はい、でました。
初心者で面白(ry
です。
今思うと作者名クソ長いですね。
w
それはどうでも良いので
ドゥゾ!
けいおん! 17th
眠い・・・でもバイト。
経験したことがあるヤツは絶対にそう思った経験があると思う。
これは結果として「しんどい」になるのだ。
俺も、例外ではない。
もうムリかも・・・・・。
昨日の疲れは、うなされてたので全く取れていない。
とはいえどバイト・・・・頑張らねば・・・。
ふと、手元の時計を確認した。
ああ、もう12時か・・・・。
不知火「響ー、『まかない』できたわよー。」
響「あぃ・・・」
生返事しながら、カウンターの中へと入っていく。
まかない・・・・この人は今差し出しているそれをそう呼ぶのか・・・?
響「聞きますけど、何でケーキなんですか?」
不知火「あら?不服かしら?じゃぁ、響のまかないは今日も頑張って出て働いてる陽人君にあげようーっと。」
響「分りましたよ!食べさせていただきます!」
不知火「素直でよろしい。はい。」
・・・でも、これ、ショートケーキ一個?
あの人、俺が人以上に食うの知ってるよな・・・?
・・・・。
いやいやいや、ショートケーキのカロリーをなめるなよ俺!
それに「これだけ?」
なんていった日にゃあ・・・・・
「まだ食べたい?はい、ショートケーキ。」
と嫌がらせがてら、同じものが来るに決まっている。
俺、ここは一つ、『公』の俺に任せて一気にいけ!
響「・・・いただきます。」
カウンター奥のスペースに座り込んでまず先端からガバッと。
・・・・・・・甘いZE・・・・・。
ええい、そんなことはものともしない俺にチェンジだ!
ばくっ。
もぐもぐもぐ・・・がっきゅん。
響「ゴチソウサマデシタ。」
カウンターの蛇口から水を汲んで一気に飲み干す。
・・・これで昼は乗り切ってやるぁ!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
昼時って、こんな客多いもんなのか・・・?
ああ、身に纏う執事服が以上に重く感じる。
これは、昨日の疲れが抜けていない証拠だなぁ・・・・。
泣き言は言ってられん!
「すいませーん、注文したいんですけどーー!」
響「かしこまりましたー!」
響「では、失礼いたします。」
「ええー、もうちょっとだけ・・・・」
懇願してくる女性の客。
響「失礼ながら、私はお客様皆様に尽くす、執事ですよ。御用があれば―――――」
片膝を付いて、手の甲に口付ける。――――――――――振りをした。
響「ご注文を、何なりと。」
軽く会釈して、放心状態のその人たちから離れた。
歓声が後に聞こえたのを忘れない――て言うか忘れられるか!
――――――――――PM 3:00―――――――――――――――――――
響「乗り切りましたね・・・・」
どうにか客手も引き、今ホールは人一人居ない。
カウンター前の椅子にかけて、完全に力を抜いた。
そうなれば自然と、うなだれ、全体重をそこに預けた情けない格好になる。
・・・・あぁ、無様。
陽人「お前頑張ってたな・・・・多分俺より。」
響「アリガトウゴザイマフ・・・・」
俺、色素抜けてね?
だが、だらだらしてる暇なんて無い!
何時客が来るか分からないのだ、それが接客業の宿命ともいえるだろう。
て言うか当然なんだけど。
と、体をゆっくりと起こそうとしたその時だった。
入り口のカウベルもどきが鳴った。
響「っ・・・・!」
慌てて白い布を持ち、左手にかけ、頑張ってシャンと立つ。
響・陽人「いらっしゃいませ。」
?小さい・・・・中学生くらいか・・・?
ツインテールは・・・女の子だからだよな。
響・陽人「お嬢様。」
どうやら全く同じことを全く同じタイミングで理解したらしく、陽人さんも口を揃えた。
?「・・・」
丁度そのとき、カウンターに奥のスペースから店長が出てきたときだった。
不知火「あら?お得意様じゃない。いらっしゃいませ。」
・・・・・・・・・・・・・・え?
響「・・・・」
声には出さずに後ろを振り向いて、説明を請う。
不知火「後ろの男の人。」
・・・・・・あれ?
