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1000文字小説 作者:折坂勇生
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19/82

19・俺だよ、俺俺、オレオレ詐欺なんだよ


 電話をかけると4回のコールで相手が出てくれた。
「もしもし?」
「俺だよ、俺、俺なんだけど、えっと俺って分かるよな?」
「あー、俺くんね、うん、分かっているよ」
「そうなんだよ、俺なんだよ、俺なんだよな、ははは。いやー、お母ちゃん、良く分かってるなぁ、俺ってだけで直ぐに分かるなんて、俺俺なんてしょっぱなから言うもんだから、これってオレオレ詐欺じゃね? なんて思わなかった?」
「なにいってんだい、直ぐに分かったよ、オレオレ詐欺だって。んでなんのようだい、オレオレ詐欺くん」
「あはは、じゃあオレオレ詐欺らしくはっきり言うよ。んっとさ、金がないんだ。スッカラカンになっちまって、それで欲しいんだよ、ちびっとでいいんだけど」
「やっぱお金なのかい?」
「そうそう。手持ちの金がなくなっちゃってさ、全財産が340円。今日はしのげるけど、明日からヤバイんだ。激ヤバな俺にお金をめぐんでくれよ」
「なにに使ったんだい? パチンコでスッたとか言うんじゃないだろうね」
「そんなんじゃねぇよ、ただ、ちょっとさ」
「ちょっとなんだい?」
「えっと、勉強の教材を買ったんだよ、大学に使う専門書がバカ高くて」
「なに嘘付いてんだよ、オレオレ詐欺がそんなのにお金使うわけないじゃないか」
「信じてくれよ」
「信じるわけないよ、詐欺師だもんねぇ」
「じゃあ、どう言ったら信じるんだ?」
「パチンコじゃないかい?」
「俺さ、バカでもギャンプルだけはしないんだよ」
「じゃあ、女だね。どうせ、ろくでもない女につかまったんだろ?」
「ろくでもなくないよ、このみはいい女だよ、うん、おっぱいでっかいし」
「やっぱり女なんだね、まったく。うちのダンナもね、つまんない女に引っかかって、酷い目に合ったことあるんだよ」
「それって母ちゃんのこと? 自分で言うなんてさっすがだねぇ」
「おまえこっちこい、ぶってやるから」
「ははは、冗談だよ」
「それで、女のためにオレオレ詐欺なんてやってんのかい?」
「ああ、デートしたくてさ。初めて好きになった女なんだ。こんど紹介するから、いいだろ? ちょっとぐらい恵んでくれよ」
「しょうがないねぇ」
「んじゃ、オレオレ詐欺らしく口座を言うからな。そこに振り込んでおいてくれよ」
「分かったよ、振り込んでおいてやるよ」
 俺は笑いながら電話を切った。
 相変わらず、ノリの良い母親だ。
 しかし三日後、俺は捕まった。母親に電話をかけていたつもりが、間違い電話をしていたのだった。
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