遅くなりました。
そのくせ分量も少なめです。
本当に申し訳ないです。
13話 出発
朝もやの中で私とルイズ、そしてギーシュの三人は馬に鞍をつける。
アルビオンまでどれだけの距離があるかわからないが、ルイズが靴を乗馬用のブーツに履き替えていたので結構な長旅になることは容易に想像できる。
乗馬に慣れていないため長旅には、どうしても懸念というものができてしまう。それにはひとつの不確定要素も関係している。
この世界での、〝上位の魔法使い〟の実力だ。
つい最近ギーシュを手合わせしたわけだが、彼とは雲泥の差であることは間違いないはずなのである。いかに英霊と言えど、この身は何かを成し遂げたわけでもなし、どうしても気になってしまうのだ。
そんなことを考えながら旅路の準備をしていると、ギーシュが困ったように言う。
「ルイズ、エミヤさん。ちょっと相談があるのだが……」
「…なによ」
ルイズが不満げに答える。
どうも使い魔の私に対してはさん付けで、その主人のルイズは呼び捨てというのが気に入らないようだ。
「僕の使い魔も一緒に旅に連れて行って欲しいんだ」
「あんたの使い魔?そういえばあんたって何召喚したんだっけ?」
「なっ!?僕の使い魔を知らないと言うのか!?
…まあいい。君はエミヤさんを召喚してからというもの忙しそうだったからな、知らなくても無理はないか。それに、知らないと言うのなら今紹介すればいいだけのことだ。
おいで、ヴェルダンデ」
ギーシュが自身の使い魔を呼ぶと、ギーシュの足元の土が盛り上がり始める。
そしてその土の中から大きめのモグラのような生物が顔を出した。
この使い魔はキュルケのフレイムや、タバサのシルフィードとはだいぶ幻想種としての質は落ちる。
「フフフ。ああ、なんてかわいいんだ、僕のヴェルダンデ。今日の君は、いや君はいつだってかわいい、かわいすぎる。そのかわいさはもはや犯罪だ。あんまり僕を困らせないでおくれ、ヴェルダンデ」
…まあ、クリッとした大きな目をしているし、全体的に丸っぽくてかわいらしいフォルムではあるが、なにもそこまでかわいがらなくてもいいだろうに。
ルイズを見る。彼女のギーシュを見る目は、もはや呆れを通り越して関係ない人間を見るような冷たい目だ。
「……あんたの使い魔って、ジャイアントモールだったのね」
「ああ、そうさ。
ヴェルダンデ、今日もいっぱいどばどばミミズを食べたのかい?」
ギーシュはそのジャイアントモール(実に安直な名前だ)に熱中しているようで、ルイズの質問にも生返事をしながらヴェルダンデに話しかけている。そしてそのヴェルダンデはというと嬉しそうに鼻をひくつかせていた。
「そうかいそうかい。そりゃよかったよ」
「はぁ。ギーシュ、あんた言うほどモテてないでしょ」
ルイズはため息と一緒に素直な感想を漏らすが、今のギーシュを見れば誰でも思うだろう感想だ。彼に思いを寄せている人間がいたとしても、モグラに頬を摺り寄せているギーシュの姿を見ればその恋も冷めることだろう。
「それよりもギーシュ。私たちはあんたの使い魔まで連れて行くことはできないわよ」
「はぁ?な、なぜだい!?」
「なぜだいって言われてもね。どうせその使い魔、土の中で移動するんでしょ?」
「もちろんさ。ヴェルダンデは土の中では結構早いんだぜ?」
ギーシュは、どうだ、と言わんばかりの顔で親指を立てるが、ルイズはもう一度ため息をつきながら言う。
「私たちはこれから馬で移動して、その後は船でアルビオンまで行くの。土の中で早く移動できたってなんの役にも立たないし、土の中でしか早く移動できない生き物なんて連れて行くわけにはいかないのよ」
「そ、そんな。僕たちがお別れしなくちゃいけないなんて、そんなの悲しすぎるよ」
ギーシュは残念そうにしながらヴェルダンデを抱きしめている。いつも清潔そうにしている白いフリルつきのシャツも泥だらけで台無しである。
