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デスマーチからはじまる異世界狂想曲 作者:愛七ひろ
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SS:アリサ先生の魔法教室

「■■■ 微風(そよかぜ)
「キャッ」
「いやん」

 少年の声と共に私達のスカートがめくれる。
 色とりどりの下着の乱舞に、少年の後ろにいた子供達から歓声が上がった。
 まったく、色ガキ共め。

「げっ、アリサのやつ、スカートの下にズボンを穿いてるぞ!」

 少年が必死で練習している呪文が「微風」で、その少年の傍で男の子達が含み笑いをしていたら目的なんて考えるまでも無い。
 こんなに早く詠唱に成功するとは思わなかったけど、最低限の保険を用意しておくのは淑女としては当然の備えだ。

 なのに悪ガキ達から批難の声が上がった。

「ずりぃ!」
「狡くない」

 まったく、どこの世界でも男ってヤツは……うちのご主人様も少しは見習って欲しいモノだ。こんな美少女が一緒に寝てるのにイタズラの一つもしないなんて。
 両面にYESと書いたマクラが泣いてるわよ。

 おっと、そんな事よりも。

 生活魔法を使った少年の横でこっちを指さして吠える悪ガキに拳骨を落とす。
 もちろん、横にいる主犯の頭にもだ。

「――ッテェ」
「ぐはっ」

 悶絶する二人を腕を組んで睥睨する。
 他の男の子達は、スカートを捲られた女の子に囲まれて責め立てられている。
 当然の報いね。



「さて、ここに呼ばれた理由は判っているかね。少年?」
「あれだけボコボコにしたんだから、もう許してよ」

 少年が情けない顔で私に懇願する。
 その様子に嗜虐心が首をもたげるが、最愛のご主人様の笑顔を脳裏に描いて耐えた。

 ふぅ、美少年はサイコウだぜ。


 ――閑話休題。

「生活魔法を使えたキミには二つの道がある」

 私は真剣な口調で少年に語りかける。
 一つは生活魔法使いになって安定した収入を得る呪いまじない士になる事だ。
 二つ目は術理魔法や属性魔法を覚えて魔法使いになる道がある。

 少年の答えは――。



「第一回アリサ先生主催、パワーレベリング大会ぃ~」
「お、おい、アリサ。迷宮に入るなんて聞いてないぞ」
「言ってないも~ん」

 あせる少年の言葉を聞き流す。
 ナナと私がいるのに上層の11区画なんて危ないわけないじゃない。

「油断大敵~?」

 わわっ、タマってば、いつから居たの。
 タマの足元には塵になって消えゆく這い寄る影シャドウ・ストーカーの人型の染みが残っていた。
 うはっ、こいつはもっと奥にしかいないはずのヤツじゃん。
 危ない危ない。忍者が居てくれて助かったわ。

「ねぇ、タマも一緒に来てくれる?」
「おーけー」
「助かるわ。地上に戻ったら好きな肉串を奢るわね」
「わ~い」

 無邪気に喜ぶタマに少し後ろめたさを感じる。

 そこからは、タマの索敵とナナの守りで楽々とパワーレベリングを続けた。
 途中から少年が無口になったけど、魔力回復薬の飲みすぎじゃないはずだ。レベルアップ酔いを魔法薬で強制快癒したせいでもないはず。

 そうして夕方までの間に、土魔法と水魔法が使える魔法使いが爆誕した。
 地上での座学に時間を喰ったけど、これで「ぺんどら」達にも念願の魔法使い枠が埋まるはず。

「でもさ、水はわかるけど、どうして土なの?」

 子供なら光とか火を選びそうなのに。

「だって、『じゅよう』が多いってイルナ先生も言ってたもん」
「あんた子供のくせに堅実ね~」
「まあね。それに士爵さまが土魔法使いを欲しがってたじゃん。少しでも士爵様に恩返したいんだ」

 ガキんちょのくせに生意気。
 でも、やっぱ男の子は小さくても男ね!

 たっぷり頭を撫でて誉めたあと、地上でタマと一緒に肉串を奢ってあげた。
 ナナは「アリサ語録」がどうとか言って対価を求めなかったけど、今度、ナナが好きそうな小物を探してプレゼントしよう。

 後日、肉串だけじゃアレなので、ご褒美に半ズボンをプレゼントしたけど拒否された。
 少年のユニホームといえば半ズボンなのに。解せぬ。
 孤児院の子供達の下着がカラフルなのはアリサが布を提供したからです。
 誰得情報ですが、縫製もアリサが教えたので現代風のデザインとなっております。
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