朝の会〜Morning meeting〜
「う〜〜〜み〜〜〜〜!!おっはよ〜〜!!!」
元気な声がする。女王、清榎 彪様のお出ましだ。
「……おはよう」
今の今まで、秀才君Aに話し掛けられても無言だった海が、やっとこさ口を開いた。本を読み出してから十五分。
「さてっと………数えよっか」
彪は、散らばっている手紙を数え始める。その間、続々とクラスメート達がやって来る。
「彪、おはよう。また数えてるの?」「海ちゃん、宿題見せて〜〜」「よおっ!みんな早ぇなぁ」「お前が遅いんだよ」「昨日のテレビ見た〜?」……………
「32通!!全部で156通かぁ〜〜。海、あんたスゴすぎ」
数え終え、清々しい表情の彪の脇には、積み重ねられた手紙がある。
「ま、この内の約十人は、毎日手紙書いてるみたいだけどね」
みんな眼科に逝く……行くべきだ
心の中で、密かに思った。
「「彪様〜〜!海さんへの伝言を、お届けに参りました〜〜〜!!」」
重なった、二人分の声がする。女王様の忠実な僕、花冠 椿と花冠 菫。双子の姉妹だ。どこをどう見てもそっくり。
「……だってさ。聞く?」
海を見ながら、彪が訊いてくる。
「……どちらでも」
「何て?」
二人は同時に口を開く。
「「体育館裏が五人、屋上が三人、音楽室が一人、体育館が四人です!いずれも“来て欲しい”というものです!!」」
………屋上……振ったら飛び降り自殺するかな?
そんなことを考えていると、やっとチャイムが鳴った。
「二人共ありがとっ!後でね」
そういえばですが、この女王、彪様は海の真ん前の席だったりします。
「ねぇ海、ホンットに誰とも付き合う気無いの?」
先生が来たにも関わらず、後ろを向いて訊いてくる彪。
「……無い」
「一人位、“お試し”で付き合ってみィタッ!!?」
女王様の頭に、出席簿の角が命中する。
「後十分で休み時間だ。それまで黙ってろ」
女王様に命令した担任教師C。確か倉田 勇司。
「は〜〜い」
彪は前を向いた。それ程嫌そうではない。
朝の会中、海の意識は遥か彼方へ飛んで行く。軽く200km。 |