「ギーシュ。別れるといっても何ヶ月も別れるわけではないさ。今回の任務は長くてもアルビオンにいるウェールズ皇太子が捕らえられるまでだ。しばらく会えなくなって残念かもしれないが、我慢してくれ」
私たちにはこのモグラに対してギーシュほど感じ入ることはできないが、ヴェルダンデはギーシュが自らの手で召喚した使い魔なのだから、他人にはわからない気持ちも生まれるのだろう。
とそのとき、ヴェルダンデの鼻がひくつく。くんかくんかと鼻を鳴らしながらルイズに擦り寄っていく。
「な、なによこのモグラ?!」
ふむ、どうやらこのモグラも女好きなのかもしれないな。なるほど、ギーシュに召喚されるべくして召喚されたということか。
「ちょ、ちょっと、早く、このモグラ、どうにかしなさいよ」
見るとモグラがルイズを押し倒し、鼻でルイズの体をまさぐっている。
巨大モグラに襲われる美少女、実にシュールな画だ。ギーシュはと言うと、どうしてこうなったのかがわからないと言ったような顔をしている。
「このバカモグラ!姫様から頂いた指輪に鼻をくっつけないで!」
「指輪?そうか指輪か。ヴェルダンデは宝石が大好きなんだ。それでルイズにじゃれ付いているんだ。ヴェルダンデはシャイだから、今まで女の子に寄りもしなかったから不思議に思っていたんだ」
納得だ、とギーシュは手を打つが、ルイズのほうを見るとやはりそれどころではない。
それにしても宝石が好きなモグラか、あんまり好印象を抱けない。
「ギーシュ、そろそろ助けてやってくれないか」
「ああ、そうですね。さすがにルイズがかわいそうだ」
そういうとギーシュはルイズとヴェルダンデのいる方向まで歩いていく。
とここで遠くのほうからひとつの気配が速いスピードで近づいていることに気づいた。人の歩くスピードは優に超えている。
そしてその気配から魔力が練りこまれていく、魔法が使われようとする気配を感じ取ることができる。
「投影・開始」
咄嗟に干将莫耶を創り、気配を挟んでルイズたちの前に出る。
目の前に現れたのは巨大な獣、グリフォンにまたがる一人の男。つい先ほどまで放とうとしていたであろう魔法はしばらく杖の先で光を発していたが、少しずつ暗くなっていく。
「ワ、ワルド様?」
未だ私に鋭い目を向けているワルドという男は、ルイズの知り合いなのだろうか?
整った顔つき、長く生やした口ひげと頭にかぶった立派な羽帽子が凛々しい、そんな精悍な若い貴族。どこかで見たことがある気がするのだが、そういえば昨日の歓迎式典で見たことを思い出す。姫様の護衛するための騎士なのだろう。
「…いい加減、その杖を下ろしてはもらえないだろうか?」
「そうしてもらいたいと言うのなら、まずは君たちが僕とルイズに危害がないことを証明しろ」
ワルドは未だに杖を向けいている。
ワルドの杖は普通の杖じゃなくレイピアのような形状をしているが、先ほどまでは確かにそのレイピアに魔力を宿していたのだから間違いがない。
「そんなものあるわけがなかろう。私のルイズの使い魔だ、主人に牙を向く使い魔など存在するわけがない」
そういっても相手は杖を下ろそうという気配が一切ない。相当私たちのことを疑っているらしい。
「ワルド様、エミヤが言っていることは本当です。彼らは私たちの仲間、どうかその杖を下ろしてください」
「…そうだったか」
そういって杖を下ろす。表情を見るに渋々といったところかも知れないが、物分りはいいようだ。
「いや、悪かった。使い魔が人なんて話聞いたことがなくてね。僕の婚約者が襲われていると思ってしまったよ。
これからの旅は危険だし何が起こるかわからないから、少し神経質になりすぎていたようだ」
まあ、仕方ないことだ。この旅は何が起こるかわからない。慎重すぎるくらいでちょうどいいのだ。
それにしてもこの男、婚約者といっただろうか?
