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1000文字小説 作者:折坂勇生
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16・おいしいごはん

 ボクは、お母さん、妹、弟の四人で、くさったお肉を食べていた。
「まずい~」
 妹はうげぇとお肉を吐き出そうとする。
「黙って食べなさい。私たちは、これしか食べれられるものがないのよ」
 お母さんは、そんな妹を叱っている。
「うまうま」
 大食いの弟は、食べれるものならなんだっていいんだと美味しそうに食べている。
「おかわりっ!」
「ダーメ。そんなに食べたら、何もなくなっちゃうじゃない」
 そんなことを言いながらも、「大人はいっぱい食べなきゃいけないの」と弟よりもたくさん食べていた。大人ってずるい。
「足りないよ。もっと大っきいの食べたーい!」
 弟は足をジタバタとさせる。
「わがままいわないの。なかなかご飯が手に入らなくなってきてるんだから、食べられるだけでも感謝しなさい」
「うー、不味いー」
 妹は食べたくないと泣きべそをかいていた。
「あんたもねぇ、そろそろ慣れなさい。いつまで、不味い、不味い、言ってるの」
「だってぇ、不味いんだもーん」
「二人とも、お兄ちゃんを見習いなさい。わがまま言わないでちゃんと食べてるじゃない」
 ボクは黙々と食べていた。
 そりゃ、ボクだって新鮮なお肉を食べたいさ。それができないから、我慢して食べる他はないんだ。
「みんな喜べ! 生きたお肉を持ってきたぞ」
 その時、おじいちゃんが家に入ってきた。
 おじいちゃんが捕まえたごはんは、ここから逃げだそうと元気よく動いている。
「ごちそうだわ。お義父さんありがとうございます」
「おいしそーう! 早く食べたーい!」
「わーい!わーい!」
 妹と弟は飛び跳ねて喜んでいる。
「やったね、おじいちゃん。大好きだよっ!」
 おいしいごはんだーっ!とボクも大喜び。
「はっはっは、さあ遠慮なく食べるといい!」
「うんっ!」
「いただきまーす」
「うふふっ、かくごしなさいね、あ、な、た♪」
 じゅるりと、ボクたちは涎を出しながらごはんに近寄った。
「た、たたた、助けてくれぇーっ!」
 おいしいごはんは、後ずさりしながら逃げようとする。
「「いっただっきまーす!」」
 ボクたちは口を大きく開けて、一斉に襲い掛かった。
「ぎゃあああああああああ!」
 ごはんは悲鳴をあげるけど、みんなでむしゃむしゃ、バキボキ食べていったら、すぐに静かになった。
 ボクたちが食べているのは、家族の中で唯一生き延びていたお父さんだ。
 お父さんもゾンビになればいいのにと思っていたけど、久しぶりのおいしいごはんだったから、みんなでペロリと食べちゃった。
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