一生分の恋。(4/5)縦書き表示RDF


一生分の恋。
作:たまご



-4-


事柴さんが部室から出て来た。

明らかな仏頂面。
もとがそんなに可愛い訳じゃないから、どっちかと言うとギャグっぽい。


ひと睨みして彼女は口を開けた。



「…何の用?」





共通の話題なんてない。

捜す。ない頭を振り絞って考える。



「…下山君、いる?」

美術部の部長の事だ。
彼の話は何度か聞いたことがある。

ヘタレだの宇宙人だの。




事柴さんはきょとんとした。

「先輩?いるけど…呼ぶ?」


初めて嫌そうな顔以外の顔を見せてくれた。


なんかこう、胸が締め付けられるような感じ。


俺は笑って返事をした。

「いや、良いよ。
また明日。」








「先輩、田邉大輔って知ってます?」

「いや、知らないな…」




訳がわからない。

塾も同じじゃなさそうだし…。




そもそも何をしに来たの?




「ああーっ、もう!」

イライラしてきた。



何なの?

何をしに来たの?

部長に用はなかったの?

じゃあ、何で部室前をうろついてたの?




何で…どうしてそんな顔で私を見るの?

何の用もないのにわざわざ来て、微笑みかけてくるのはどうして?







「…わかったよ、タラシだからだ。」





でも、そんなヤツがなんとなく気になる。

そりゃそうだ。
毎日来るんだもん。



「あんたねぇ、部活は?!」

「今日はないよ」

「毎日来てるけどさ、何の用?
こっちは暇じゃなーいの。」

田邉が笑った。
「事柴さんと話したい…じゃダメ?」




顔が熱くなって来たのがわかる。

タラシなのに。


他の子にも言ってるだろうのに。






この気持ちは何?












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