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hg01 光GENJIについて

 亜熱帯と化してしまったかのような日本列島を覆う猛暑の勢いはとどまるところを知らない。お盆も過ぎたのに暑さが収まるなんて事はなく、特に夜はあまりにも寝苦しい日々が続く。陽炎揺らめくアスファルトを超えて南郷宇宙研究所にたどり着いても画面越しに映る光景がこれではしたたる汗も止まりはしない。


「やっぱり今日も暑いね。噴水でもあれば水浴びするのにな。よくニュースとかでやってるけど、ああいうのってどこにあるんだろうね」


「都会にはあるんでしょ。それにしても、ニュースなんて気まぐれなものよね。ついこの間までマスコミのおもちゃだった事柄もそろそろ熱が冷めたと見るやいなや音沙汰なしなんて」


「そりゃあね。あの人たちだってお金のために日々頑張ってるんだから。結局正義とか真実を伝えるとかよりも面白いお話を伝えるためには時には嘘が交じることもあるし、そこは見ている僕たちが単純に信じるだけでなく疑いながら見るのが大事だよ。スポーツ新聞やゴシップ誌ならまだいいよ。あんなのは嘘も多いってみんな知ってるから。それより普通の新聞で一見偉そうだけどよく見ると間抜けなことが書いてるってパターンだよ。その場の雰囲気でなんとなくそんな気になるからこそ危険だよ。しっかり見極めないと」


「そうよね。ましてや芸能界、会った事もない人についてどうこう言われても本当のところを判断できないものよね」


「うん。だから、それとはあんまり関係ないけど今日はアイドルグループの光GENJIについてちょっと話したいって思ったから言うね」


「前も言ってたわね。どうぞどうぞ」


「とは言っても実際ゆうちゃん、光GENJIについてそんなに知らないでしょ?」


「まあ、ねえ。昔の人たちって程度しか」


「それだけ知ってたら十分だよ。活動した期間はそれほど長くないし解散後の活躍度もそれほどでもないから。だから知名度が高いのは割と狭い範囲の世代の一部ってところになると思うよ。でもその時の最大瞬間風速はかなりのものだったらしくて、その辺は動画サイトとかで『ガラスの十代』とか『パラダイス銀河』あたりをテレビで披露してる映像を見れば何となく分かると思うよ」


「けたたましいわね。と言うか観客歌いすぎでしょ」


「まあそれだけ人気があったって事だよ。そしてローラースケートを取り入れた振り付けとか曲の途中でいきなり脱ぎ始めたり、ギミックは突飛な部分を有していたけどそれ以外は色々な面でアイドルらしいアイドルって言えるんじゃないかな。曲の知名度で言うとその二曲に加えて『勇気100%』はかなり高いね」


「忍たま乱太郎の? え、でもあれって違わない?」


「今はSexy Zoneだけどその前もジャニーズの色々なグループが歌ってて、その大元は光GENJIなんだ。今から二十年前だからね。Sexy Zoneなんて最年長が一九九四年生まれだから最初に発売された時には誰も生まれてないって事になるから気の長い話だよ。しかもエンディングは安室奈美恵のいたスーパーモンキーズだし。こっちは早々と交代の憂き目にあったけどOPは光GENJI解散後も延々と、どうやら二〇〇二年まで使われてたから誰が歌ってたとか知らないうちに歌だけは知ってたって人も多いんじゃないかな」


「そう言えばいつ解散したの?」


「それがね、まずメンバーは七人なんだけど一九九四年の夏に二人脱退して五人組となったから、グループ名もそれに合わせて光GENJI SUPER 5って変わったんだ。で、『勇気100%』もSUPER 5が歌うものに代わって、それが二〇〇二年まで使われたんだ。でもこの名前でいたのは大体一年で一九九五年には卒業って表現がなされたけど、要はここで解散したんだ。だから基本的には『解散したのは一九九五年』でいいよ」