襲われている人間と言うよりも女性が一人しかいないわけだから、彼の言う婚約者というのは一人しかいないわけだが、年齢的に考えても合わなくないだろうか。
「姫殿下より君たちに同行することを命じられた、グリフォン対隊長のワルドだ。どうかよろしく頼む」
「ええ、ワルド様も!」
「どうも君たちだけじゃ頼りないようでね。あまり大人数を連れて行くこともできないし、僕が指名されたのさ」
「そうか、ならばよろしく頼む。先ほども言ったが、私はルイズに召喚された使い魔のエミヤだ」
「ぼ、僕はギーシュ・ド・グラモンと言います。どうかお見知りおきを」
ギーシュが若干どもりながら自己紹介をする。
「ワルド様」
ルイズが立ち上がり、そしてワルドの名前を呼ぶ。するとワルドは破顔してルイズのことを抱きかかえた。
「ああルイズ、僕のルイズ。ずいぶんと久しぶりじゃないか」
「ええ、前に私の家で話したとき以来ですね」
「本当に懐かしい……懐かしいけど、今はそんな感傷に浸っている場合でもないか。
早速出発しよう。今のアルビオン王家はいつ攻め滅ぼされてもおかしくはない。無駄な時間はなるべく割こうと思っている」
「ええ、そうね。じゃあ行くわよ。この名誉ある任務、絶対にやり遂げるわ」
ルイズがこぶしを握って、もう一度確かめるように小さく呟いている。
憧れであり大切な親友のお姫様のためにも、ルイズにとって失敗するわけにはいかないのだろう。
「ルイズ、おいで。これからの長旅、ずっと馬を使っていたら疲れてしまう。君は僕と一緒にこのグリフォンで行こうじゃないか」
ワルドが手を広げる。
ルイズは一瞬驚いたような顔を見せたが、その後ためらうようにしながらワルドの方に向かっていく。
「さあ出撃だ。長い旅路になるだろうが、われわれの力を合わせてこの任務を成功させようじゃないか」
・・・・・・
sideアンリエッタ
私は自分のための大切な親友を危ない目に合わせようとしている。
今のアルビオンはハルケギニアで一番危険な場所といっても過言ではない。アルビオン王家とレコンキスタという野蛮な貴族たちが殺し合いを繰り広げている。そんな中でルイズに無傷で帰ってこれるという保証はどこにもない。いや、それどころか命を落としてもおかしくはない。
それでも、それがわかっていながらも、私はルイズに頼んだ。
たった一通の手紙、もうずっと昔に書いたその手紙の回収すれば彼は気づいてしまうのだろう。
もしも彼が昔のようにわたくしのことを考えてくれていたのなら、わたくしは彼が死ぬ直前で悲しませてしまうことになるのだろう。
彼はこの戦争で命を落とす。それはもうどうしようもないこと。どんな奇跡も彼が死んでしまう現実を壊すことはできない。
数も資源も、なにもかもが劣っている彼がこの戦争で生き残れるとは考えられない。
そんなことわかっていた。これでもトリステインの王女。マザリーニに聞くまでもない。
じゃあなんで私は書き足してしまったのか
彼の生き残れるたった一つの手段を、私は最後になって書き足した。
それは奇跡でもなんでもなくただ問題を先送りしているだけの見苦しい、苦し紛れの手段。
彼がほんの少しだけ長生きできる、ただそれだけの方法。それも、もしそうなったらトリステインにまで火の粉が降りかかってくる可能性さえある。国を危ぶめる王女なんて笑い話にさえならない。
それでも私は書かずに入られなかった。
何日も悩んで、悩み続けて、最後に決心した。
誰に非難されてもかまわない。最悪な事態にかならないと誰よりも理解していながら、それでも私の願いを優先した自分勝手な女なのだ。
ルイズが私からの頼みごとを断れないとわかっていて依頼し、トリステインのためにならないとわかっていながら手紙に書き足した。
「始祖ブリミルよ。彼女たちに、どうか加護をお与えください…」
だから私は祈ることしかできない。
今回の任務には魔法衛士隊の中でも評判のいいワルドという男をつけたが、戦争という狂気に巻き込まれてしまったら何の意味も成さないのだろう。
私が王女じゃなかったら、私が自由だったら。何度思ったことか。