陽人「・・・は!?」
陽人さんその声は・・・・
俺も振り向く。
響「・・・は!?」
全く同じ声が・・・・。
ツインテールのその少女の後ろに有り得ない位ガタイのがっちりした男の人が立っていた。
顔が、入り口より高くて見えないし・・・・
シャツの色が後ろのコンクリと同化してて分んなかった・・・。
でかい男の手が、その子の背中を押して入店を唆す。
響「!っやめてやれよ!!」
俺は少女の危険を感知して、その人に飛び出す。
余りにも大き過ぎるその手が、少女に何をしたのか、何をするのか・・・・、返答によっちゃ、タダじゃおかねえ!
不知火「響!違うわ!」
陽人「止まれ!」
と、突っ込みかけたその拳を陽人さんに掴まれる。
響「なにすっ・・・」
不知火「その子、お得意様の娘よ。」
響「・・・・」
持ち前の正義感にも困ったものだ。
・・いや、それどころではない。
響「しっ、失礼いたしました!」
慌てて頭を下げる。
「何、気にしないでくれ。妻が可愛くてそこを継いだんだろう。不釣合いなのも仕方あるまい。」
?「そんなことないです!お父さんも十分可愛いです!」
陽人「・・ぁらら・・」
論点がずれているというか、男の人にそう言うことを言ってもなぁ・・・。
入り口を屈んでくぐりながら、親子漫才が繰り広げられる。
「そう言う梓も、母さんに似て可愛いぞ?」
梓「・・・///」
「ははは、全く、そうやって照れる所もまた然り、だ。」
どうやら、男の人はかなり温厚な方らしい。
それが俺の申し訳なさを増倍させた。
響「本当に、失礼いたしました。」
全力で、と言うのも可笑しいだろうが、頭を下げる。
相手に見えてなくとも、目を伏せて。
「いやいや、もし私がこの子を誘拐してきたとしたら君の判断は正しかったと思うよ。正義感がある人は好きだとも。」
・・・この人の温厚ささえ、俺の罪の意識を増やすかのようだ。
「とりあえず、頭を上げてくれ、顔は覚えて帰りたい。」
不知火「響。」
やっと、上げる気になった。
あ、やばい泣き出しそうだ。
・・・堪えろ!
・・・・どうにか、意識を集中して止めることには成功した。
不知火「今日は・・・お帰りの方は早いのでしょうか?」
「あぁ、だが、この子は、閉店まで居させてあげてくれないかな?」
不知火「かしこまりました。」
「あと・・・その口調も止めてくれ、ぶっちゃけてしまえば気持ちが悪い。」
不知火「あっそ、ならそうするわ。」
切り替え早っ!
「梓。」
ふと、その男の人が、少女の名を呼んだ。
「父さんは、ちょっと話をしてくる。暫らく・・・・」
その子のお父さんは俺と陽人さんを見比べて・・・
「彼とお話しててくれるか?」
その言葉は、俺にも、そしてその少女にも当てているようだった。
梓「何を話してくるんですか?」
「んー?そうだな・・・大人、の話だよ。」
そう言う風に言うってことは、この子はまだ子供で、そしてその子供には聞かせられない話だ。
・・・多分、売り上げとか、そういうヤラシイ話だろうな。
・・・・・・・・・。
・・・あぁ、この人、本当に優しいな。
この子に、そんな話をしている自分を見せたくなくて、そしてその場面を見て落胆するこの子を見たくないから、そう言うんだ。
こんな人を目指したいな・・・。
梓「あのっ・・・」
何時寄ってきていたのか、いや、俺が考え込んでただけか、少女が寄って来て言葉を発した。
梓「お父さん、悪い人じゃありませんから!」
・・あぁ、その通りだ。
今思い知ったところだよ。
響「俺も、早とちりしてごめんね。」
膝を曲げて、見上げて言う。
梓「いえ、分ってくれたなら良いんですけど・・・・。」
響「ありがとうございます。ではこちらの席へどうぞ。」
執事モード入りまぁ~す。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
暫らく、ご注文を選んでいる彼女が、やっと決めたらしい。
俺に見えるようメニューを置いて、指差したのは―――
響「マジですか・・・?これ大きいですよ?」
チョコホイップたっぷりマシュマロケーキ・・・・
これって確か・・・作んの俺だ・・・。
響「・・・これ・・・俺が作るんです。席を外すことになってしまうのですが・・・・・・」
梓「え?そうなんですか?」
響「はい・・・それでも宜しければ・・・・。」
梓「・・・・。」
暫らく考え込んだ後、梓お嬢が出した答えは・・・・。
梓「カウンターに入って私も作って宜しいでしょうか!?」
何か思い切ることがあったのか、勢い良く乗り出してくる。
響「・・・か、構いませんが・・・・」
それなら話ができると言うことだろう。
梓お嬢に反応して、引いた身を立ち上げてカウンターに入っていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
響「さてと、作りますか。」
梓「はい先生!」
響「・・・先生じゃないからね。」
何故か目を輝かせているがこれは・・・・
響「ケーキ作るの、初めてですか?」
梓「はいっ!」
あ、やっぱり?