「もう二十年近く前の話なのね」


「それ以来再結成はされてないし今後もないだろうね。文字通り伝説の存在と化したわけだね。もうその頃はSMAPが大人気でTOKIOもいて、V6がほぼ入れ替わりでデビューとなった。こう見るとまさに世代交代って感じだけど。忍者はいつの間にか消えた感じだしジャニーズで解散したってのは彼らが実質最後みたいなものだよ」


「人気あったグループは今も健在なのね。それにしても、全然メンバーの名前も知らないけど、どんな人達がいたの?」


「うん。まずは年長者から順番に言うよ。最年長は内海光司。最初のシングルである『STAR LIGHT』が発売された一九八七年八月十九日基準では十九歳。その前にイーグルスというグループでデビューしてたり、先輩の少年隊なんかのバックでいっぱい踊ってたり、そういう実績は十分だったんだ。まあベテラン枠だね」


「十九歳でベテランってのも凄い世界ね」


「身長が割と高くて、お兄さんみたいな役割も担ってたしね。それとおでこの右側を見せる髪型を長く続けてて、まあ後の方になると全部下ろしたり真ん中で分けておでこ全体を出したりしてるけど、まあイメージとしては右側を見せる髪型だね。まず声が小さくてちょっと高い音となるとすぐ細くなるし、歌唱力は低い。今もジャニーズに所属してるけど出番は少なくて屈指のレアキャラとして認知されてるんだ」


「歌唱力は評価ボロボロね」


「さすがにうまいと言ったら嘘になるから。どこかの元総理じゃないけど僕は嘘は申しませんよ、基本。次は大沢樹生。デビュー当時十八歳。特に鋭い目つきが特徴で、美形ではあるけどアイドルの中ではかなり大人びた印象だね。この人もイーグルスにいたんだ」


「またイーグルス?」


「当時は若かったけど随分成長したものだよ。身長はそれなりに高く、前髪を上げた短髪も男らしい感じだし。歌唱力は、まず音程も怪しいけどそれ以上に巻き舌を用いて絡みつくような独特な歌唱が頭に残るね。それもまた他にない個性となっているんだ。一九九四年に脱退した一人でもあって、当初はあんな歌唱力の割に果敢にソロで曲も出してたけど今は俳優として活動してるよ。悪役とか多いけど」


「元アイドルが悪役メインねえ」


「生きるってそんなもんだよ。ここまでの二人が年長組で、光という名前のグループでもあるんだ。光GENJIは光とGENJIという二つのグループを合体させたという由来もあるからね。ここからがGENJIで、まずは諸星和己。デビュー当時十七歳。もっさりしたパーマと満面の笑みでいかにも真ん中にいそうな雰囲気を漂わせている、いわば光GENJIの象徴と言える人だよ。実際一番人気だったようだし」


「光GENJIの一番人気が諸星ってのもいかにもね。芸名?」


「いやいや本名だよ。静岡の生まれて、あの辺りには諸星っていっぱいいるらしいから。歌唱力は、最初の頃は初々しいけどしだいに俺様系の歌い方になっていったんだ。ついでにルックスもね。今は変な歌出したりバラエティ番組に出たて何度も聞いた昔話を暴露したりという、元アイドルの活動を続けているよ。最前線にはいないけど見つけようと思ったら案外見つかる程度にメディア界隈をうろついているんだ」


「一番人気だったのに何かぱっとしないのね」


「古い人だからね。世間一般では光GENJIとか今となってはお笑いの対象だから諸星だって道化を演じるしかないものだよ。次は佐藤寛之。デビュー当時十六歳。名前も地味だしその辺の高校生みたいな顔も地味。キャラとしても温厚な感じで、一般的にはそんなに人気はなかったはず。歌唱力はグループ内では上位で、特に九十年代になってからは徳永英明系の高音が特徴的だよ。その頃になると顔も安定して、清潔感のあるルックスって感じ。そして大沢と同じタイミングで脱退したんだ。これはつまり七人じゃないと光GENJIじゃないというポリシーに基づくものだったらしいよ。その後は歌手として地味に活動を継続中」


