3-4.幼女と夜の騒動
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※2018/6/11 誤字修正しました。
サトゥーです。悪縁契り深しとも言いますが、好みじゃない相手ほど腐れ縁が深くなってしまう。
たまには好みのど真ん中の相手と付き合ってみたいものです。
◇
まっぱの幼女が腰の上に跨っている。
……ナニコレ、夢だよね?
昔、長期休みに田舎の祖父ちゃん家で弟妹や従姉妹が寝ているところに飛び乗って起こしに来た時に似ている。
違うのは乗っている幼女が裸な事と、従姉妹たちほど無邪気な雰囲気でもない事だ。
小刻みに動いていた幼女が最後に大きく震えた後、オレの剥き出しの胸板にしな垂れかかってくる。その表情は幼女というよりは女の顔というべきか?
冷静に観察しているようでいて、オレはとても動揺していた。ロリコンじゃないよ? 絶対にだ!
なのに何故、こんな状況に!
奴隷商人のニドーレン氏から2人を購入した後、オレたちは……。
◇
「昼も夜も奉仕の手を休めず精力的に、ご主人様にお仕えします」
紫髪幼女――アリサは、契約の儀式のときにそんな事を言っていた。リザ達や黒髪娘――ルルは無言だったので彼女なりのアピールだろうか?
奴隷契約の儀式も終わり、ニドーレン氏に代金として金貨1枚を払った。明後日の午前中まで、さっきの場所にいるそうなので追加で奴隷を買いたくなったらいつでも来てほしいと言われた。
天幕の外で自己紹介をさせる。
「では改めまして自己紹介させていただきます。今は亡きクボォーク王国に生を受けました、アリサと申します。当年で11歳、成人まで4年ありますが、拙いながら夜の御奉仕も喜んでさせていただきます。幾久しく可愛がってくださいませ」
年に似合わない流暢な挨拶を済ませ、アリサが裾の両端をちょこんと摘まんで一礼する。動作は優雅で気品があるのだが、裾の丈が短く前で合わせてあるだけの簡素な服なので足の付け根がむき出しになっている。
なので視線を顔に戻し「こちらこそよろしく、名前はサトゥーだ」と簡単に返答しておいた。
「……ルルです。14歳です。クボォーク王国出身です。この様な醜女で体も貧相で……夜のお相手は務まらないと思いますが、牛馬の様に働きますので……お見捨てにならないでください」
ルルは前髪で顔を隠すように俯きながら自己紹介した。その声は澄んでいて声優の声質とは違うがソプラノの聞き心地のいい声だ。震えていなければもっと良かっただろう。
本人は貧相と言っているがBカップはありそうだし14歳でBなら将来有望だと思うんだが、こちらは巨乳至高主義なのか? 柔らかければいいじゃないか!
それはともかく、この娘の美貌で醜女とか言っちゃうと謙遜でも刺されるぞ。前髪で顔を隠す様はサダコみたいだが、昔TVで見た全国美少女コンテストとかの優勝者とくらべてもぶっちぎりで勝利しそうなほど正統派美少女顔だ。
ありていに言えば好みだ。これで性格が好きなタイプだったら成人になった後にでもプロポーズを考えたいくらいに。
アリサとルルは亜人に偏見が無いのか獣娘達がフードを取って顔を見せても嫌悪感を見せなかった。ルルがリザを怖がっていたが嫌悪という感じではない。他国出身の人からすると亜人も嫌悪対象ではないのか?
