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第28話


 ステータスを確認すると、スキルが増えていた。

 森に入る前に剣士だった俺は【剣術】を得ていた。最初はなかったスキルだ。ためしにと魔剣士に転職すると、【魔法剣】のスキルを覚えた。

 さらに魔術師に転職すると、【魔法剣】のスキルは覚えたままだったし、【魔力増強】と【基礎魔術コモンマジック】を覚えた。

 これもやはり初めて魔術師に転職した時には手に入らなかったことからおそらく何かの条件を満たしのだろう。

 そしてどうやら職種によって得られるスキルがあり、転職しても一度覚えたスキルは忘れないようだ。

 新しく覚えた【魔法剣】はフェールが使っていた【魔力剣】を見ているので何となく分かる。

 ただ、【魔力剣】は属性を持たせるのに対して、【魔法剣】は現象を伴うようだ。つまり、【魔力剣】なら火の属性を持った剣になるが別に火は出ない。

 斬りつければ傷口が焼かれる。【魔法剣】は実際に火を纏った剣になるし、纏った火を操れるようだ。

 色々魔法を纏わせて実験したが、その時に回復魔法を剣にまとわせて切りつけると一度傷ついてから回復されるという使いどころの無さそうな技が完成した。

 次は、【基礎魔術】だ。これは各種ステータスを上昇させる魔法と状態異常を起こす魔法が使えるようになった。

 使っている内に思いついて魔物笛にステータス上昇の魔力を込めてみると、配下のモンスターたちに対してきちんと効果を発揮した。

 魔力をこめられたのはやはり魔鉱石を使って作成されているアイテムだからだろうか。しかし次に火魔法を入れようとしてもうまくいかなかった。

 恐らく魔鉱石の時点で魔力を込めたかの違いだと思われる。先に魔力を込めたアイテムはアイテム名に込めた魔力が反映されていることから属性魔法を付与するにはアイテム作成前の魔鉱石に魔力をこめなければいけないのだろう。

 魔力を込めた笛も指輪のように魔力の使用を意識した時だけ効果を発揮するようだ。吹く度に魔力を消費していたらすぐにからっぽになっていただろうからこれは幸いだ。


******************************************

ヒビキ ジンノ Lv.25

魔法剣士 16歳


スキル

【賢者の卵】★

あらゆる魔術の習得が可能になる。

   |

|-【火魔法】★★

   |-【水魔法】★

   |-【回復魔法】★

   |-【魔力増強】★

   └ 【基礎魔術コモンマジック】★


【転職者】★

職種を変更できる。


【主人の心得】★

自分の所有している奴隷のスキルを使用できる。

再現度はレベル依存


【魔法剣】★

剣に魔法を纏わせる。

威力はレベル依存


【剣術】★

剣系武器を持ったときステータスにボーナスが入る。

効果はレベル依存


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 アイラが新しく覚えた【魔物の理解者】は俺のスキルと組み合わせれば俺が配下のモンスターたちのスキルを覚えられることになる。

 あと、【調教】もなかなかいいスキルだ。配下にしたモンスターの成長の方向性を決めることが出来るようだ。

 魔物笛での連携が比較的簡単にすんだのはこのスキルのおかげかもしれない。


*******************************************

アイラ Lv.22

魔物使い 15歳


スキル

【魔物使い】★★

魔物を支配し使役する。


【魔物使い補正(加護)】

魔物への支配力にプラス補正

使役時の成長度にプラス補正


【魔物の理解者】

支配した魔物のスキルを使用できる。

効果は対象と同等となる


【調教】★

魔物の成長を操作する。


******************************************



 エミィの【精製】は素材からさらに純度の高いインゴットを作れるようだ。試しに魔鉱石を精製してもらったら魔鉱+4が精製できた。



******************************************

エミィ Lv.16

錬金術師 14歳


スキル

【アイテム作成】★★★

アイテムを作成できる。


【アイテム作成補正(加護)】

アイテム作成時、プラス補正を受ける。

レベル依存


【効果付与】★★

武器、防具に効果を付与する。


【効果付与補正(加護)】

効果付与時、プラス補正を受ける。

レベル依存


【精製】★

素材の純度又はランクを上げる。


*******************************************




 ここまでスキルを確認してふと思ったのだが転職しまくればスキルを得られるのに何でみんなそうしないのか?

 エミィに聞いてみると職種を変えるということはその職種のギルドを敵にまわすことになるためよっぽどのことがないとみんな転職しないらしい。

 もちろん円満にギルドを辞めることも出来なくはないようだがその場合はかなりのペナルティが発生するようだ。

 ちなみに冒険者は職種ではなく職業らしく、冒険者ギルドに登録するのは転職にあたらない。魔術師の冒険者や錬金術師の冒険者がいるのはそのためのようだ。

 

 自分のスキルをある程度確認できたので次は他のやつらのスキルを使ってみる。

 まず、【魔物の理解者】でアイラが覚えた【選別】を更に俺の【主人の心得】で自分の物にする。

 使ってみてわかったが【選別】は、複数の物の中から条件に合ったものを見つけることが出来るスキルのようだ。

 例えば、大量に置かれた素材の中で自分の欲しいものの条件を頭に浮かべると、その物の在処が分かるのだ。

 同じポーションの中からエミィ作のポーション+4を一発で見つけられたりする。案外便利なスキルだ。


 さて、話の途中で出てきた各職種のギルドについてだが『魔法剣士』のギルドは無い。『魔法剣士』のほとんどは冒険者ギルドにのみ登録しており、一部のものだけが魔術師ギルドに所属しているようだ。