どうりで元気なわけだ。
響「では、ちゃちゃっと材料確認します。」
梓「はいっ!」
あぁ・・・剣道部の頃の後輩もこんなに元気に挨拶してくれてたら・・・一回くらい行ってやるのに・・・。
響「ココアパウダー、・・・たま」
梓「はいっ!」
・・タイミングずれてる・・・・。
響「卵3個。」
梓「はい!」
まな板の上に並べてあるそれを俺と同じように指差して確認する梓。
響「砂糖に薄力粉。」
梓「はい、はいっ!」
すばやく俺の軌跡を追うように指差す。
響「バター、マーガリン、牛乳と。」
梓「はいはいはいっ!」
ああ、ドンだけ楽しいんだ、コイツ・・・。
なんか・・・・和むなぁ・・・・。
響「そして忘れちゃならないのが、チョ」
梓「はい!」
響「まだ言い終わってないんだけど・・・・」
梓「あっ、すいません・・・。」
苦笑しつつ、その忘れちゃならないものを人差し指を立てて確認する。
響「チョコレートホイップ多めに3パック!冷蔵庫に入れてます。」
梓「もう中に入ってるんですか・・・?」
響「言っとくけどこれは泡立てたらホイップになるんだ。」
梓「そうなんですか。」
さっき一瞬キラキラしてたよな・・・?
響「食えなくて残念でしたー。」
梓「ええぇ!?何で分ったんですか!?」
そりゃ、あんだけ目ぇ輝かせてたらなぁ・・・。
響「ま、それは置いといて。」
梓「置いとかないでください!」
あぁ、俺がボケになれるなんて・・・・。感無量?
響「まずはですねーー」
梓「答えてくださいよぉ・・・・」
あ、なんか楽しいかも♪
まぁ、かわいそうだし
響「目が輝いてたから、食べたかったんでしょ?」
梓「うっ・・・・///」
響「はいじゃ、調理しますねー。」
答えて欲しかったくせに、答えられたら詰まるのかよ・・・。
梓「ぅぅ・・・・」
唸る梓お嬢を放って俺は調理を開始した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ただ黙々と調理するのも頂けないので、何か会話を探す。
響「梓お嬢、」
梓「お、お嬢って・・・・」
響「?」
思わぬところで会話ができそうだ。
響「如何なさいました?」
梓「お嬢なんて、・・・・良いです・・・結構です・・・・・。」
響「いえ、ここの仕来りみたいなものですから。」
梓「でも、なんか・・・・・」
響「さほど恥ずかしがること無いですよ、今は居ませんが、お客様は皆そう呼ばせていただいてます。」
梓「だったら、お嬢様じゃない言い方で・・・・」
響「・・・?そう言いますと?」
意味が分らない。
女性をお嬢様以外・・・ってなると・・・・・。
思いつかねえ・・・。
梓「・・め。」
響「?何か仰いました?」
梓「・・めって・・・・んで貰えたら・・・・」
俺の耳の悪さもあるが、その声量の無さもあって、ほとんど聞こえない。
響「すみません、もう一度・・・・」
耳を傾ける。
梓「・・・・・・」
頬を染めながら、傾けたそれに耳打ちしてきた。
梓(『姫』って・・・・。)
響「ぇ・・・・っと。」
聞こえたけど・・・マジで?