ポチとタマは最初人見知りしていたが、アリサとルルが普通に対応しているとすぐ馴染んだ。
「では、宿に戻るか」
5人に声を掛け通りに戻る事にする。アリサがするっと自然な感じで左腕を取って抱きつくように腕を絡める。残ったもう片方をポチとタマが取り合う。決着がなかなか付かなかったのでリザが2人を荷物のように両手に抱え持った。2人は諦めたのか両手足をぶらーんとさせて大人しくなった。……あのポーズ好きなんだな。
きゅるきゅるきゅ~~。
可愛い音がした。振り返るとルルが赤くなっている。美少女の恥らう姿が愛おしい。今のところ恋愛対象にはならないが将来が楽しみだ。
いい匂いのしている屋台がたくさんあるが客が少ない。どうもオークションが始まるらしく会場に入る金持ちと、美人奴隷を会場の外から観賞する野次馬がみんなそちらに流れたようだ。
都合がいいので屋台前にテーブルを何卓か出している所があったのでそこに陣取る。鶏のスープと平たいパン、モツと根菜の盛り合わせ、安定の肉串を人数分買う。肉串は多めに買った。
「いただきます」と言って食事を始める。
獣娘達が食事を始めると新人2人も食べ始める。アリサが肉串を頬張った後、「あ~久しぶりのタンパク質♪」といいながら頬を押さえていた。この世界にも栄養素の概念はあるんだな、と聞き流しながら皆の食事風景を楽しむ。
ルルは遠慮がちながらも一生懸命食べている。ただ他の4人に比べて食べるのが遅いので大皿の盛り合わせはあまり食べられなかったようだ。今度は先に小分けにしておいてやるか。
オレはあまり腹が減っていなかったので途中で食事を終了したが、獣娘達とアリサはまだまだ食べたり無さそうに見えたのでモツと根菜の盛り合わせを追加で注文した。
「そのまま食事をしていてくれ、ちょっと露店でアリサとルルの外套と靴を買ってくる」
「か、買い物なら私が行きます」「わたしが行きます」
ルルとリザが立ち上がる。ポチとタマは肉を齧った姿勢で止まり、視線だけでこちらを見上げる。
「みんなはそのまま食べなさい。これは『命令』だよ」
食べ終わってからでも良かったんだが、正面に座ったルルの胸元がチラチラ見えて落ち着かなかったんだよ。その横に座っていたアリサの胸元は先端までバッチリ見えていたがそっちは別にいい。
奴隷用なのかすぐ近くで売っていた安い外套とサンダルを2人に与える。
ほどなくパン屑さえ残さず完食した5人を引き連れ宿へ帰った。
>「奉仕スキルを得た」
◇
宿ではゼナさんの言ったように亜人が宿に入るのを拒否された。
ただし、マーサちゃんが馬小屋の中とはいえ3人の為に新しい藁でベッドを作ってくれたのでポチとタマは大喜びし、リザも控えめに礼を言っていた。藁のベッドの上に迷宮で使っていた毛布をかけて眠れば暖かいだろうか?
迷宮の戦利品の入ったカバンのうち、調理器具や食品の入っている方はリザに預けておく。中にはポチとタマの小剣と予備のナイフも入っている。
市内で亜人が武装するのを禁止されているので迷宮を出たときに回収したが護身用に側にあった方がいいだろう。
食品は「お腹が減ったら食べてもいいよ」とリザに許可を与えておく。これで朝寝坊しても大丈夫だ(笑)。
ルルもここで一緒に眠るつもりだったようだが、宿に入れてもらえるなら部屋で寝た方がいいので連れていく。
女将に2人部屋を追加で借りようとしたのだが、空きが無いそうなので、オレの部屋に予備のベッドを追加する事になった。
元々2人部屋だったのか広めの部屋だったので2つ目のベッドを入れても狭いと言うほどでもない。
アリサとルルに新しい方のベッドで一緒に寝るように言って、オレはいつものベッドに入って眠る。
迷宮の中では獣娘達に休息を取らせるために一人で番をしていたので一睡もしていない。そのせいか瞼が重い。
オレは久々の眠りに身を任せた。
◇
そして冒頭の状態に飛ぶ。
何故、幼女と同衾している?!
落ち着けサトゥー! ここはクールになるんだ。
オレが起きたのに気がついたアリサは悪戯っぽく「起こしちゃった?」と囁いて啄むようなキスをしてくる。
オレはそれを受け入れながら、彼女の髪を漉いてやる……。
いや、まて! ここは跳ね除けるところだろう!
……このままでは幼女趣味の烙印を押されてしまう。
アリサは口だけでなく耳元、鎖骨、胸板と順番にキスをしていく。小さな手で軽く、そう軽く愛撫してくる。
オレはそれに応えて彼女のうなじから首筋を撫で返す……。
なぜだーーー! オレがオレじゃなくなったみたいだ。
アリサはオレの無駄毛の無い胸板を攻略し、薄く割れた腹筋に頬を預け指を這わせている。
その仕草に愛おしさを感じる、このまま彼女の全てを蹂躙した……いか?
この思考はおかしい。幾らなんでも違う。
ぼやけていた思考が少しクリアになる。オレは思考操作でメニューを開きログの表示設定をONにする。ログの中に見つけた!
