第二十話~生産活動を始めることにしました~
「毎日毎日飽きませんね」
マールとベッドの上で絡み合ったまま寝ているとフラムに呆れられた。仕方ないじゃないか、二人とも若いんだから。
朝の身支度を終え、朝食を取った後の朝のティータイム。
ちなみに今朝の朝食はハニートーストと牛乳、何かのベーコンを焼いたものとサラダだった。
朝から重量級のメニューである。
「さて、今日の予定だが」
「今日も依頼に出ますか?」
「それも良いが、折角工房があるんだし利用したいところだな」
レベルも二つ上がってスキルポイントも19ポイントある。
15ポイントあれば鍛冶か錬金を最大のレベル5にできるので、どちらかをサクっと最大レベルにして生産活動をしてみたい。
やはりここは鍛冶だろうか。強力な武器を量産して市場に流せば、人間全体の力を底上げできるだろうし。
それに鍛冶レベルを最大にして自分用の武器を作れば、手っ取り早く強力な武器を手に入れられるのではないだろうか。
錬金で大量に薬を精製して死に難くするっていうのも全体の底上げには繋がるか。
ただ、あんまり大々的にやって市場にダメージを負わせるのはマズい。いや、商業ギルドに大量の素材を持ち込んだりしてる時点で今更って気もするが。
「そういえばタイシさんって鍛冶や錬金術の心得があるんですか? 今まで聞いたことありませんでしたけど」
「まぁ、あると言えばある」
そういえばマールには異世界から来た事は打ち明けていたが、スキル取得云々については言っていなかった事を思い出す。
今度話して、相談に乗ってもらうのも良いかもしれないな。マールは馬鹿っぽいけど頭良いし。
「お館様、本日のご予定についてお話が」
そんな話をしていると、傍に控えていたジャック氏がそう言ってきた。
あ、これはアレだな。空気で判る。
「お館様が屋敷に戻り次第連絡が欲しいとゾンターク侯爵閣下より伝言がございまして」
「わかった。午前中は街に出て工房で使うのに必要な資材を買い付ける、ゾンタークに会いに行くのは午後からで構わないか?」
「はっ、アポイントメントを取っておきますので」
そう言ってジャック氏は下がる。
ゾンタークも王様の側近である以上は忙しいはずだから、何の連絡もなしにいきなり行ってもそもそも会えない可能性があるからな。
ジャック氏に会談をセッティングしてもらった方が良いだろう。
「じゃあ、今日はお買い物ですか?」
「ああ、折角昨日報酬も入ったしな。そうそう、マールの取り分を渡し忘れてた」
そう言って俺はストレージから金貨が20枚入った袋を取り出し、マールに渡す。
マールは袋の中身を見て目を見開いて驚いた。
「ちょっと多すぎませんか?」
「何でだ? 昨日のビッグホーネット退治ではマールだってかなりビッグホーネットを倒しただろ。俺が大半を魔法で撃ち落したとはいえ、妥当な報酬額だと思うんだが」
「うーん……ではこれは全部共有財産に入れておきます! これで細かいのも合わせて大体金貨25枚くらいですね」
「そうか? まぁ、マールがそれでいいなら俺もそれで構わんけど。共有財産の管理はお前に任せるから、必要になれば迷わず使えよ?」
「はい!」
マールが元気そう返事をしたので、俺は納得することにした。
マールに渡したお金をマールがそのように運用したいと言うのであれば、わざわざそれに異を唱えることもないだろう。
俺は温くなったお茶をぐいっと飲み干し、席を立つ。早速行動開始だ
「まずは工房をもう一度よく調べてから必要なものを買いにいく。ってわけで工房に行くぞ」
「ふむ、これが工房か」
工房に入ってまず最初に目に付くのが二つの大きな炉である。両方とも石炭や炭を使って火を熾すのではなく、魔力を燃やす魔力炉のようだ。片方が鍛造用で、片方が金属精錬用であるらしい。
その他には鍛造に使うハンマーや金床、砥石などの道具等が置いてある。
工房は二つの部屋に仕切られており、奥の部屋には錬金術を行うための調合台やビーカー、フラスコなどの実験器具らしきものなどが並んでいた。
この調合台も魔力を使って動かすものらしい。薬品に魔法を付与して魔法薬にするのに使うんだろう……と思う。
何故わざわざ二つの部屋に仕切ってあるのかと思ったら、仕切りの壁に防音の魔法が付与されていた。どうやら防音対策らしい。