本当なら自らでこの問題を解決したかった。それでも仮にも王女の私が生死の関わる危険な場所に行ける筈がない。
それに………いや、もうやめよう。こんなのはただの言い訳にしかならない。無駄なことを考える暇があるなら一秒でも長くお祈りしたほうが良いに決まっている。
「…アンリエッタ姫、そう心配しないでもよかろう」
「…オールド・オスマン、見送らないでもいいのですか?」
「見てわからんのかね、アンリエッタ姫?今この老いぼれの仕事は身嗜みのために鼻毛を抜くことじゃよ」
いたた、といいながらオールド・オスマンが鼻毛を抜いている。
どうしてそんなに気楽でいられるのだろうか。
彼には今しがた事情を話したから、ルイズたちがどんなに危ないかわかっているはずなのに。
そのとき、扉がどんどんと乱暴にたたかれたため、少しびっくりしてしまった。それでもオスマンは一切動じることなく、入りなさい、と呟く。
「オールド・オスマン!いいい一大事ですぞ」
「最近の君は騒がしいの。それで、今日はどんな用事じゃ?ミスタ……なんだっけ?」
あわただしく入ってきた男はオスマンがそう言うと先ほどまでの勢いがどこかに行ってしまったように、コルベールですと何度言えば、とため息混じりに呟く。
「それよりもオールド・オスマン、城からの知らせです。チェルノボーグからフーケが脱走したそうです」
コルベールという男の報告に、私は耳を疑った。
チェルノボーグの牢獄はトリステインで一番の牢獄。警備も監視も厳重に行われているため、脱獄できるはずがないのだ。
「まあまあ、そんなに慌てなさんな。
彼女が脱獄しても我々にはなーんも関係ないさ。もうこの学園には盗まれるようなマジックアイテムはないし、もし彼女が捕まったことの復讐をしようと思うなら、それはエミヤ君に任せればいいのじゃのから」
「そ、それはその通りですが……しかしですね、このままじゃまた彼女は盗みを働いてハルケギニア中が混乱してしまうかもしれないんですよ?」
「なら、なにか解決策でもあるのかね?」
「そ、それは、ないんですけど」
「ならもう考える必要もないじゃろ。必要ないことならそんなことはもう忘れて、自分のことでも考えたほうが有意義というもんじゃよ」
「あ、あの」
オスマンとコルベールが話しているのに、私は割り込んだ。
「オールドオスマン、先ほどフーケが復讐を考えているならエミヤさんに任せれば良いとおっしゃいましたが、それはどうしてですか?」
「? はて、アンリエッタ姫は彼がフーケを捕まえたという報告を聞いていないのですかな?」
「いえ、それは聞いていますが…まさか、それは本当の話なのですか?てっきりわたくしはエミヤさんはフーケを使えるとき活躍したというくらいに思っていましたので」
「ほっほっほ。無理もないことじゃが、フーケを捕まえたのは彼じゃよ。フーケの捜索には彼のほかに三人の生徒が同伴していたが、ゴーレムを倒したのもフーケを捕まえたのも全部エミヤ君じゃ」
「まあ、彼はただの平民ということになってますからなあ。女王陛下がそうお思いになっても仕方がないことです」
そう言ったコルベールの言葉に、私は引っ掛かりを感じた。
「平民〝ということになっている〟とはどういうことなのですか?」
私がそう言うとコルベールが失敗したといった風に口を押さえた後に、申し訳なさそうにオスマンのほうを見る。
オスマンはそんなコルベールを見てから、ため息をつく。
「ミスタコルベール、重要な情報をありがとう。君は早く授業の準備をしなさい」
「…わかりました」
コルベールは肩を落として部屋から出て行く。
「アンリエッタ姫様、エミヤ君について私たちが知っていることだけ教えましょう」
「ええ、ぜひお願いします。ハルケギニア中の貴族がみすみす盗みを許してしまったフーケ捕まえたという彼には、いったいどんな秘密があるのですか?」
「姫は始祖ブリミルの【ガンダールヴ】のことを知っていますかな?」
「え?ガ、ガンダールヴですか?あの、始祖ブリミルが用いたという最強の使い魔の?」
それはもちろん知っている。始祖ブリミルを支え、互いに助け合ったと伝えらている使い魔。
