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デスマーチからはじまる異世界狂想曲 作者:愛七ひろ
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1-9.悪魔と踊ろう![前編]

※8/16 誤字修正しました。

 サトゥーです。実はヘタレな事が発覚したサトゥーです。

 リアル悪魔、怖すぎます。

 とくにあの咆哮!

 動物園で檻のそばでライオンに吠え掛かられてみてください。いくら安全だと分かっていても、心の準備ができていないと、怖いものです。


 ◇


 広場が見える背の高い建物の屋上まで戻ってきた。
 そこから見える広場には悪魔とそれを十重に囲む兵士達。門前には重装兵がさらに防御陣をつくり後ろの魔法使い達を守っている。
 騎士達は突撃のチャンスを窺っているのか数騎ずつの編隊を作って兵士の後ろで位置を調整している。

 後ろから矢を射掛けつつ槍兵で突きかかっては悪魔の餌食になっている。
 どうも悪魔は遊んでいるらしい。
 積極的に攻め込まず、攻撃してきた兵士を捕まえては引き裂いたり骨を折ったりして楽しんでいるように見える。

 古来の悪魔と同じ存在なら、兵士の恐怖や仲間を殺される怒りを味わっているのかもしれない。

「さて戻って来たのは良いが、接近戦で割り込む余地が無いな」

 オレの姿は先ほどまでと違いボロいフードとマントに着替えている。確実に汚れるのが分かっていて高い服のままでいたくなかったのだ。

 懐から魔法銃を取り出す。短銃の方ではなく大きな照準器のついたライフルっぽい作りの物だ。
 300メートルほどの距離があるのと悪魔が動いているので照準がなかなか合わない。

 兵士達が引くタイミングで魔法使い達が魔法を放ち悪魔の下半身を土に埋める。

 悪魔が静止した好機をモノにするべく引き金を引く。

 外した。

 力みすぎて引き金を引いた時に射線が少し下に行ったらしい。
 幸い角度があるので兵士に誤射せずに済んでホッとした。

 悪魔には連続して炎や雷撃の魔法が叩きつけられているが、障壁で防御されているらしくダメージは通っていないようだ。

 足が止まっているのをいいことに魔法銃を最低威力のまま連射する。

 3発目でようやく命中! 悪魔の側に体力ゲージが現れゲージが少し減る。

「ゲームかよ」

>「射撃スキルを得た」
>「照準スキルを得た」
>「狙撃スキルを得た」

 視界の隅に小さく表示したログウィンドウにスキル取得メッセージが出ている。

 余所見をしたのがマズかった。避ける暇も無く悪魔の放った雷撃がオレに命中する。雷撃はオレを打ち据えた後、足場になっている建物の屋根まで破壊する。

>「雷魔法:悪魔スキルを得た」
>「雷耐性スキルを得た」
>「麻痺耐性スキルを得た」
>「苦痛耐性スキルを得た」

「痛てて、手足がピリピリする」

 強いて言えば正座をしたあとの痺れに静電気のピリッと来たのを足した感じだ。自分の体力ゲージを見ると5ポイントほどダメージを受けている。

 そういえば悪魔のレベルとか確認するの忘れていたな……。
 ちょっと嘆息する。

「どれだけテンパっているのやら」

 とりあえず、ささっと主要項目を見る。悪魔族、レベル62、「雷魔法:悪魔」「風魔法:悪魔」「闇魔法:悪魔」「格闘」「飛行」スキル。

 瓦礫を押しのけ建物から離れる。追撃されないとも限らない。

>「自己治癒スキルを得た」

 HPバーを見たらいつのまにか回復していた。自然治癒か。

 路地裏を別の建物を目指して移動する。
 移動しながら「苦痛耐性」「雷耐性」「麻痺耐性」「射撃」「照準」「狙撃」「自己治癒」にスキルポイントを割り振って有効にしておく。

