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デスマーチからはじまる異世界狂想曲 作者:愛七ひろ
70/516

5-幕間3:タマ

※8/16 誤字修正しました。
 ワガハイはタマである、ご主人さまが名づけてくれた。

 タマには家族がいるにゃん。
 すごく強くて優しいご主人さまと、妹みたいなポチとお母さんみたいなリザ。それに生意気なアリサと大人しいルル。みんな猫人族じゃないけど、大切な家族なのだにゃん。

 アリサが「にゃん」を付けるとご主人さまが喜ぶって言ってたけど、嘘だった。喜ぶどころか心配された。

「さぁ~行くわよ~。みんな付いてきなさ~い」

 アリサが先頭を切って走っていく。今日は買い物の日。
 新しい服! ヒラヒラのフカフカで変な匂いのしない可愛い服。

「ポチがこの服だとするとタマは、こっちのシャープな方がカッコいいかな?」
「こっちのリボンのがい~?」

 アリサが勧めている方じゃなく、ポチとお揃いの小さなリボンが付いているのが欲しいといってみた。

「あら? 意外ね、可愛い系が好きなのね~」

 お金の使い方を知らないので、買うのはアリサがやってくれた。

 買い物が終わって、余ったお金でいっぱいいっぱいお肉が食べれた。とっても幸せ。
 公園の横を通りかかって、あの陽だまりでお昼寝したいな~って見ていると、そこにご主人様がいた。

「ご主人さま~?」

 駆け寄って話しかけても、どこか辛そう。
 一緒に走ってきたポチも心配そうにしている。

「オナカ痛い~?」
「大丈夫だよ、疲れがでたのかもね」

 ご主人さまがそう言って、頭をポンポンと叩いてくれる。もっと撫でて欲しくて、ご主人様の手に頭を擦り付ける。





 外! 今日初めて街の外に出た。
 アリサが「小さい頃は街の外で暮らしてたんじゃない?」と言っていたが、覚えているのは冬の寒さと、誰かの毛のぬくもりだけ。
 ポチと出会った頃からはちゃんと覚えているけど、昔の事はあんまり覚えていない。

 ポチは最初、言葉を覚えていなくて「ぐるる~」とか唸ってばっかりだったけど、がんばって言葉を教えた。だってお姉ちゃんだから。

 馬車がガタゴト揺れるのが楽しい。アリサとルルはお尻が痛いって泣いてたから「大丈夫~?」って聞いてみた。「人間の知恵に不可能は無いのよ!」って叫び返してきたけど意味はよくわからなかった。アリサの言葉は楽しいけど、いつも良く判らない。ヘンな子だ。

 アリサは色々教えてくれた。「じゃんけん」「ぐっぱー」「けんけん」「カード遊び」「あにそん」、いっぱいいっぱい教えてくれた。
 今度、獲物が取れたらアリサにあげよう。

 ご主人さまの横に座って流れていく景色が楽しい。ポチもご主人さまの反対側に座っている。

「にゃ!」

 今、草むらに獲物いた!
 飛び出そうとしたけど、リザに腰帯を掴まれて飛び出せなかった。残念。

 馬車が揺れたのにアリサが文句をつけている。馬車は揺れるものなのに、アリサはやっぱり変。
 頭に乗っかられてたポチが、アリサに反撃してる。う~、混ざりたい。でも、お姉ちゃんだからガマンする。う~、ガマン……無理にゃん♪

 リザに止められるまでポチやアリサと遊んだ。





 う~、獲物がちらちらしてる。
 でも、ご主人さまの命令が出るまではガマン、ガマン。

「ポチ隊員! タマ隊員!」
「あい!」
「はいなのです!」

 前にアリサに教えて貰った「シュタッ!」のポーズを取ってご主人様に答える。

「これより2人に任務を与える! 巨石周辺の安全を確認する事!」
「あい!」「です!」

 ポチと一緒に、さっきから目を付けておいたウサギを追いかける。

 ウサギが、ぴょんぴょん跳ねる。
 ポチと2人で挟み込む。

 魔物より遅いにゃん。

 飛び掛る。

 ぴょんぴょん。

 にゃう、逃げた。

 ぴょ~ん。

 ポチが飛びつく。

 ウサギが体を捻ってポチの下から抜け出した。

 逃がさない!

 とー!

 でも、ウサギは草影の穴の中に潜ってしまった。
 う~、ここに入ると、ご主人様に買ってもらった服が汚れる。

 だけど、ポチは迷わず、穴に突っ込んでいった。
 お姉ちゃんだもの、このウサギはポチにあげる。

 ウロウロしてたら岩陰にいたヘビを捕まえた。毒の無い美味しいヤツだ。
 でもちょっと小さい。シッポの方を持ってクルクル回しながら次の獲物を探してたら、薪集めをしてるアリサを見つけた。

「アリサ~?」
「あら、タマ。ん? 何持ってるの?」
「へび~」

 そうだ、アリサにあげよう。
 ちょっと小さいけど、オヤツにピッタリだ。

「あげる~?」
「ちょ、ダメ、こっちに来ちゃダメ」
「毒無いよ~?」

 毒は持ってないヘビだから大丈夫なのに。
 さあ、アリサ、遠慮なく頭からムシャムシャと齧っていいよ?

「ちょ、ポイしなさい」
「ポイ~?」
「そう、クルクル~って回して、ポーイって放り投げなさい」
「あい~」

 アリサの言うようにクルクル~と回して投げた。
 新しい遊びみたいだけど、面白い所がわからない。

「そう、それでいいのよ」

 アリサが、腕を組んでうんうんと頷いている。正しいみたい。
 アリサは足元に落としていた薪を拾って、ご主人さまの所に帰っていった。

 今度は、ご主人様のために、もっと大きい獲物を探そう。

 トンボを追いかけ。

 コウロギを追いかけ。

 み~つけた。

 しのび寄って~、とー!

 後ろから押さえ込んだ獲物は、それだけで気を失ってしまった。

 弱い~?

 ご主人さまにプレゼントしたのに「逃がしてあげなさい」って言われた。
 おっきな、獲物なのに~。

 でも、ご主人さまの命令だから、タマは言う事聞く。
 アリサに教えて貰ったとおりにクルクル~って回してポイした。

 ご主人さまに怒られた。

 アリサに嘘はダメって教えないと。
 だって、お姉ちゃんなのだから。
 秘かに埋没していたタマにスポットを当ててみました。

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