 【魔物使い】はギルドがあるらしい。配下にしたモンスターの売買やモンスター用の装備品の購入、モンスターの交配まで行えるらしい。モンスターにも血統書があるとは思わなかった。

 配下のモンスター同士を戦わせるモンスターバトルなんて見世物もあるようだ。

 一般的な【魔物使い】は2~3匹、多くても5匹程度のモンスターを連れている。これ以上になると支配下から離れて野生にかえったり、魔物使い自身に襲いかかったりする事があるらしい。

 そのため、つれて歩けないモンスターを売ったり、預けたりする施設が必要になる。それが魔物使いギルドの主な仕事内容のようだ。

 今は問題ないがこれからお世話になることもあるだろう。錬金術師ギルドにも行きたいしそのうち訪ねてみよう。


「じゃ、次は少し戦闘してみるか」


「はい、いつでも大丈夫です」


 アイラから頼りになる返事を聞いて腰の皮袋から瓶を取り出す。フレグランスアントの匂袋においぶくろから作成したモンスターを呼び寄せる香水だ。

 フレグランスアントの匂袋は個体ごとに作れる香水が異なるようで、今手に持っているのは『魔物の香水+4』という。名前の通り魔物を引き寄せる効果があるそれを足元にまいた。

 今回使用した『魔物の香水』は低レベル帯のモンスターが好む匂いに調合されているもののためそれほど強い魔物はこないとのことだが。

 香水を使用して5分ほどだろうか、森の中からゴブリンが十数匹現れた。恐らく近くにゴブリンの巣があるのだろう。

 ゴブリンが現れた時にエミィが少し嫌な顔をしていた。襲われたときのことを思い出したのだろう。


「大丈夫か?」


「・・・はい、大丈夫です」


 少し無理しているように見えるが倒れるほどでは無さそうだ。

 ゴブリンが近づいてきたので試しにデューオの【咆哮】を使用してみる。


「ゴォアァーーーーーーッ ゴホッ」


 少しのどを痛めたが、ゴブリンの半数ほどが足を止めて萎縮状態になった。残りの半分も萎縮したゴブリンが邪魔で突撃の速度が鈍る。

 その隙に【基礎魔術】の麻痺の魔法を霧状に散布する。これで十数匹のゴブリンは完全に動きを止めた。


「なんか、えらく簡単に状態異常になるけどこんなもんなのかな?」


「このゴブリンたちはレベルも低そうですしそのせいかもしれませんね」


 ゴブリンたちのレベルは平均5程度だった。今の俺達にはこの程度の数なら問題なく対処できる。

 状態異常の発生頻度に低レベルも関係しているのだろうか。あと、俺の無駄に高い運のステータスも成功率に関係していそうだ。

 生け捕りにしたゴブリンたちにルビーの【選別】を使う。お目当ての個体がいたがステータスを確認しても特にスキルは無いようだ。

 今回は実験なので俺の魔物使いのスキルで配下にする。

 そのままアイラの【調教】を使い【選別】で見いだしたこのゴブリンの才能を伸ばす。2時間ほど特訓を施してステータスを確認して見ると、



*******************************************

ゴブリンコマンダー Lv.6

 2歳


スキル

【指揮官】

自身より下位同種のモンスターを指揮することができる。

指揮範囲はレベル依存。


*******************************************

 

 種族名が変わっていた。【統率者】 を覚えるかと思ったのだが似たような別のスキルだ。しかも指揮できるのは同種のみ。【統率者】の下位スキルなのかもしれない。

 この場合、ゴブリンを指揮できるってことでいいのかな?

 試しに生け捕りにしたゴブリンたちの状態異常を回復させてやり、ゴブリンコマンダーに指揮を取らせてみる。


「ギィーーー」


「ギッ?」


「ギギッ!!」


 最初は全く統制が取れていないようだったが、1時間ほどでその群れのボスになったようだった。

 それなりの手腕を持っているようだ。


「よし、お前にラルという名前とこの剣を授ける。俺の為に働け」


 ゴブリンコマンダーのラルに予備の鉄の剣を渡し、部隊の強化とモンスター素材の収集を命じた。

 ラルは、恭しく剣を受け取るとほかのゴブリンには無い知性を感じさせる目をこちらに向けていた。

 無理はするなと厳命し、人間には極力手を出すなと指示した。これは、道徳的な話ではなく冒険者の街に近いこの辺で人間を襲っても返り討ちにあうのが目に見えているからだ。

 そもそも俺はこのゴブリン部隊に対して期待していない。魔物使いの常識である一度に使役できるモンスターの限界に挑戦する為のテストの一環である。

 ラルに追加で作らせた魔物笛の音を覚えさせこの音が聞こえたらすぐに来るように命令し森に向かわせた。


 とりあえず、【選別】と【調教】の組み合わせで有用そうなスキルを配下のモンスターたちに覚えさせることが出来る事を確認した俺達は宿へと引き上げていった。

 明日は、クェスと魔術の練習を行い、そのまま魔術師ギルドで検定を受ける予定だ。









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