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番外編 大きな事故と人生と

○月×日 曇空


今日は良い実験結果が出た。

私が費やしてきた時間の成果が出る確信になった日だ。

このまま続ければ報われるかもしれん。


○月××日 快晴


少しずつだがこちら側に持ってこれる様になってきた。

もっと大きな物、もしくは人物をこちら側に引っ張ってこれたなら実験の成功と言えるかもしれない。

もっと頑張らねば。

家内には無理をさせて来た。

やっと労いの言葉を掛けてやれる。

どうかそれまで我慢してくれ。


○○月×日 雨


やったぞ!

ついに成功したんだ!

私の研究が成功したんだ!

もう少し実験をし、成果を王都に持っていけば私の人生が無駄では無く理論が証明出来る!。

これでやっと家族に胸を張れる。

喜んでくれるだろうか・・・。


○○月××日 暴風


ああ・・・。

神よ・・・。

私は・・・私はなんと愚かな行動を取ってしまったのでしょうか・・・。

娘が・・・、私の家族が事故に合ってしまった。

いや、私が研究室になど呼ばなければこんな事にはならなかった。

全て私のせいだ。

家内は助からなかったが、娘の体は傷一つないのに目を覚まさないのだ。

どうにか目を覚ます事に人生を捧げよう。


●月●日 ●


ああ・・・

いつ以来だろうか・・・。

日記を開くのは。

結論から書こう。

娘は目を覚ました。

だが、あらゆる物が欠如した状態でだ。

感情や記憶と言った物が決定的に欠如してしまっていた。

私の責任だ。

・・・。

私の命ももう少ない。

だが、娘にしてやれる事の全てをしてやろうと思う。

そして娘の体の仕組みの事も・・・。

全てを書き記し、娘の理解者に託せる様に。


 月 日 晴れ


医者に言われた。

魔法ですら癒す事も遅らせる事の出来ないと言われる程に老いてしまった。

まだ、彼女は娘とは到底見えない。

娘の形をしているだけなのだろう。

だけど、私にとって彼女は娘本人なのだ。

誰にどう言われようとも。

別人だと割り切れと言われようともだ!

そして私は彼女に最後の言葉を教えたのだ。

そう生きて欲しいのだから。

「君が信頼しこの人だと心の底からそう思えたのなら、その人について行きなさい。

それは正しい事なのだから。そしてその人が困難な状況に陥ったなら迷わずに助けなさい。

そうすれば君が困った時にきっと助けてくれる。君の歩く道を照らしてくれる。

君を照らしてくれた者に影が落ちたなら次は君が照らすんだ。

そうして生の灯火を繋いでおくれ。」

そう言うと少女は笑顔で頷きながらこう言ってくれた。


はい、マスター。


事故にあってから見せなかった娘の様な笑顔を見れたのだ。

私のしてきた事は報われた様だった。

これで私は安心して眠れる。

やっと、心が宿ったのだから!


最後にこの日記は娘に持たせる事にする。

この日記には全てを記している。

もし、誰かが見て理解出来たのなら良きパートナーになったと信じて。


ヨシュア・H

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