表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/134

第六十二話~教育は大事だと思ったので丸投げしました~

サボってたわけではないんですよ!_(:3」∠)_

 結論から言うと、鬼人族の里との互恵関係構築は上手くいった。


「人はパンのみにて生くる者にあらず、か」

「ジャムや薫製肉やミルクが欲しくなりますよね」

「うん、まぁ。本来の意味は全然違うんだけどな、この言葉」


 人間は物質的な満足だけで生きるのではなく、神の言葉や信仰を得ることによって生きていくのだ、っていうのが本来のニュアンスだったと思うけどね。でもまぁ、今回のパターンは誤用の方がピッタリとはまっている感じだな。


「実際問題、娯楽や嗜好品ってのは重要だけどな。生活が安定しているなら尚更だろうな」

「嗜好品ってだけでなく塩は重要ですけどね」


 鬼人族の里では嗜好品だけでなく、塩も慢性的に不足していたらしいということが後からわかった。海が遥か遠く離れた大樹海の生活では塩の確保が非常に難しいのだ。

 主な入手先は川の民が川を流れる水に極僅かに含まれる塩分を水魔法を使って抽出したものや、鬼人族の里の近辺に湧く塩泉の水を煮詰めたもの、後は樹海に生えている植物の中に微量の塩を貯め込む性質のあるものがあるらしく、その植物を乾燥させて燃やし、その灰を水に溶かして濾して煮詰めるなど手間隙をかけて得たものなどに限られる。

 どれもそんなに効率は良くない上に得られる塩は僅か。しかも今年は川の民が得体の知れない魔物に襲撃されて川の民も取引できるほどの塩を確保できていなかったり、そもそも大氾濫の影響でいつもの魔物も数が増えたり凶暴化しているものもいたりで割と切羽詰まっていたのだとか。

 まぁ、わかったからといってそれを利用するつもりもないんだけどな。そりゃ塩を盾に取れば鬼人族に対して有利に事を運べたかもしれないが、別に俺は鬼人族から利益を搾取したいわけじゃない。身内として取り込んで領地開発の邪魔をされないように――可能であれば上手くこき使いたいだけだ。ならここは大いに恩を売っておくべきところだろう。鬼人族は義理堅い性質みたいだしな。


「いいんですかー? 塩や嗜好品はもっと高く設定して利益を取れると思いますけど」

「身内から搾り取っても仕方ないだろ」

「んふふ、そうですねー」


 俺の横で執務の補佐をしているマールは何が楽しいのかなんだかやたらニコニコとして機嫌が良い。なんだろうか。


「何か良い事でもあったのか? 随分と上機嫌だが……もしかしてデキたか?」

「いえ、残念ながらまだデキてません。ただ、タイシさんのやろうとしてきたことが形になりつつあるのが嬉しくて」

「ああ、なるほど。うん、確かに形になってきたよな」


 とりあえずコミュニケーションを取れる大樹海の種族のうち、守人と呼ばれる機械生命体っぽい種族以外とはコンタクトが取れて友好的な関係を築けた。市街地を囲む城壁もまだ建設の途中ではあるが、形になってきた。

 街並みも整ってきたと言えるだろう。アンティール族の尽力によって上下水道も整備されたし、魂魄結晶を用いた給水塔や蛇龍玉を使った浄水設備も正常に稼動している。川の民の生活地域に向かって伸ばしていた運河も、まだ護岸工事は終わっていないが繋がりはした。今も自称サハギン――もう河童でいいや。河童達が昼夜を問わず工事をしているらしい。

 領都クローバーから東西に伸ばしている街道だが、こちらもカレンディル王国側については開通した。開通というか、まだ大樹海を突っ切るように木を伐採して歩けるようになった程度だけど。これも馬車が通れるように道を拡張して石畳を敷かなきゃならない。それにクローバーに至るまでの道数カ所に宿場も作らなきゃならないし、魔物対策だって必要だ。

 ミスクロニア王国側への街道は途中で大きな湿地帯にぶつかってしまったので、迂回するか埋めるか橋を架けるか検討中だ。川の民の運河がひと段落してきたので、彼らを派遣して調査してもらい、どうすればいいか意見を聞く予定だ。

