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1000文字小説 作者:折坂勇生
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25/82

25・拳銃を手にして


 とある闇のネットオークションで拳銃を手に入れた。ずっしりと重く、惚れ惚れする出来栄えだ。高かったが、それだけ満足する商品だ。出品者には文句なしの五つ星をプレゼントしてやった。
 人生で初めて恋人ができたとき以上の幸せな気分であるが、観賞してニヤニヤするだけでは、物足りなくなってくる。
 女と同じだ。見つめ合ったり、手を取り合ったりと、いつまでも初々しいカップルをやっていたいわけじゃない。
 彼女を生まれたままの姿にし、欲望が尽きるまで快楽を貪りたいのだ。
 そうだ。俺はいま銃を持っている。このウズウズとする感情は性欲以上に溜まっている。
 誰でもいいから、人を殺してみたかった。
 拳銃をズボンにしまい、いつでも抜き出せるようスタンバイをする。
 俺は獲物を探しに、広い公園に向かった。
 ジョギングをする老人が通った。小さな子供と母親がブランコで遊んでいる。シャーと涼しい水しぶきを上げた噴水は幼児たちが素っ裸で水浴びしていた。ベンチにネコを膝に置いた青年が眠っていた。自販機の前で背広姿のサラリーマンがコーヒーを一気飲みをしていた。
 呆れるほどの平和だ。それも俺が来たからには地獄へと変わる。
 もうすぐここは血の海となるのだ。
 数時間すれば、この公園は警察とマスコミでいっぱいとなり、俺は大々的なニュースの主役となるだろう。
 その様子を想像するだけで、笑いが止まらなくなってくる。
 俺は笑みを消した。
 ターゲットを見つけたからだ。
 10歳ほどの子供だ。ちょうどアイスクリームを食べ終えて、美味しかったとにっこりとしていた。このマヌケヅラを、二度と浮かばないようにしてやりたい衝動にかられたのだ。
 子供は視線に気付いて、こっちを向いた。目と目があった。
 チャンスだ。
 俺はサッと銃を取った。
 重くて動作が鈍った。両手で支えて、銃口を子供に向けた。
 一発勝負だ、二度はない。
 銃を向けられた子供は目を大きくしている。
 瞬時に、引き金を引いた。
 ばんっ!
 撃たれた子供は「うおおっ」と悲鳴を上げた。胸に手を当てて、体を震わせながら、地面に崩れていった。
 ぱたり、と動かなくなった。
 死んだ。
 俺が殺したんだ。役目を果たした拳銃をゆっくりと下ろす。
 すると子供はすくっと立ち上がって、俺に向かって走ってきた。
「カッコイイね、そのモデルガンっ」
 ノリのよい子供につい笑ってしまった。気分良くなった俺は拳銃を自慢した。
 これは本物の拳銃で、弾を入れ忘れただけなのは些細なことだ。
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