1000に値する力を持つといわれる最強の使い魔。
「そうじゃ。どうも完全なガンダールヴではないようなのじゃが、彼はその力の一端を実際に使用しておる」
それは、頼もしくないわけがない。いまやガンダールヴは始祖ブリミルと同じく伝説の存在。そんな使い魔がこちらの味方をしてくれているのだから心強い。
「まあそれ自体も驚くべきことなのじゃが、彼はまだなにかを隠しているようなのじゃよ。」
「なにかとは?」
「わしも聞いてみたのじゃが、逃げられてしまっての。
しかし、もしかしたら彼がガンダールヴであるということよりも大変なことかもしれん」
「ガンダールヴよりも?そんなことあるでしょうか?」
「わしは一度だけ彼の戦いを見たことがある。そのとき彼が剣を使ったのだが…」
剣、ということはガンダールヴの能力を使えたということなのだろうか。
ガンダールヴの能力は武器を自在に使えるようになるというもの。使用者自身の能力や五感、筋力も上げてしまうらしい。
「そのとき、わしは血の気が引いた。彼が使っていた剣がわしがいままで見たどんなマジックアイテムよりも魔力がこめられていて、青銅の塊を抵抗なく切り裂くことのできるくらい切れ味のある剣じゃ。それだけじゃない。彼は剣を持つ前でさえ貴族相手に己の体ひとつでメイジを圧倒していた。
そんなことは有り得ない。有り得るはずがないんじゃよ、普通ではの」
ということは、オスマンはエミヤさんが普通ではないと言いたいのだろうか。
私は昨日会ったエミヤさんのことを思い出す。
浅黒い肌に高い身長、そして部屋の中だというのに赤い外套を身に着けていた。一目見ただけで鍛えられた体だと思った。しかし、私は王宮で彼より一回り大きい衛士を見たことがあるし、ほかの平民との違いがそこまでわからなかった。
「アンリエッタ姫。彼がついていれば少なくともあの三人の中から死人が出るようなこともなかろう」
「ずいぶんと、彼のことを信頼しているのですね?」
「信頼?そんなものしとらんよ。エミヤ君はずいぶんと隠し事をしているようじゃしな。もしかするとミス・ヴァリエールにさえ隠していることがあるかもしれん。
そんな男を信用できるわけがなかろうて。わしがしているのは評価じゃ。あえて信頼するという言葉を使うならば、わしはエミヤ君の強さは信頼できる、そんなとこじゃよ」
それでもこんな危険な任務に向かっているのに心配していないのは、彼のことを信頼しているからだとも思うのだが、このご老人にとっては本当に違うのかもしれない。
「そうですか、ならば彼がみんなを守ってくれることを祈りましょう。
わたくしの大切な親友とわたくしのために自ら名乗り上げてくれた少年を守ってくださることを祈りましょう。
もしもこの任務が失敗してしまえばトリステインは取り返しのつかないことになってしまいます。そして………」
彼も救うことができない。
枢機卿に頼りきりのなにもできない名ばかりの王女。ただの飾りと大して変わらない。
だから私は彼女に、ルイズに頼ることにしたのだ。自分じゃなにもできないからと、私は卑怯にも他人の力を使ったのだ。
私の問題なのに、何の関係もないルイズまで巻き込んでしまった。
後ろめたくないというと嘘になる。ルイズは私の言うことまったく疑うことなく信じてくれた、そんな彼女を、私は利用しているようなものなのだ。
ひざを床につけて中腰になって、両手を合わせる。
どうかみんなをまもってください
何事もなく任務を果たして帰ってきてくれることを祈る。
私にできることなんて、本当にこれだけなのだから。彼女たちががんばる分だけ、私も真剣に祈る。
どうか無事に帰ってきてください、と
呼んでいただきありがとうございます。
今回はアンリエッタ視点で書かせていただきましたが、設定的にアンリエッタのキャラを守っていられているか自身ありません。
おかしいと感じましたら遠慮なく言ってください。修正しますので。
それでは
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