くなっていた。これで、Aちゃんの心もゲットと思いきや……」
「ダメだった?」
「とっくに心は射止めてるよ。自分のためにそこまで男磨いたんだもん。Aちゃんはゾクゾクしていた。でも、あんなに頑張ってもダメならどうなる? Bくんものすごく傷つくよね。それはそれは凄いショックだよね。Bくんのそんな顔を、Aちゃんは見たかった」
「えっと、まさか」
「そのまさか。Aちゃんは『で?』って相手にせず、他の男と遊びに行ったの」
「…………」
「好きな子が傷つくのが好きって性格悪いよね。Bくんの心は自殺しそうなほどズタズタだった。Aちゃんにとってそれは最高の喜びだけど、さすがに限界がある。彼女の失敗は、アメとムチのアメがなかったこと。Bくんに、そのアメを与えてくれる心優しい女の子が現われたらコロっといっちゃわない?」
「いきそうだね」
「それがCちゃん。彼女は、Aちゃんが大っ嫌いだった。だからこそ、チャンスだとBくんの心を奪ったの。Aちゃんは、Bくんがずっと自分のことを好きでいてくれると自惚れてたんだろうね。Bくんが他の女の子に奪われたと知ってすごい顔をしていた」
「CちゃんはBくんのこと好きじゃないのに、よく付き合ったね」
「今もラブラブだよ」
 そうで有る限り、あの女は悔しい思いをし続けるのだから。
 鈍感な彼だ。
 幼馴染みとAちゃんの性格が結びつかず「女の子って怖いな」と他人事のように呟いていた。
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