 獣人達は広範にいろんな仕事に従事しているし、アルケニア達は職人になる者が多いようだ。アンティール族は土木工事だけでなく計算にも強いので、実は文官向きだ。川の民には色々な種族がいるのだが、全体的に水や土魔法の適性が高い者が多いので魔法を生かして水回りの仕事や医療、衛生、清掃に工事関連など幅広く活躍している。ケンタウロス達は領都クローバーの内外を西へ東へと忙しく駆け回っているし、最近入植し始めた鬼人族は農業や陶器製造、酒造に建築、単純な肉体労働など様々な仕事をしている。

 妖精族? あいつらはまぁフリーダムに色々なところで好き勝手にやっているが、子供を見守ったり喧嘩を仲裁したりと治安の維持に一役買っている。意外なことに。


「カレンディル王国との交易が先に始まりそうですね」

「だな。まぁ東にあんなでかい湿地帯があるとは思わなかったからなぁ……」


 マールが大樹海横断街道を地図に起こしたモノを眺めながら漏らした呟きに同意する。西に伸ばしたカレンディル王国行きの街道が大樹海を貫通してついにカレンディル王国の国土に到達したわけだが、東側のミスクロニア王国側に抜ける街道はその行程半ばで大規模な湿地帯にぶつかってしまっていた。


「どうしますか? タイシさんの魔法でずばーんとやっちゃいます?」

「それならそれでもいいけどな。あれは使えないか? ミスクロニア王国の首都で使われてた水上盤」

「確かに水上盤は大型のものなら荷物も沢山運べますけど、クロンで使われている水上盤は歩くよりやや早い程度の速度しか出ませんから、交易で使うのにはそのまま使うには速度が足りませんよ?」

「速度は何かしらの方法で補えるんじゃねぇかな。運用コストはどうなんだ?」

「私も詳しくは知りませんが、そんなには高くないと思います。クロンでは一般的に使われていますし。ただ、速度を上げるとなるとどうなるかわかりませんね」


 ミスクロニア王国で使われている水上盤を使うとなれば相当な量を発注することになるだろうから、これはこれでイルさんには喜ばれそうだけどな。何にせよ川の民を派遣しての調査結果次第か。


「手っ取り早いのは魔法で湿地を干上がらせるなり、道を作っちまうなりすることかね」

「とても現実的な手段とは思えませんけど、タイシさんならできちゃいそうですよね」

「やってみなきゃわからんけど、できそうな気はするな」


 土魔法と水魔法を併用して土を寄せて水を抜いて、その上である程度の範囲を硬質化させればいけそうな気がする。ただ、それなりに深いところまでやらないと後から道そのものが沈んだりするかもしれん。


「いっそデカい橋でもかけるか」

「橋ですか?」

「土魔法で長い石杭を沼に打ち込んでいって、それを基礎としてつり橋をかける方が楽かもしれんとか思ってな」

「つり橋というと、あの谷とかにかかってるぐらぐら揺れるやつですよね? 馬車が通れるようには思えないですけど」

「ああうん、そうだよな」


 俺が想像するつり橋とマールが想像するつり橋は違うものだけど、考えてみれば大型のつり橋を作る技術がこの世界にあるとは思えない。支柱から伸びるメインケーブルは確か太い鋼のワイヤーを百本以上も束ねたやつだったと思うし。そんなの作る技術も資材も無いな。

 金属は高いんだよ。加工するのも採掘するのも魔法という要素があるおかげでそこそこ発達はしているんだけど、魔物という要素のおかげで採掘そのものが命懸けだからな。鉄鉱石の鉱床ヤッター! とか思ったら甲殻が鉄でできてる魔物の巣窟だったじゃないですかヤダー! なんてことがままあるらしいからな。そういうのも叩き殺して鉄製品を生産しているマウントバスのドワーフ達マジぱねぇっす、というのが世間一般の認識らしい。