「そんな地味地味言われると微妙な感じね」


「実際パッと見で存在感があるタイプじゃないからね。でも大事な人なんだ。次は山本淳一。デビュー当時十五歳。小柄でちょっと猿顔とでも言うのかな。輪郭がやや軸がずれてるみたいな。キャラクターとしては優しくて明るい感じだよ。それと運動神経がいい」


「佐藤に続いてまた普通な名前の人が出てきたわね」


「確かに、漢字違い含めると千人ぐらいいそうだよね。歌唱力は、やや平板だけど声量はあるので歌唱の軸となっているんだ。解散後はJunichi&JJrって山本とジャニーズジュニアによるグループみたいなのを作って忍たまの曲を出したりしてたけど、今世紀に入ってから色々あってジャニーズを辞めたんだ。それからは、曲を作ったりなんだかよく分からないサイトを運営したり。まああんまり表には出ていないね」


「ううん。何だかもっとこうパッとした感じの解散後を過ごしてる人はいないの?」


「じゃあ次はかなり凄いよ。赤坂晃。デビュー当時十四歳。最初の頃はボーイソプラノだったけど成長とともに甘い感じの声になっていったんだ。結構低音も出るし歌唱力もなかなかに安定しているし、アルバムに入ってるバラードの曲なんかでは佐藤寛之とともにしょっぱなでソロを任せられたりする機会が多いんだ」


「ふうん、それはなかなか。顔は?」


「顔は、くっきりした二重まぶたとかでちょっとハーフっぽく見えることもあるね。身長も最初の頃は年齢相応に小さかったけどにょきにょきと伸びて光の二人と同じくらいになったんだ。解散後もジャニーズに残って舞台の主演だったり、NHKの朝ドラや大河ドラマなんかにも出てたりして案外一番安定していたと言える時期もあったけど逮捕されて解雇されたの」


「あっ……」


「覚醒剤でね。しかも二回。つい最近まで檻の中にいたけど今はもう娑婆に出てるらしいよ。実質引退状態で復帰の意思もないようだし、だから再結成はないって断言できるんだよね、うん」


「ああ、何というかお気の毒に」


「もうどうにもならない話だから、過去は過去で今は今と割り切るしかないよ。そして最後の一人は佐藤敦啓。デビュー当時十三歳。きりりとした顔は一見して明らかに美形で、本当にそれだけで成り立ってるような人だよ。身長は低いしなんか詰まったような歌声でがなり立てるような歌唱もアレだし、本当顔だけ」


「でもまあアイドルなら顔だけでもいいんじゃないの」


「解散後すぐあたりは結構ドラマにも出ていたけどね、視聴率の低さで有名なアレとか。それからソロでロックっぽいアルバムも結構出したりしつつ、今は舞台がメインだね。それに今もジャニーズに所属してるんだ。残ってるのは内海と二人だけだね。本当は三人離脱四人残留だったのにね。まあ、こういう事務所の問題も再結成のなさを確信させる一因だよ。全員離脱ならまだ可能性は出てくるけど、今更離脱する意味はないし、もし赤坂みたいに不祥事でも起こせば離脱は出来るけどそれどころじゃなくなるし」


「まあ色々大変なのね」


「でも曲は好きだから。でも何がいいのかと問われると逆に難しいかもね。僕にとってはもはや水や空気みたいなものだから。かなり大雑把にまとめると、全体的に素直に格好良い曲が多いんだよ」


「格好良いねえ。具体的にはどんな感じで?」


「それはねえ……。あっ、そうだ! これからそれを追っていこうよ! 二人でさ! 曲を聴いてみるんだよ。それで絶対分かるはずだから」


 ここに至って熱砂渦巻く大地を揺るがすサイレンの赤い音が鳴り響いた。懲りもせずにまあ、とばかりに二人は戦士の表情に切り替えるとすぐに仮面を被り、敵の現れた高原の麓に広がる林へと急いだ。