オレはゆっくり体を起こし、こちらを見上げてきたアリサの両脇に手を差し入れて持ち上げ首筋に顔が来るように抱きしめる。
少し慌てつつもオレの頭を抱きしめるアリサ……。
オレはその耳元で優しく、だがハッキリと『命令』する
「アリサ。魔法とスキルの使用を禁止する。これは命令だ!」
アリサは手を緩め、驚愕に歪んだ顔でこちらを見つめてくる。
「さらに既に効果を発揮している魔法とスキルの効果を今すぐ解除しろ。これも命令だ!」
命令は受理されたらしくログに魔法効果が解除された事が表示される。AR表示の情報も変わっていく。
念のためにログに出ていた「精神耐性」スキルを最大まで取得しておいた。「精神魔法」スキルも手に入れていたみたいだが、今はいいだろう。
「どうして……」
「それは、こちらのセリフだよ? 精神魔法でオレを操って何が目的だ?」
そう、彼女は購入した時とさっきの2度、魔法を使っていた。最初が「魅了」と「焦燥」の魔法を、さっきが「誘惑空間」と「発情空間」を使っていた。
鑑定で見た彼女のスキルは「なし」だったが、最初にAR表示された彼女のスキルは「不明」だった。もう少し早く思い出していれば……。
「……精神魔法と言われましても」
「誤魔化したり惚けたりするのも禁止する。命令だ、目的を言え」
オレは逃げ道を塞いで尋問する。
>「尋問スキルを得た」
よしポイントを割り振って有効化する。とりあえずレベル3くらいにしておこう。
「重ねて言う、嘘偽り無く目的を話せ」
彼女は観念したかの様に話し出した。敬語が消えている。
「……目的はご主人さまの奴隷になる事よ」
「2回目に魔法を使ったのは?」
「ご主人さまに奉仕したかったのよ」
ちょっと不貞腐れたように言う。
「意味がわからないな、もう少し分かりやすく話せ」
「もう! だから言ってるじゃない。最初に会ったときに一目惚れしたの! 細く柔らかそうな黒髪! 無防備そうな表情! バタくさくない童顔! 華奢な体躯! こんな人が主人になってくれたら! と夢想していた人が目の前に来たのに、あっさり素通りしようとしたの! そんなの許せないわ! だから魔法を使ったの! 買ってもらえるように!」
彼女はマシンガンの様に言葉を重ねる。少し自棄になっているようにも聞こえる。
「それで買ってもらった後に洗脳でもしようとしたのか?」
「違う! ぜんっぜん違う! わたしは奴隷になるとき誓ったもの。『昼も夜も奉仕の手を休めず精力的に、ご主人様にお仕えします』って! だからご主人様を誘惑して気持ち良くなってもらうのは奴隷の責務なのよ!」
どういう理屈だ? やっかいな事に嘘を吐いている雰囲気じゃない。
「建前はわかった、それで本音は?」
「ご主人様がベッドに呼んでくれるのを待ってたら本当に寝ちゃうし……仕方ないからベッドに潜り込んで寝顔を見てたらムラムラしちゃって~」
テヘッと擬音がでそうな顔だ。ちょっとムッとしたので頬を引っ張る。これくらいの制裁はかまわないだろう?
「いひゃい、いひゃいれす。いふぁいのははひゃのろきらけにひて~」
薄い頬なのによく伸びる。楽しくなってきたが目じりに涙が浮かんでいたので止めてやる。
「ちゃんと始めはセルフで頑張ってたのに~」
「では劣情に負けて襲っただけなのか?」
「そうよ」と彼女は頷く。
「まったく、なんなんだお前は……」
AR表示にはこう出ている。
名前:アリサ
年齢:11歳
称号:「サトゥーの奴隷」「亡国の魔女」「気狂い王女」
スキル:「精神魔法」
ギフト:
「自己確認」
「能力鑑定」
「技能隠蔽」
「宝物庫」
特殊能力:
「不倒不屈」
「全力全開」
まったく、見たことの無いスキルだらけだ。
アリサはオレの問いに悪戯っぽく答える。
「わたしは橘亜里沙、あなたと同じ日本人よ」
アリサが逆切れするシーンはイマイチなので後日改稿するかもしれません。
Hな表現で期待した人には肩透かしだったでしょか? 不足分はノクターンで補充してください。
アリサが惚れたのはサトゥーの外見です。この辺の詳細は何話か後の話で~。
この世界の鑑定では特殊能力やギフトはスキル枠で一まとめに表示されます。
特殊能力は簡単に言うと他作品で言うところのユニークスキルと言うヤツです。