 マールと顔を付き合わせてぬーん、と唸っていると執務室のドアがノックされた。


「どうぞー」

「お邪魔、します」

「お、シェリーか。一人でどうしたんだ?」


 遠慮がちな様子で入室してきたのは狐耳少女のシェリーだった。いつもカレンと一緒にいることが多い彼女だが、珍しく今日は一人のようだ。彼女は小柄なマールよりも更に小さい。頭の大きな狐耳を入れてもマールとそう変わらない身長だ。

 俺の嫁の一人でもあるわけだが……うん、これは間違いなく犯罪だわ。こんな子とアレがナニでズキューンな事したら一発アウトでおまわりさんの世話になること間違いなしだね。

 俺とマールの視線を一身に受けたシェリーはしばらく俯いてモジモジとしていたが、意を決したのか胸の前で両拳を握り、叫んだ。


「わ、わたしもちゃんとおよめさんにしてくださいっ!!」


 緊張のためか、それとも羞恥心からか顔を真っ赤にしながらそう言ったシェリーは目を瞑ってブルブルと震えている。俺? 俺はあまりにショッキングで唐突なシャウトに茫然自失だよ! 助けを求めてマールを見たら何か愉快そうな顔でニヤニヤ笑ってるし。殴りたい、その笑顔。


「とりあえず落ち着け、な? こっちに来て座れ、ほら、膝の上にカモン」


 そう言ってポンポンと膝を叩くとシェリーは素直に俺の膝の上に座ってひっしと抱きついてきた。何この可愛い生き物。もふもふもふもふもふ。


「完全に犯罪者の顔ですね」

「そんな馬鹿な」


 至高のモフモフを愛でている俺がそんな邪な顔をしているわけがない。真理を得た宗教家の如き悟りを開いた表情の筈だ。もふもふもふもふもふ。


「それで、突然どうしたんだ? シェリーにもちゃんとミスリルの短剣は渡しているし、紛れもなく俺のお嫁さんじゃないか」

「マールお姉ちゃんとかフラム姉様とかティナお姉ちゃんとかクスハ様とかデボラさんとかメル姉と同じくしてほしいんです」

「? 同じくしてるぞ?」

「夜のおつとめをして子供をはらもがもが」

「ストップ、ストップだ。誰からそんな事を吹き込まれた?」

「め、メル姉がそうするのが妻の務めだって」

「マール」

「はい。あ、一刻くらいの間執務室には誰も近づけないようにしておきますね?」

「違う、そうじゃない。おい、ちょ、置いてくな!」


 変な方向に空気を読んだマールがごゆっくりー、とか言いながら退室していく。違うよ! そこはあの駄エルフを連行してくる流れだろ! この状況でシェリーと俺を二人きりにさせて何をしろと言うんだ。ああ、ナニをしろって? そりゃ俺としても興味がないでもないが、こういうのは初めてが肝心だしそう軽々しくはできないだろう。常識的に考えて。


「およめさん……」

「待って、少し待って、ちょっと考えさせて」


 俺の服の胸元をクイクイと引っ張って上目遣いで見上げてくるとか反則だと思います。

 よし、俺は覚悟を決めたぞーッ!


「いいか、シェリー。夜のおつとめをするのには必要な作法や知識があるんだ。それらを習得するまでは他のお姉さんたちと全く同じようにはできない。わかるな?」

「そう、なの?」

「ああ、そうなんだ。俺が教えてもいいんだが、男の俺が女の子のシェリーに教えるのは色々と問題があるんだ。女の子には女の子の、男の子には男の子の作法があるからな」

「な、なるほど」


 大人しくて素直なシェリーは俺の言葉に神妙な様子で頷いてくれる。なんていい子なんだ、なでなでしてやろう。もふもふもふもふもふ。


「だからな、俺が女の子の作法をちゃんと教えてもらえるように手紙を書いてやる。ティナかフラムかクスハかデボラに渡すんだぞ。マールとかメルキナには渡さないように」

「うん……はい」

「よし、いい子だ。いい子のシェリーはちゃんと作法を覚えてきたらお姉さんたちと同じく扱うからな」

「ほんとう?」


 キラキラとした純粋で無垢な瞳が俺に向けられる。あ、ヤバい。これ絶対に誤魔化せない奴だ。ティナ、フラム、クスハ、デボラ……俺とシェリーの未来はお前たちにかかっているぞ。