向かい合うと、何かモジモジしている。
あ、コイツ真剣だわ・・・・。
気付かれないよう溜息をついておく。
響「・・・・分りましたよ。」
そして俺はその小さな子を
響「姫。」
と呼んだ。
梓「ひゃ・・・・///」
って呼んだ傍から紅潮とくにゃくにゃになってへたり込むなよ・・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
響「さて、後は焼きあがるのを待つだけだな。」
結局、スポンジの部分は事実上俺一人で作った事になる。
カウンターの前に座らせておいたアズ・・・『姫』も目を覚ました。
響「後は、焼きあがってクリームを塗れば完成です。」
できるだけ、姫と呼ばないようにしておかなければ、また倒れられるのはごめんだ。
「おや、梓。」
カウンター奥のスペースから、梓のお父さんが出てきた。
その後には不知火さん。
そういえば、陽人さん・・・料理に夢中になってるうちに帰ったみたいだな。
響「お帰りになるのですか?」
「あぁ、梓の世話をありがとう。」
響「いえ、こちらとしても楽しい時間を頂けたので、世話と言うほどでは。」
「そうか、それは何よりだ。」
カウンター越しに俺と向かい合ってたその人が、今度は梓に目をやる。
「梓、お父さんは帰るけど・・・あ、その前に、」
ちらりと目を向けられる。
・・・・合図だろう。見ないでくれと言う。
俺は180°回ってオーブンに目を向けた。
「これで、好きなもの食べて帰りなさい。タクシー代も含めて渡しておくから、帰りはタクシーで。」
梓「えっ、でも」
「・・・・・ね、・・・・わかって・・・・・・。」
あ、耳打ちになった。
って何を俺は耳を向けてるんだ!?
俺が自己嫌悪に陥ってる間にドアのベルが鳴った。
響「またのご来店を心よりお待ちしています。」
その人は屈みながらひらひらと手を振って、ドアを閉めた。
・・・憧れを抱く人だなぁ・・・。
声をかけようと右を見る。
響「あず・・・」
そこには悲しげにドアを見つめる少女が居た。
響「・・・姫。」
梓「はははいっ!!」
カウンターの中にも一応だが小さめの椅子が有る。それに腰掛けると、丁度姫と同じ目線に下がった。
響「あと、15分ほどで。クリーム塗りますよ。」
って、クリーム用意・・した・・・・してない。
響「あ、クリーム作ってない。」
梓「ええぇ!?」
響「ま、すぐ出来ますよ。」
冷蔵庫からクリームのパックを出そうと立ち上がったそのとき、店長に呼び止められた。
不知火「私が居るのに随分と楽しそうね~。」
響「む、」
あ、不服が声に出てしまった。
響「何ですかその言い草。」
不知火「べぇつに~~?」
響「はぁ・・・」
当てるようにあからさまな溜息をついてやるが、その程度で傷つくような心は持ち合わせていないのがこの人だ。
不知火「響、私は奥で休んでるわ、客が来たら呼んで頂戴。」
響「はいはー・・・」
い。と言いかけて釘を刺しておく。
響「お酒飲んじゃだめですよ!」
不知火「・・・・はい。」
潮らしい返事を聞いたところで冷蔵庫を開けて目当てを取り出す。
梓「そんなに小さいものなんですか?」
不意に、梓の質問が飛んできた。
確かに小さいがこれで十分ホイップが作れてしまうのだ。
本来は2パックで十分だが、『チョコホイップたっぷりマシュマロケーキ』なのだから、3パックふんだんに、惜しみなく使う。
マシュマロは、カウンターの下に待機中だ。
響「あわ立てればこれがクリームになりますよ。」
と言って、カウンターの収納スペースからボウルと泡立て器を取り出す。
電動ではないのが腹立つ。
あれだけ買ってけって言っておいたのに・・・・。
全く、面倒なものである。
パックを開けてボウルにいれ、泡立て器でシャカシャカ混ぜ始めた。
・・・汚れとか気にして机の上に置いてやっていたら、埒が明かん!!
あず・・・もとい姫に
響「スイマセン、エプロン取ってきてください。」
ロッカールームの方向を顎で教えて取ってきてもらう。
すんなりとその方向に消えていった姫。
・・・・結構、遅くないか・・・・?
梓「これで良いですか・・・?」
と言って、いつの間にか横に立っていた梓が差し出したのは・・・
響「・・・!」
まさかの『猫ちゃんエプロン』・・・!
響「え・・・?」
梓「店長さんがここが響さんのロッカーだって言って、これ持ってけと・・・。」
・・・・!
今、俺の怒りが有頂天に達したぁッッ!!!
頂点とか言う突っ込みはナシだ!!
響「・・・・」
梓「もしかして・・・違いました?」
そんな、済まなさそうな顔されたら・・・・俺断れねえ・・・!
響「いえ、それが俺のエプロンです。ありがとうございます。」
・・・後で店長には『礼』しとかなきゃな・・・・。
計算高くなりやがって・・・!
