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1000文字小説 作者:折坂勇生
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23・三角関係の行く末


「香苗さん。なにか食べたいものない?」
「うーん、そうね。何にしようかなぁ」
 田中くんが尋ねてきて、私は何を食べようか考てしまう。
 スパゲティ、グラタン、ピッツァ、うん、そうね、イタリア料理にしようかしら。焼き肉もいいわねぇ。あ、お好み焼きも食べたい。もんじゃ焼きなんて、高校生が最後じゃないかしら。
 田中くんのおごりなんだし、高いのにしちゃおうかなぁ。
 でも、彼ってあんまりお金持ってないのよね。かわいそうだし、安いのをリクエストしようかしら。
 なんて考えていたら、私の肩をぽんっと叩く人がいた。
「よっ、香苗。俺とメシ食いにいこうぜ」
 もう一人のボーイフレンド。
 鈴木くんだ。
「邪魔するな。俺と食べるんだ」
 急に現われたライバルに、田中くんは怒り出す。
「田中なら100円のハンバーガーになっちゃうぜ。俺は、スシをおごってやるよ」
「100円の回転ズシか?」
「板前のスシ屋だ。香苗よ、田中なんかほっといて行こうぜ」
 私の腕を取って、強引に連れて行こうとする。
「彼女に触るな! 俺と一緒に食べるんだっ!」
「いいや、俺だ。貧乏人のおまえはあっちにいきなっ!」
「なにおうっ!」
「やるかっ!」
 二人は火花を散らす。
「まぁまぁ、二人とも。ほら、三人で食べにいけばいいじゃないっ。おごってもらうんじゃなくて、割り勘で、平等にねっ」
 美人はほんと罪よね、なんて思いながら、内心では嬉しくなっていた。
 人として悪いと思うけど、自分がモテモテなのは女として嬉しいもの。
 私は、田中くんと鈴木くんから求愛を受けている。
 二人ともハンサムで頭の良い素敵な男性だ。どっちを選ぶかなんて難しい選択だ。
 だから、少しの間はこの三角関係を楽しんでいこう、なんて密かに思っていた。
 けれど最近、二人のアプローチがばったりと止まった。
 急にだったので、どうしたんだろう?と不思議に思っていた。
 そんなある日のこと。
 田中くんと鈴木くんが、一緒に歩いているのを目撃してしまう。
 顔を合わせるたびに喧嘩をしていた二人が手をつないで歩いている。
「あなたたち仲直りしたの?」
 声を掛けると、二人は見つめ合い、照れ臭そうにする。
「香苗さん。俺たち付き合うことにしたんだ」
「え?」
 二人はにっこりと幸せそうに笑った。
「喧嘩してるうちに、鈴木のこと好きになったんだ」
「障害だらけだけど、香苗なら応援してくれるよな?」
 あっけに取られると同時に、中高時代の腐女子だった自分が甦ってキュンとしてしまった。
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