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煙草を吸う女
作者:RYU
私が初めて煙草を吸ったのは小学五年生の時

何日かは忘れたけれど、大親友の悠子と大人に成る日を決め決行した

悠子の家でラークとブランデーを飲んだ

ブランデーは甘いか苦いかよく分からなかったけどとにかく不味かった

今でもブランデーを飲むことはない
付き合いであっても子供を理由にウーロン茶にしている
別に飲めない訳ではないのだが飲みたいという願望が湧いてこないのだ

然し煙草は別であった
ゲホゲホしてすぐ捨ててしまったが
十八の春第一志望の大学に落ちた日ドーンと落ち込んだ
第二志望が受かっていたから良かったと言えば良かったのだけど…
女なのに涙が出て来ない
かと言って男の人みたいに物や人になど当たれない

沢山の人と出会い、別れた
沢山笑い、泣いた…

大学を卒業後念願の精神科医になった

私は薬が絶対だと思っていない
精神は目に見えない
そして人それぞれ
そのそれぞれに理屈や理論経験で病名をつけ治ると思われる治療を施す

まず完治は望めない

警察や親そして患者本人、患者は後を絶たない
二回三回の再入院は当たり前

一生監視カメラの付いた、鉄格子の窓で終える人もいる

狂っている何もかも

神経系の薬は手足が痺れ、すぐ躰が慣れてしまう
私達は量を増やしていく

精神的にも肉体的にも患者は薬に依存していく

ある日テレビの再放送で29歳のクリスマスのなかで山口智子が煙草を吸い、何か吹っ切ったかのように右ストレートをするシーンを見た
かっこいいと思った
私は売店でマルボロのメンソールを買い屋上に上がりシーンを再現した

目を細めだらしなく煙草に火を着け、だらしなくくわえ煙草で空を眺めだらしなく捨てる。そして顎を引き目をつぶり思いっきり眉間にしわを寄せ息を一気に吐き出す。

そして右ストレート

スッキリした

泣いたこと、泣きたかったこと、泣けなかったこと、泣かなきゃいけなかったこと全ての辻褄があった、というか合わせた

頭と心

自分と他人

社会とプライド
違うもの同士が同時に同じ世界を成り立たせている

どうでも良いが大事

息抜き

その日から私は煙草を吸い出した

1日一箱以上

完全なる依存性
当たり前のように女が人前で煙草を吸える時代
私には二人の子供がいる

上の子は中学生

私が煙草を初めて吸ったのは小学五年生の日
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