「勿論だ。俺は嘘をつかないゾ」

「……」


 何か不審がられている気がする。目の前で至高の狐耳がピクピクと動き、スンスンとシェリーの鼻が鳴る。そしていきなり首筋をペロリと舐められた。


「うひょう!?」

「……嘘をついている味がします」

「何それ怖い!? わかった、絶対に絶対だ。嘘ついたらシェリーの言う事をなんでも聞こうじゃないか」

「むー……絶対に絶対?」


 少し頬を膨らませて聞いてきおる。これが天然のあざとさというやつか……シェリー、怖い子。とりあえずこれ以上不審がられると嫌われてしまいそうなので、サクッと手紙を書いて便箋に入れてシェリーに渡す事にする。中身はこうだ。


『おめでとう、本状の開封をもって君はシェリーの性教育係に任命された。

 君の使命はこの可愛いキツネちゃんに淑女としての性教育を立派に施す事だ。

 君がシェリーに免許皆伝を与えた暁にはシェリーとそういう仲になる事になる。そう約束したので、シェリーと何より俺の運命は君の双肩にかかっているというわけだ。

 俺の精神衛生と、何よりシェリーの身体を気遣ってくれるように最大限の配慮をしてもらいたい。引き受けてくれた報酬は俺の出来る範囲で望むままの内容を約束させてもらう。

 マジでお願いします、なんでもしますから!


 追伸

 マールとメルキナはこの件に関して信頼できないので意見を聞かないように。

 あと上記二名は性教育係として不適切だと俺が判断しているので、万一開封したのが上記二名だとしても本状の効力は無効とする。

                               ミツバ領主 タイシ=ミツバ』


 うむ、これでいいだろう。

 正式な書状と同じく便箋を綴じ、最近出来上がってきた俺の印章を使って封蝋を施す。


「よし、ではシェリー君。君の任務はこの書状をティナかフラムかデボラかクスハに届け、そして書状を渡した相手を師として作法を学ぶ事だ。マールとメルキナは師として相応しくないので書状を渡さないように。いいね?」

「絶対に、絶対」

「うん、約束する。シェリーが作法を学びたい人をしっかりと考えて渡すんだよ」


 俺の言葉にシェリーはこくりと頷き、俺の頬に軽く触れるだけのキスをして逃げるように執務室を去っていった。一瞬だけ見た顔が真っ赤だった。


「うむ……小さくてもしっかり女の子だ」


 柔らかい感触の残る頬を撫でつつ、呟く。

 とりあえず危機は脱した。あとはメルキナをとっ捕まえて折檻せねばなるまい。つってもな、あの駄エルフの場合100%善意でやってたりするんだよな……人間の寿命は短いからいっぱい子供を作りなさいとか普通に言うんだよな。私が寂しくならないようにって。

 理屈はわからんでもない。マールが推し進めようとするハーレム思想を更に過激にしたような内容で、まさに産めよ増やせよ地に満ちよってノリで種蒔きをさせようとしてくるから困る。善意100%で。まるで我が子にお見合い相手を探してくるかーちゃんの如く。

 そもそも俺が普通の人間と同じ寿命なのかもよくわからんのだけどね、実の所。なんというか普通に老いてはいかない予感がしてるんだよな。確信はないけど。


 ☆★☆


「紹介状を書いてもらえると聞いて」

「聞いて! です!」

「うん、この流れは予想できてた」


 どばぁん、とノックも無しに執務室の扉を突破してカレンとシータンが現れる。俺の目の前には笑顔のまま額に青筋を立てているティナさんがいて、両隣にはマールとメルキナが床の上に正座していた。勿論俺も正座中である。


「……特殊なプレイ中?」

「お前はホントどこからそういう言葉とか覚えてくるの?」

「乙女の秘密」


 無表情でダブルピースするカレン。本当に謎だ。本当は俺と同じ世界からの転生者とかじゃないだろうな?


