10-再訪
「あら、今日はみんな一緒なのね」
再び少年探偵団を引き連れて呼び鈴を押した蘭を、茂子は嬉しそうに迎えた。
「はい。……コナン君がまだ行方不明だから、この子たちもちょっと落ち込み気味なんです。こうやってみんなで出かければ、気が晴れると思いまして」
子供たちに聞こえないように言う。実際、探偵団を連れてきた理由の半分はそれだった。
「お邪魔しまーす!」
声をそろえて玄関をあがる4人の背中を見つつ、茂子もまた声をひそめた。
「そういえば、その『コナン君』、もう2週間ほど行方がわからないのよね?大丈夫かしら…?」
「大丈夫ですよ。私はそう信じてます。捜索願もやっと出しましたし」
「あら、そうなの。無事見つかるといいわね」
「ええ」
茂子に笑ってみせて、蘭は階段をおりてきた英明に目を向けた。
前に会ったときより随分落ち着いてきた表情に、少し安堵した。
「これ、博士の新作のゲームなんだぜ!」
「はかせ?…ああ、あの人か」
「うん、前にいっしょに来たおじいちゃん。よくキャンプとかにも連れてってくれるんだよ!」
まだ『おじいちゃん』って年じゃないわよ、と約2名が心中つっこんだ。
「こんな探偵グッズ作ってくれたりな!」
元太が突き出した腕についている時計を見ながら、英明はぼんやりとつぶやいた。
「…探偵……」
「こうやってライトにもなるのよ!」
歩美がライトをつけると、何かを確かめるように枠の部分に手を伸ばす。
「……それだけじゃない」
「?何か言いました?」
光彦に聞き返されて、初めて自分が無意識に口を開いたことに気付いた。
「あ、いや。何も」
(オレ、今……何か言おうとしたか?)
しかし、頭の中でよぎった小さな光を追うまえに、英明はまた、3人との談笑に駆り出された。
そばで見ていた哀が目を細めたことにも、気付かなかった。 |