「ふふふ、私はグラゲ軍攻撃部隊のツクツクボウシ女よ。この星を我らの住む星に改造してやるわ」


 夏の終わりを感じさせるどこか詩的な声を発しながらツクツクボウシ女は地球に宣戦布告していた。思えばそろそろ宿題を片付けないといけない。


 いや、ドリル類はもうとっくにけりをつけているのだが問題は自由研究とか工作であって、この辺は「ちょっとこだわってやろう」という事前の野心はどこへやら、結局牛乳パックを切って表面を折り紙などでデコレーションしただけの代物を貯金箱だの小物入れだのと称して提出するような逃げの一手を打つ羽目になるのがパターンなのだから。


 しかし今年の渡海雄と悠宇はそのような悩みから解放された。幸い協力してくれる大人は多い。その気になればとても三年生には出来そうにない精密な宇宙観測を自由研究と称したり出来るのだから。


 まああんまり出来が良すぎるのも考えものなのでそれなりに手作り感覚を醸し出しつつ、でもデータはいっぱいあるからうまく利用しながら書けばすらすら完成するものだがそろそろ話を戻そう。


「またしても現れたなグラゲ軍! 絶対に許さないぞ!」


「蝉でさえ西風と共にその姿を消すというのにあなたたちをきたら!」


「ふん。笑わせるな。我らが成し遂げようとするのはこの宇宙における明白な運命のもとになされているのだ。邪魔するなら命はないぞ。行け、雑兵よ!」


 木々の隙間からわらわらと湧き出てきた雑兵だったがその活躍期間は蝉の成虫の一生よりはるかに短いものだった。


「よし、雑兵はすべて片付いたぞ。後はお前だけだなツクツクボウシ女!」


「そろそろ鳴き声が変わってくる頃合でしょう。一度切り上げたらどうですか」


「雑兵がいくら倒されたところでこの私がお前たちを倒せば問題ないものだ。見るがいい!」


 そう言うとツクツクボウシ女は懐からスイッチを取り出して巨大化した。諦めないのが彼らグラゲ軍の特質とは言え、いい加減やっかいに思えたので一気に勝負をつけるべく渡海雄と悠宇も合体した。


「メガロボット!!」

「メガロボット!!」


 林を構成する木々は二つの巨像を前にしては膝にも満たない足元を隠す草原にも似た、ささやかな草木に見えた。そろそろ傾こうかという太陽を背にジリジリと間合いを計りながら、わずかに生まれた一瞬のタイミングを二人は逃さなかった。


「今がチャンスだ! これでも食らえ! フィンガーレーザーカッター!」


 悠宇が一気に敵との間合いを詰めると、渡海雄はすかさず群青色のスイッチを押した。するとメガロボットの両手の指から高熱線レーザーが発射され、十本の光色のラインはしなりながらツクツクボウシロボットの全身をバラバラに切り刻んだ。


「まさか、これほどのパワーがあるとは。忌々しいが脱出しかあるまい」


 機体が大破する前に脱出装置が作動して宇宙の彼方へ逃げ帰った。ただ二人が地球を守ってるのはそれこそ内密なので絵日記でロボットを描きつつ「今日は地球の平和を守りました。疲れたけどうまくやれたので良かったです」とか書くわけにはいかない。戦いの苦しみを背負う人は少なくて十分だと考えているからだ。


 それでも一人じゃなくて二人なんだから、夏休みが過ぎても二人で頑張ろうと改めて誓い合った渡海雄と悠宇であった。それとこのページ、割と見てくれる人が多いみたいでとてもありがたいものです。ただなにぶん十年前に書かれたものなので内容的にはもはや歴史的文書と呼んで差し支えない代物。現状とは異なる部分も多々あるけど当時はこういう感覚で見ていたのもまた間違いないので、そういう微妙な時差を楽しんでいただければと思います。

今回のまとめ

・お薬は絶対NG

・今回はメンバー紹介しか出来なかったが最終的には全曲レビューする予定

・そもそもそれをするためにここを立ち上げたようなものだし

・スタンスとしては楽曲が好きなのであって本人のキャラクターなんかは別に

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