「最近カレンちゃんは夜魔族のキキさんの所によく行ってますよね」

「マール姉、バラしちゃだめ」

「あいつかー」


 夜魔族のキキは俺が変態貴族から助けた違法奴隷の一人だ。夜魔族なんて大層な名前だが、頭と腰に蝙蝠みたいな羽が生えているだけで、身体能力も魔力資質も人間と同等かそれ以下という不遇な種族だ。ただ、生命力が非常に高いというか身体がとにかく頑丈で、怪我の治りも早いし病気の類にも滅法強い。しかも長命で外見年齢が若いまま150年ほど生きるらしい。

 よく今まで滅びなかったな、というのが話を聞いた俺の最初の感想だ。見た目が若いままであまり強くない上、しかも美しく、怪我にも病気にも強いとかどう考えても奴隷として付けねらわれる未来しか見えない。

 実際に奴隷狩りの対象として虐げられ、高額で取引された――というか、今でも夜魔族と言えば高額奴隷の代名詞であるらしい。

 だが、彼らは意外と強かな者が多く、逆に主人に取り入って権力を手にすることもあるのだとか。そんな彼らも今では奴隷身分から解放され、色街で娼館を営んでいる者が多いらしい。娼館の主人と言えば夜魔族という固定概念すらあるそうだ。ドワーフと言えば職人、夜魔族と言えば夜の蝶関係、みたいな。それはそれでどうなんだと思うけど。

 ちなみに当のキキからもクローバーで娼館を経営したいという要望が上がってきている。お前それで良いのか? と言ったら。


『えー、じゃあ私も囲ってくれますかぁー?』


 って笑いながらニコニコとにじり寄ってきたので逃げた。超逃げた。食われるかと思った。夜魔族怖い。饅頭怖い。おっと、間違えた。

 それとあの変態貴族に捕まってた違法奴隷の中でもキキだけはなぁ、なんかわざと捕まってた節があるんだよなぁ。実際彼女が来てからあの変態は彼女にかかりきりになることが多くなって、結果的に他の違法奴隷の負担が大きく軽減されていたらしい。彼女にそれとなく聞いてみても惚けるばかりでのらりくらりと追求を躱すし。


「あなた、聞いているんですか?」

「イエスマム! しかしながら本官が愚考しますに、本官が彼女等に色々と教えるのは問題があるかと! よって女性陣に任せようと思いました、マム!」

「そ、それはそうですが……でも、その、私には無理です!」


 ティナが赤い顔で俺の頭をペシペシ叩いてくる。手加減しているのか全然痛くない。


「いや、この性獣二匹に任せるのは流石にな……参考までに、マールならどうする?」

「え? 私ですか? 私ならこの特製の薬を渡して――」

「はいアウトオォォォ! 没収! お前ほんとそれやめろよな! 初めてが前後不覚って後から罪悪感半端ないんだぞ! お前朝起きたらロクに何したか覚えてないのに全部終わってた男の気持ちも考えろよ! 男だって初めては大切にしたいんだよ!」


 マールとの馴れ初めを思い出しながらマールがどこからか取り出したピンク色の液体を没収する。初手酔い潰しからの既成事実作成がこの娘の手口でした。それもこれも全部イルさんって奴の教育が悪いんだ。おのれイルさん。


「あの……その節はすみません」

「ああうん、そういえばティナもそうだったよね」


 思えばティナも手口が同じだった。やはり教育が元凶……ハッ!? このままではシェリーまで?


「あの、シェリーちゃんにはそういうのは無しで教えますから」

「あっ、はい、お願いします」


 結局教育係は持ち回りで三人同時に受けさせる事になったらしい。どんな内容なのか気になるが、流石に男子禁制ということでした。ですよね。

 講師として経験豊富な夜魔族のキキや、他にも出産経験のある女性も招かれて割と大体的に勉強会が行われている。開催にあたってはしっかりと予算を出すことにした。性教育は大事だからね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
幼女3人娘が真の意味で、 『お嫁さん』 に成る刻が訪れました! カレンは後ろの穴も 同時、開通です !?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