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2-1.災害救助と巫女さん

感想感謝です!

思ったより沢山の方に読んで貰えてびっくりしてます~


※2018/6/11 誤字修正しました。


 サトゥーです。歴戦の勇士になった気分ですが所詮は小市民なサトゥーです。


 勝利とは言いにくい状況ですが、ひとまず戦闘は終わりました。

 これからは復旧や人命救助の新しい戦いの始まりです。


 そろそろハーレム候補の出番があってもいい頃合ですよね?



 ◇



 人気の無い路地裏でローブとマントを脱ぐ。全マップ探査の魔法を重ね掛けして周囲に人がいないことを確認してから変装を解く。


 まぁヅラと仮面を取るだけだが……。


 変装セットとローブをストレージに使用禁止アイテムフォルダを新設して収納する。

 着替え用のローブはドレにするか。


 使い道の無い派手派手なローブを取り出す。

 コレでいいかな?


 派手ローブに着替えて通りに戻る事にする。もちろん、行きとは違うルートだ。


 途中木の枝に兵士の死体が引っかかっている。こんな所まで飛ばされるとは……南無ぅ~。合掌。


 とりあえず御座形(おざなり)に冥福を祈ってから広場に戻ろうとする。


「あの~ そこの派手な人~」


 ……何というか気の抜けた声が掛けられる。


 レーダーを確認するとさっきの死体は死体じゃなく、どうも生きているっぽい。

 見上げる。


「すみません、広場の戦いが終わっていたらでいいんですが、誰か兵士の人を呼んでもらえないでしょうか?」


 助けろと言わない所に好感が持てる。

 しかし木の枝に引っかかっているが……手や足が微妙にヘンな方向を向いていないか?


 さて、助けるにしても足場があるか?

 ……あの窓を蹴って向こうの枝に着地すればいいか。


 兵士の最寄の枝までピョンと飛ぶ。骨折しているようなので、着地時に枝を揺らさないように特に配慮した。


「それじゃ、抱えるので動かないでください」

「えっ、どうやってココに? 無理しないで他の兵士を呼ぶだけでいいですから!」


 有無を言わせず抱え上げる。

 骨折しているなら抱えたまま地上に着地するのは不味いか……すくなくとも4メートルほどあるしな。

 というわけで、枝よりやや高い位置にある隣の屋根に飛び上がった。


「なるべく衝撃を与えないように飛んだが、大丈夫か?」

「はい、吃驚(びっくり)しましたが大丈夫です」


 何軒か先に屋上に出入り口のある家があったので屋根伝いに移動する。

 干していない洗濯物が纏めて置いてあるところを見ると干してる最中に悪魔が飛んできたんだろう。


 レーダーで屋内に人がいないのを確認してから家の中を通って路地に出る。

 オレは兵士をお姫様抱っこ状態で広場まで運んでいく。


「なぁ、ちょっとした疑問なんだが……」

「はい? 何でしょう?」

「悪魔に吹っ飛ばされたにしては飛びすぎじゃないか?」


 ギャグマンガじゃあるまいし。広場の端からも10メートル以上離れてるぞ?


「あの魔族の衝撃波で吹っ飛ばされたんですが、そのまま落下したら死にそうだったので落下速度軽減の魔法を使ったんですよ。もっとも魔力切れしちゃって。あの枝に引っかかったまま途方にくれてたんです」


 魔法使い以外も魔法使えるんだな……。


 広場には仮設の救護所ができている。

 救護所から少し離れたところにゴザがしかれて等間隔に人が並べられている……負傷者じゃなく死体か……。


「瓦礫から救助された人は、まずこちらに集まってください」


 怪我人が集められた場所の手前で白衣の女性が叫んでいるので、そこに向かう。


「すこし抱えている人を体から離して」


 と言われ腕を伸ばして胸の前に隙間を作る。


「埃を洗い流しますから、びっくりして、その方を落とさないでくださいね」


「■■■ ■■■■ ■■■■■ 柔洗浄(ソフト・ウォッシュ)


 兵士と一緒にびしょ濡れになる。たしかに埃やローブについていた(最初に殺された兵士の)血糊も落ちていた。


>「生活魔法を得た」


 たしかに生活で使いそうな魔法だ。こんな魔法があるから風呂屋が無いんだろうか?


「すぐ乾かしますね」


「■■■ ■■■■■ 乾燥(ドライ)


「済みました。では、あちらのチョークで描かれた円の中に入って待ってください。あそこの怪我人があつまっている所です」


 白衣さんは次の人に向かう。

 はじめて間近で魔法の詠唱を聞いたけど言葉というよりは不規則な音の連なりに聞こえた。PCの音楽制作(DTM)ソフトで適当な音符を並べて再生したような感じか?


 瀕死ではないが骨折などの重傷を受けた人が集められているらしい。ちょうど俺達で満員となる。オレは怪我をしていないがスキルゲットのため一緒に混ざっておいた。


 神官っぽい服装の柔らかい感じの美少女が、2人ほどの女神官を伴ってしずしずとやってくる。


「これより巫女オーナ様よりパリオン教の奇跡が授けられます。みなさま、そのまま静粛にしていてください」

 大柄な女神官さんが怪我人達に声をかける。小柄な女神官が緊張した様子の人に「体から力を抜いてください~」とどこか緩い声をかけている。


 怪我人が静かになったところで巫女さんが前に出、魔法の詠唱を始める。


「■■■■■ ■■■■ ■■■」

「■■■■ ■■■■ ■■■ ■■■」

 (中略……長いよ神官さん)

「■■■■■ ■■■■ ■■■ 範囲回復(エリア・ヒール)


