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1000文字小説 作者:折坂勇生
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28・ドSな彼女


 藤木杏子は明るくて活発な性格であると同時に恐ろしいまでの暴力女だった。
 口より先に手が動いてしまう凶悪な性格をしていて、少しでも怒りの感情が込み上げてくると太陽のような笑顔を見せて、殴る、蹴る、飛び蹴り、エルボー、バックドロップ、ジャイアントスイングやらとプロレス技をお見舞いしたり、椅子やホウキなどの道具を振り回したり、教科書や辞書を投げてくるなど、容赦ない攻撃を仕掛けてくる。
 毎度のように被害者の立場に立たされる僕は、頭にたんこぶが出来るわ、全身に紫色の痣が出来るわ、半日ほど気絶してしまうわと、無傷で学校から帰還できた日があれば奇跡だと号泣して神に感謝するほど散々な目にあっている。
 保健室送りにはなろうとも病院送りになるほどの怪我はないのが幸運なほど……いや、不運かもしれない。いくら彼女でもそれほどの暴力沙汰を起こせば、停学、退学を余儀なくされるだろうし。
「そりゃあねぇ、あたしだってさじ加減ぐらいはちゃんとしてるわよ」
 とのことだが、彼女の攻撃を食らった男子に言わせれば「どこをどう手加減してるのか説明してくれこのどSが!」とのツッコミ総攻撃だ。まあ、それを本人に言った所で「男の癖にうじゃうじゃうるさいわね」とパンチが返ってくるだろうけど。
 杏子が犯罪者として警察に捕まり少年院送りになるのが男子諸君の願いである。
 しかし、藤木杏子は絶大に人気あった。特に女子にとっては、男子を成敗するかっこいい女として憧れの的であり、同性からのラブレターの数は学校一のイケメンをも超えている。
 杏子はそんな自分の人気に気付いており、それが暴力の容認であるとの勘違いっぶりによって凶暴性はますますエスカレートしている。
 杏子がブサイクなツラをしていたら、憎らしさが何百倍も上がっただろうし、超絶なる嫌われ者となったことだろう。けれど性格は最悪でも、彼女は全校生徒の中でとびっきりの美少女だ。
「見ーつけた、あははー、覚悟しなさいよねー」
 攻撃かける際の杏子のドSっ気を存分に見せた殺人的スマイルは、恐怖心を感じるより先にその色っぽさにぞくりとさせられ恋のトキメキ状態となってしまう。彼女からの攻撃をファーストキスの体験する少年のように今か、今か、と待ち望んでしまい、体を駆け巡る激痛からは宇宙に発射するような強烈な快感が爆発するのだ。
「ありがとうございますっ!」
 杏子の暴力により男子たちの大半がドMに開発されてしまった。
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