仕方なくそのエプロンに袖を通し、ボウルを抱えた。
響「さて、これで本調子です。」
俺は腕をフルに使い、さっきの2倍近い速度で荒々しくホイップを作りはじめた。
梓「はや・・・・」
俺の腕が、梓の小さな独り言も掻き消すくらい音を立てる。
梓「慣れてるんですね・・・・。」
そう言われると、家事が出来、料理も出来る自分が情けなくなってくる。
響「多少、情けない気もしますよ、男の癖にナヨナヨして家事しか出来ないってのは。」
梓「そんなことないです!」
大人しくカウンターに肘を着いていた梓が乗り出してきた。
梓「なんか、カッコいいじゃないですか!」
響「・・・・、あ、ありがとうございます。」
そんなどうでもいいことで反駁するか・・・・?
ってか、どこまで乗り出してんだ。
・・・・こっちはどうでも良くない事だが、近い。
響「ひ、姫?近いです・・・・。」
梓「あっ!すみません・・・・。」
慌てて元に戻る梓。
響「・・・・」
梓「・・・・」
真っ赤な梓と、調理に集中したい俺。
って、それじゃあ、営業方針が・・・・。
響「・・・姫は、音楽とか興味ありますか?」
梓「は・・はい!あ、あります!ギターしてます!」
響「えっ!?ホントですか!?」
梓「・・・あ、はい。」
結構大きい話題が見つかっちまったな。
響「俺も半年ほど前からギター始めたんですよ。」
梓「は、半年ですか?」
響「ええ、受験勉強のときに何してんだって話ですが。」
自分を笑うように苦笑する。
響「姫は?どれくらいですか?」
梓「もうすぐ4年になります。」
響「4年ですか・・・・。ついでに聞くと、何年生ですか?」
梓「3年生です。」
3?小学校はありえないけど・・・・?
響「・・・・中学ですか?」
梓「はい。」
響「・・・」
梓「む、何ですかその意外そうな顔は。」
しまった、顔に出てたか・・・。
響「すいません、てっきり、小学6年位かと・・・・」
梓「それって、失礼だと思いません?」
響「中学生だと分った今はそう思います・・・・。」
見て十分に分るほど膨れる梓。
梓「ふーんだ。慣れてるから良いですけど?」
慣れてるなら何故そこまで膨れてるんだよ・・・・。
響「あはは・・・」
思わず笑えてきて、手が止まってしまう。
梓「わっ、笑わないでください!」
響「失礼いたしました・・・・。く・・・・」
梓「堪えてるじゃないですか!」
どうにか手は動くまでに収まった。
しばらく堪えながらクリームを作っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
響「はいクリーム完成~!」
梓「お疲れ様でした~」
と言いながら、梓の目は俺ではなくクリームに向いている。
・・・・さすがは女の子、甘いもの好きだな・・・・・。
響「姫・・・?」
梓「・・・・・・・・・」
反応が無い。ただの『ケーキ食べたがり屋』のようだ。
響「・・・。」
俺の視線に気が付いたのか赤らめた顔をこっちに向けた。
梓「その、違いますよ?あれです・・えっと・・・・・。」
響「ツマミ食いしますか?」
紅潮していた顔が一気に喜びに変わる。
梓「良いんですか!?」
言ってしまった以上、断れないが、ここまで顔を輝かせるとは・・・・。
スプーンを取ろうと、梓に背を向けた。
小さい引き戸から、客用のスプーンを取り出し、振り返ったところ・・・
梓「あっ・・・・」
梓がそろりと指を出していたところだった。
どうやら待ちきれないらしい。
響「はい、スプーン。」
梓「///はい・・・。」
差し出したそれを受け取って梓が一口。
梓「~~♪」
今なら花が散りばめられている背景が似合いそうだ。
響「さてと、」
梓を置いて、後ろに目を向けたそのときに丁度、
チーーーーーーーーーーーーンっ!!