>「神聖魔法:パリオン教を得た」


 ほとんどの人は今の魔法で治ったみたいだ。

 お供の女神官さん達が追加で治癒が必要な人に回復魔法を掛けていく。


 抱えていた兵士は「骨折後なので安静にしておきなさい」と大柄な女神官さんに言われたので仮設の救護所に預けてきた。


 そうそう、BLとかの要素はありませんよ? 兵士さんは発育がイマイチでしたが女性の方です。



 ◇



 さて色々魔法スキルを覚えたので呪文を覚えたいところだが、魔法書を売ってそうなお店は広場沿いにあった魔法屋と本屋の2つだけなので、店が倒壊してしまったし当分営業しないだろう……。


「情けは人の為ならず」


 打算いっぱいに本屋と魔法屋の片付けに協力して顔を売っておこう。


 魔法屋は店舗部分に馬車が突き刺さっていた。

 馬車付近に生存者がいないのを確認して馬車を引き抜く。

 ……よく考えたら、かなり目立つ行動じゃないか?


 馬車に引っかかっていた死体が視界に入ってしまい、すっぱいものがこみ上げてくる。……グロ耐性ないんだから勘弁してよ。


 魔法屋の中はグチャグチャに破壊されているが奥の扉から先は無事のようだ。レーダーに映る人影は扉の奥みたいなので、無事だろうとあたりをつけて本屋に行くことにする。


 本屋は正面の壁が崩れているものの倒壊の危険はなさそうだ。中を覗き込むと本棚がドミノ倒しになって本が散乱している。

 レーダーの反応から2人ほど本棚の下敷きになっているようだ。


 端から順に本棚を起こしていく。重厚な黒檀製で非常に重い。

 本棚を立てる⇒間の本を棚に詰め込む⇒次の本棚を立てるの順で作業しないと本が邪魔で本棚を立てられないので結構時間が掛かった。強引に本棚を持ち上げると棚が割れそうで怖かったので慎重に作業したせいもある。

 作業を始めて1時間ほどでようやく1人救出できた。


 10歳くらいの男の子だ。気絶しているが息はしている。HPが半分くらいになっているので作業を中断して救護所に預けに行く。本屋で救出したのを忘れずに伝えておいた。


 さっきの神官さんだけでなく、魔法使いっぽい衣装の人も水魔法らしき呪文で怪我人を回復させている。回復魔法もいろんな系統があるようだ。

 神官さんの数も増えているが服装が違うのでいろんな宗派があるのだろうか?


 さて油を売ってないで救出に戻らねば。もう一人の要救護者は本命の店主さんなのだから!


 本棚を立てて本を収納していく地味~な作業を続け、ようやく店主のお爺さんを本の中から助け出せた。

 本棚の下敷きにはならなかったようだが落ちてきた本の下敷きになったみたいで結構HPが減っている。意識はあるようだ。


「あんたが助けてくれたのか、感謝する」


 声優になれそうな渋い声だ。ロマンスグレーな爺さん、若いころはモテたんだろう。

 店の外に出たところで、お婆さんと娘さんの2人組が帰ってきた。なんでも西街で買い物をしていたらしく内壁の門が通行制限されていて、さっきまで行き来できなかったそうだ。


 お爺さんを救護所まで運ぶ。お婆さんも付き添いで来ている。娘さんは本屋の後片付けに残った。


 救護所にはさっきより怪我人が増えている。さすがに回復が追いつかないようだ。さっき回復してくれた女神官さん達もMP切れなのかへたり込んでいる。


 ストレージを検索……あった。

 ポケット経由でMP回復薬を3本ほど取り出して女神官さん達に贈呈する。さっきスキルもらったし無料でサービスだ。

 最初はいぶかしんでいた大柄な女神官さんだがMP回復薬だとわかると大げさなくらい感謝していた。

 ……でも、腰に手を当てて一気に呷るのは止めてください。なんかオッサンくさいです。

 巫女さんの方は青い顔でうつむいていて反応が無い。魔法の使いすぎで疲れたのだろうか?


 店主さん達は救護所の人にまかせて店の片付けを手伝いに行く。


 重要な事を忘れていた。


 本屋の娘さん。名前はセモーネさん。正確にはお孫さんだが、巨乳だ! 露出の少ない服装だがEカップはあるに違いない! ロングの金髪に青い目、年はナディさんと同じくらいか!


 穏やかに雑談しながら本棚の位置を修正したり、本を並べなおしたり、装丁の崩れた本を箱に退避させたり作業を楽しんだ。

 本の整理って好きなんだよね~。


 本を片す時に気になったタイトルは全てマーキングしておいた。

 AR表示付きで見ると矢印や付箋がいっぱいだ。


 日が陰りはじめたあたりで店主さん達が帰ってきた。

 食事に誘われたが丁重に断り、目を付けていた3冊ほどを購入して帰る。お礼に進呈すると言われたが、多少金額をまけてもらうだけで折り合いをつけてもらった。


「王都観光案内」「生活魔法の入門書」「生活魔法の魔法書」の三冊で金貨2枚と銀貨3枚のところを金貨2枚丁度に負けてもらった。


 ……残念ながら本屋の娘さんは既婚者だった。旦那さんは魔法使いだそうです……。


>称号「冥福を祈る者」を得た。

>称号「救護者」を得た。

>称号「書を守る者」を得た。



 本屋の3人は誰も気にも止めていませんが、店で最初に救助された少年は御用聞きに来ていた食品店の小間使いです。

 店に避難してきてすぐに本棚の倒壊に巻き込まれたので爺も覚えていませんでした。


 むしろ巫女さんより本屋さんや兵士さんの方がタイトル向きだったかも。

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