 さっきの建物から100メートルほど離れた場所にある3階建ての屋敷を見つけた。内壁を越えた手順で屋上に上る。

 範囲攻撃でも使われたのか囲んでいる兵士が半分以下に減っている。

 ストレージから取り出した弓に矢を番えて悪魔を狙う。弓なんてこれまで使ったことが無いが照準や狙撃のスキルのお陰か、なんとなく狙い方が分かる。

「狙い撃つぜ!」

 よく狙いを定めて、悪魔が止まった瞬間を狙って……撃つ。

 外れた。

 弦が弓を持つ手に当たって痛い。

 その後、何度も射掛けるが全て外れ。弦が手に当たらない撃ち方が分かったくらいしか収穫がなかった。

 囲んでいる兵がかなり疎らになってきている。
 悪魔まで隠れて接近できそうなルートを見つけたので、マップにマーキングしてから屋根を下りる。

 装備を鱗族の槍に変える。
 こんな事なら革鎧でも仕立てておけば良かった。

 槍を両手で持ち最初の遮蔽物の陰へ。

>「密偵スキルを得た」

 使えそうなスキルをゲットしたのですぐにスキルポイントを割り振る。
 悪魔との中間位置に複数の大型馬車が重なるようにひっくり返っている場所がある。そこを目指して移動する。
 密偵スキルが発動しているのか足音が消えている気がする。気のせいかもしれない。

 悪魔の咆哮が聞こえ突撃していた騎士に落雷が落ちる。
 どうもあの咆哮が魔法の詠唱みたいだ。

 悪魔の気がそれている間に距離を詰め、後ろから一気に槍を突き立てる!
 ズブリという嫌な音が聞こえてきそうなほどリアルに肉を裂く感触が手に伝わる。
 チキンなオレは思わず槍から手を離してしまった。

 手が、足が震える。

 動けないでいたオレは死角から襲ってきた悪魔の尻尾に痛打されて3メートル近く吹っ飛ばされる。さらに地面を転がって残骸溜りに激突して止まる。

>「不意打ちスキルを得た」
>「槍スキルを得た」
>「打撃耐性スキルを得た」

 体力は1ポイントくらいしか減っていない。だが初めての近接戦闘に興奮か恐怖かわからないが手足の震えが止まらない。
 悪魔の関心が再突撃してきた騎士に移ったのを幸いに、大きく何度も深呼吸する。

 すこし震えが治まってきた。

>「恐怖耐性スキルを得た」
>「蛮勇スキルを得た」

 残骸の陰で青銅製の小剣(ショートソード)と盾を装備する。剣は抜かず腰のベルトに鞘に入ったまま差す。普通なら吊り下げ用の金具と専用のベルトを使うのだろうが無いものは仕方ない。後で買おう。

 さらに短弓に矢を番えて構える。骨の鏃だ。悪魔まで10メートル強だが当たる気がしない。

 悪魔が持ち上げた兵士を突撃してくる騎士に投げつけようと構えている。
 兵士を投げるタイミングにあわせて接近。気づかれる事無くゼロ距離から矢を放つ。

>「弓スキルを得た」

 すぐに弓を捨てて、小剣を抜刀しながら悪魔に斬りつける。
 パキッと軽い音を立てて小剣が折れる。青銅とはいえ一撃で折れるとは……。

>「居合いスキルを得た」
>「片手剣スキルを得た」

「▼▼ ▼▼▼▼ ▼▼▼▼▼▼▼!!」

 悪魔が意味不明な言葉で罵倒しながら毒爪で攻撃してくる。
 とっさに受けようとするが盾と反対側からの攻撃なので、どう動けばいいかとっさに判断が付かず、折れた剣で受けようとしてしまう。
 もちろん、そんなもので防げるはずもなく毒爪の一撃を食らってしまう。