オーブンがスポンジを焼き終えた。
響「よし。」
ミトンを持つことなく鉄製の受け皿を引き出す。
・・・この程度の温度なら我慢できる範囲だな。
響「姫、クリーム塗りますからー・・・・」
振り返ったそこにいたのは・・・
梓「♪~」
なんとも幸せそうに『クリームだけ』を貪る少女がいた。
響「姫ー・・・」
梓「ひにゃ、にゃいっ!」
呂律が回っとらんぞーーー・・・・
響「クリーム塗るんで、お貸しください。」
梓「は、はいっ!」
貢物を差し出すように顔を伏せてそれを差し出してくれる梓。
というか、顔が赤いのを見られたくないだけだろう。
響「じゃ、ちゃちゃっと塗りますので、少々お待ちを。」
梓「・・・・・・///」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~ちゃちゃっと~~~~~~~~~~~~~~~~~
結局、マシュマロも飾り付けて、今はカウンター越しにそれが小さな胃袋へと消えていくさまを見ている途中・・・
響「如何ですか?」
梓「♪~」
俺の言葉よりケーキに夢中らしい。
なんか、和み・・・・
ふと、フォークが止まった。
梓「・・・・ぁ・・・・ぁ・・・・」
俺のほうを見て、言葉を無くしている梓。
響「・・・?」
梓「・・・・め、目・・・・・」
・・・・・。
・・・何だって、コイツの幸せな時間を壊してるんだよ・・・・・。
気を抜いたら、お前は出てくんのか?
戻れ・・・・今、すぐに!
目を瞑り、意識を集める。
ド畜生が・・・・。
やっと、収まった・・・。
しかし、俺は疑問を一つ抱いた。
目を見ただけで怯えた・・・・?
響「驚かしてしまって・・・すみません。」
梓「あ、いえ・・・・ところで今のは・・・・?」
響「説明すると、長くなりますが・・・良いですか?」
姫は、梓は、ゆっくりと首を縦に振った。
響「つい最近の出来事です、この目が、俺の目の色が変わるようになったのは。」
梓「あ、敬語じゃなくて良いですよ、そのほうが早いと思いますし。」
バイト中だが・・・・ここは公私の『私』になって、・・・・店長に爪楊枝刺される覚悟で口調を戻そう。
響「じゃぁ、そうする。梓。」
梓「はい。」
まず、あの事件は新聞を見る限り公けにはなっていないから・・・・ここは言わないようにしないとな。
響「学校で、ちょっと大きな喧嘩があって、俺が吹っ掛けられた方の・・・な。」
響「当然返り討ち。中学時代剣道してたし、それも助けてくれたみたいでさ。」
で、ここからはボッコボコにしたことを言うべきか・・・・・
・・・・。
避けておこう。
響「で、その時から・・・らしくて、でも最初からこんな風に突然出るわけじゃなかったんだ。」
それは、昨日からか、あるいはその前からか。
何にせよ、知ったのは昨日、律によって・・・・だ。
響「入院期間中に、コントロールでき・・・」
梓「入院!?」
・・・食いつくところだろうか?
響「あぁ、まあな。でも大丈夫だぜ?ピンピンしてんだろ・・・・」
と言い終わると同時に、胸が針に刺されたような感覚に陥った。
だが、これは中学から付き合ってる痛みだ。
タイミングわりい・・・・。
響「ぁっぐ・・・・・」
梓「ええ?!だ、誰か」
響「大丈夫大丈夫、これは・・・・神経痛で・・・・・持病もどきだから・・・・」
人を呼ばれちゃ溜まったもんじゃない。
もう一度あの病院へはいけないのだから。
梓「きょ、響さん・・・!」
祈るように手を組むが目は泳いでいる。
対処は、梓にも出来ない。
俺が耐えるしかないんだよ・・・・っなぁ・・・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大分収まった。
梓が、背中を擦ってくれていたからだろうか、痛みは早めに引いてくれた。
丸めていた背を元に戻し、どうにか話を再開しようとする。
響「入院中に訓練・・・・というか、自主トレというか、そんな感じで、感覚を探ってたら大体分かって、コントロールできるようになって、その時は特技が増えたと、ちょっとだけ浮かれてた。」
梓「そ、その前に!」
響「?なんかあるのか?」
梓「何かじゃないですよ!その神経痛、病院行かなくていいんですか!?」
大分慌てているように取れるが、別段、今回が初めてではない。
・・・こういう風に病院を進められるのも。
響「大丈夫、単なる神経痛だ。我慢できる。」
