「おっほっほっほ」
「うるさいなぁ」
「おっほっほっほ」
「静かにしてよ」
武彦はイライラしてならない。こいつ、試合中にずっと、こんな調子なんだ。
「おっほっほっほ」
「試合中だよ。やめてよそれ」
「おっほっほっほ」
審判はなぜ注意しないんだ、と武彦は思う。向こうの監督は何してんだ、とも思う。
「おっほっほっほ」
ついに武彦はキレて、審判に抗議することにした。
そして審判の方を見やると、何と審判は大の字になって寝ていた。
「ま、まさか」
向こうのベンチを見ると、向こうの監督も大の字になって寝てる。
「おっほっほっほ」
それどころか、自分の監督まで大の字になっていた。
いやいやいや、それどころじゃない。客席みな、大の字で寝ていたのだ。
「えーー! どういうことーーー!?」
「おっほっほっほ」
でもこいつはそんなことちっとも気にしてない様子だ。
「ねェ、君、これいったいどうしたことだろうね?」
「おっほっほっほ」
「おっほっほっほじゃわからないよ。もう少し焦ったりビックリしたりしたらどうなんだい?」
「おっほっほっほ」
武彦はまたイライラしてきた。動じない彼と動揺しまくりの自分の対比が気に食わなかったせいもあるだろう。
「でもこれマジ、試合どうなるんだろう」
武彦は体を動かしながらも、悩んで悩んでしょうがない。
「おっほっほっほ」
しかもこいつ、おっほっほって言いながらだんだん動きが鋭くなってきてる。
「ねェもうやめようよ」
武彦は彼の肩に棒を打ちつけながら言った。
「おっほっほっほ」
彼はおっほっほ言いながら、武彦のひざに思いっきり棒を打ちつけた。
「いてェ!」
武彦はコートをのた打ち回った。
「おっほっほっほ」
「て、てめえ! ひざは反則だぞ。いてえ!」(了)
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