>「悪魔語スキルを得た」
>「毒耐性スキルを得た」

 毒耐性はすぐに有効にしたいが、戦闘中に操作できるほど甘くないようだ。
 反対側の毒爪を盾で防ぎ、手に持っていた小剣のグリップ部分を悪魔に投げつける。

>「盾スキルを得た」
>「投擲スキルを得た」

 マントの影から武器を取り出そうとして注意が疎かになった隙に尻尾で足払いされて転がされてしまう。
 さらに追撃で足が降ってくる。

 踏む! 踏む! 踏む! 怒涛のストンピングを3連続でくらいつつ4回目でようやく体をひねって抜け出す。

>「回避スキルを得た」

 不自然な体勢から地面を蹴って悪魔との距離を取る。
 ようやく勝ち取った時間を駆使して「回避」「盾」「毒耐性」「打撃耐性」の順にスキルポイントを割り振る。

 マントを遮蔽物(カバー)にしてストレージから短剣と薪棍棒を取り出す。短剣をベルトに挟み、棍棒を構える。

 心なしか悪魔の顔に嘲笑が浮かんでいる気がする。
 悪魔も自己治癒できるのかHPが回復していっている。スキル欄には無かったが、種族特性とかか?

 視界の隅で騎士達が次の突撃の準備をしているのが見えた。
 棍棒を構え慎重に距離を測る。

 騎士が突撃しやすいように悪魔の注意をこちらに向けることにする。

 悪魔の懐に飛び込んで棍棒で殴りかかる。悪魔の黒い肌に当たると一撃で折れてしまった。
 悪魔の毒爪を盾で防ぎ、尻尾の攻撃を最小限の動きとジャンプでかわして行く。
 短剣を抜いて切り付ける。回避しきれなかった毒爪を短剣でなんとか受け流す。

>「片手棍スキルを得た」
>「短剣スキルを得た」
>「受け流しスキルを得た」

 騎士が助走をつけて広場の中ほどまで来たところで盾ごと体当たりして騎士の方によろめかす!
 オレはその反動で後ろに飛びのく。騎馬に跳ねられたく無いしね。

>「盾攻撃(シールドバッシュ)スキルを得た」

 騎士達は一撃離脱で次々と馬上槍を悪魔に突き立てる。

>「連携スキルを得た」

 3騎編隊の最後の一人が尻尾攻撃で離脱に失敗した。人馬共に横薙ぎに転がされている。
 落馬した騎士に追い討ちを掛けようとする悪魔の側面からとび蹴りを掛ける!

>「蹴撃スキルを得た」

 足元に落ちていた兵士のものらしき穂先の折れた槍を拾い短剣を鞘に戻す。さすがに短剣だとリーチが短すぎて受け流すのが大変すぎる。

 穂先の無い槍で悪魔の攻撃を受け流しながら落馬した騎士が兵士達に回収される時間を稼ぐ。
 受け流すついでに石突の部分で悪魔の足を突いたり、腕に叩きつけたりして防戦一方にならないように気をつける。

>「両手棍スキルを得た」

 ついに槍が毒爪の餌食になって折れてしまう。

 悪魔の眼がギラリと光る!
 嫌な予感がしたので盾を持った手を掲げマントの影に全身を入れる。この手の悪魔につきものの視線攻撃だろう。魅了か麻痺か石化か。

 マントが、盾が、石に変わっていく!

 ……なんとかマントと盾の犠牲だけで耐えれたようだ。
 発動がもう少し早かったらヤバかったかもしれない。

>「石化耐性スキルを得た」

 悪魔側からは石化したように見えるかもしれないので、追撃が来る前に「受け流し」「石化耐性」スキルをポイントに割り振る。

 もっとも石化したように見えたのは悪魔からだけじゃなかったようだ……。
 ようやく無双開始です。

 本当は最後にマントが石になるシーンで止めるはずだったんですが、助かるのが見え見えなので引きのシーンを変更しました。

 弓が当たらないのは仕様です。和弓を触ったことのある人なら同意してくれるはず!当たる分けないのです!
 銃が当たるのはレーザーのように直線で飛ぶせいです。実弾ならたぶん命中しなかったでしょう。モデルガンを(略
+注意+
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