梓「そんな、適当過ぎます!」
あぁ・・・適当だとも。でももう一度あの病院に行けるとは思わない。
勝手な事をしたのは俺だ。
だから、都合よく行けないのは当然だろう。
覆水盆に帰らず、か・・・・。
響「話。戻すけど。」
梓「・・・・。」
しばらく俯いていた梓だが、しぶしぶ、とも取れるような仕草でゆっくりと首を縦に振った。
響「で、つい最近まではコントロールできてたんだけど、昨日あたりから、出来なくなってきてる。」
梓「・・・・、今のは、コントロール出来なくなってたんですか?」
響「ああ。変えるときの感覚がないのに――――って、これは本人にでもならないと分からないな。」
梓「まぁ、そうでしょうけど・・・・大体分かりました。」
響「ま、こんなもんだな。」
梓「大体・・・ですよね?」
響「ああ、細かいこと言って、時間とるのも何だし、かなり端折ったぞ。」
梓「良いんです、ある程度知っておかなきゃ、吃驚するし・・・。」
そういえば、接客のとき、この目は変わっているのだろうか。
思い直してみる。
・・・・・大抵営業スマイル浮かべてるし、気づかないよな。
多分そうだろう。
梓が話しながら食べ終わったケーキの皿をカウンターに持っていき、時計を見る。
響「もうそろそろお帰りになられた方が宜しいのでは?」
もうすぐ、一日の75%が過ぎる。
少女が帰るには危ない時間だ。
梓「あ、はい。そうですね・・・、・・・それじゃあそろそろ。」
そのあたりは本人も分かっているのか、大人しく賛同した。
レジの前に行って会計を済ませる。
響「お一人で大丈夫ですか?」
釣りを渡しながら心配してみる。
梓「大丈夫ですよ、タクシーで帰りますし。」
響「・・・わかりました。くれぐれもお気をつけて。」
梓「はい。」
上着を羽織ながら梓がこちらを振り向く。
梓「あの、そのっ」
響「忘れ物ですか?」
梓「えっと・・・また来てもいいですか?」
結構、何回もここに入るのは勇気いると思うぞ、うん。
でもまぁ、来てくれるなら俺は嬉しいし、あのお父さんも安心だろう。
響「ええ、もちろんですよ。」
営業スマイルを浮かべて、店での名を呼んだ。
響「梓姫♪」
梓「は、はい、・・・・////」
自分から頼んだのに、慣れてない・・・。
途中で慣れてなかったっけ?
まぁいいや。
閉める間際に笑顔を見せてくれた彼女と、それに手を振る俺を隔てるようにドアは外からの空気を遮断した。
不知火「あんた、持病持ちだったっけ?」
閉店の準備をしているところに、突然店長が言い出した。
響「えぇ。ったって、中2位からですし、その頃は全然会った覚えが無いですから、知らなくて当然でしょう。」
不知火「ふーーん。」
響「ところで、店長?」
不知火「ん?」
響「何であんたはコーヒー飲んでるのに俺は働いてんだぁーーーっっ!!」
不知火「・・・。このコーヒーおいしいわぁ!流石響の淹れ」
響「ちゃきちゃき働かんかい!」
とりあえずコップを奪い去る。
不知火「やーっ!コーヒーは淹れ立てが一番おいしいのにぃ~!」
響「片付け終わったらまた淹れますから働いてください!」
これじゃ、どっちが店長か分かったもんじゃない。
不知火「まったく・・・」
響「それはこっちの台詞です。ほら、ゴミ出して!」
不知火「コーヒーが・・・・」
響「しつこいですよ!」
まだブツクサ言いながら裏口にゴミを出す店長を見送って、コーヒーを仰いだ。
響「ってこれ!」
途端吹いた。
響「また酒飲みやがってあの人は!」
しかも今回はキツめだ。
不知火「響ーー!景色が歪んでるわよぉーー。」
響「あーあ・・・・」
やっちまったなぁ、と愚痴る代わりに今日最大のため息をついた。
そして結局、俺は店長を送る羽目となり、無駄に疲労を溜まらせただけという結果に。
当然のごとく家に帰った後の記憶は無い。
気づいたら、俺の体はベッドの上にあった。
そして、いつものように俺の意識は悪夢の床へと持っていかれていく。
・・・・・・・・・・繰り返される悪夢は、俺に不信感を募らせていった。
記憶への。
ああ、俺は今、友の声が聞こえる気がします・・・・
「もっとあずにゃんをだせーーー!」と・・・・。
ごめんなさい出せません。
そうなると常バイトの話になるわ!
響君が過労死しちゃうよ?w
1・・・2・・・3・・・
ああ、俺は何を書いてるんだ、謝りますすみませんごめんなさい。
では、
また、
次話で・・・・