ガンガン槌の音がなる中で神経を使う調合はできないだろうし、妥当な処理か。
しかし幾らかかってるんだ、この屋敷には。絶対にゾンタークには値段を聞かないことにしよう。
試しに炉に魔力を流して起動させてみると、直ぐに炉に火が入った。
どうやら魔力を充填して、蓄えた魔力で燃えるらしい。
鍛冶のレベルを1にしたところ、大体この設備の使い方がわかった。凄いな、スキルぱねぇ。
とりあえず魔力は充填しておいて良いみたいなので、蓄えられる魔力量の八割ほどを充填しておく。
MPを100くらい消費したところで二つの炉の魔力貯蔵量がほぼ八割になった。レベルが上がって俺のMPは950まで上昇しているので、まだまだ余裕である。
買い物をして戻ってくる頃には半分以上回復しているだろう。
「なんだか面白そうですね」
マールは隣室の錬金術の道具に興味を抱いたようだった。
マールのアトリエ……うん、セーフ。多分ギリギリセーフ。脳裏にセウトという単語が浮かんだ気がするけどきっとセーフ。
「錬金術、やってみるか?」
「え? 私がですか?」
マールは暫く考え込んでから、頷いた。
「そうですね、タイシさんが鍛冶場で作業をしている間に私も錬金術にチャレンジしてみます! 教本を買いにいかないといけませんね」
そう言ってマールはむんっ、と力を入れてグッと拳を固めた。
うむ、やる気があるのは結構。魔法も使えないマールが錬金術を修得できるかはまるで謎だが、本人がチャレンジするというのであれば見守ろう。
もし修得してくれれば、俺も助かるしな。あまり期待はできそうに無いが。
俺達は屋敷を後にして新市街へと降り、メンテナンスの為に鎧をペロン防具店に預けた。
ついでにどこで鍛冶に使うような鉱石を入手しているのか聞いてみた。
「商業ギルドだね。ただ、会員にしか売ってくれないからね。会員登録する必要があるよ」
「登録は難しいのか?」
「いいや、入会費がかかるだけだね。ただ、ちょっと高いよ。確か入会費が金貨3枚で、年会費は金貨1枚だったかな?」
確かに入会費が高いな。
ただ、それくらい稼ぐか、あるいは知り合いの商人から借りられるくらいの器量が必要だということだろう。
「細かい話はギルドの連中に聞きな。喜んで教えてくれるはずさ」
「ああ、わかった。ありがとう、ペロンさん」
「良いってことよ。けど、鍛冶ってことは防具も作るのかい? そうなるとウチとしては有望な得意先がなくなっちまうから困るんだけどねぇ?」
そう言って探るような視線を投げかけてくるペロンさんに、俺は笑いながら手を振った。
リッツ氏は相変わらずカウンターで妬ましげな視線を投げかけてきている。どんだけ奥さんが好きなんだよ。
「いやいや、俺は鎧とか服とかのデザインに自信がないんでね。やるとしても武器だけだよ」
これは決定事項だ。
気が向けば気分転換に作ることもあるかもしれないが、基本的には武器一筋で行こうと思っている。
「へぇ、武器職人かい。良いものが出来たら、持ってきな。納得できるモノだったらうちにも置いてあげるよ」
「お眼鏡にかなうようなモノが作れるよう頑張るよ。ありがとう」
そう言って俺はペロンさんに礼を言ってペロン防具店を出た。
マールはまた熱心に盾のコーナーを見ていた。何か気になるものがあるんだろうか。
商業ギルドは混み合っていた。
朝早い時間からご苦労なことで、せっかちな商人達が取引に訪れているらしい。
俺は、というと一人で商業ギルドの待合椅子に腰掛け、自分の順番が来るのを待っていた。
マールは壁内の書店に錬金術の入門書や、魔法修得のための初心者本を買いに行った。
壁内ならあちこちに衛兵がいるし、マール本人も既に中堅冒険者としての実力がある。心配だが、多分大丈夫だろうと思う。
しかし我ながら少々過保護すぎる気がしないでもないが……いやいや、どこにどんな脅威が潜んでいるかわからないからな。やはり心配だ。
そんなことを悶々としながら考えているうちに俺の順番が来たようだった。
担当は――。
「よう、早いな。今日も何か買い取り希望か?」
ヒューイだった。昨日の今日だが、妙に縁があるな。
「いや、商業ギルドの会員になりたくてな。鍛冶に使うための鉱石を仕入れたいんだ」
「冒険者なのに鍛冶もやるのか? 多才なんだな。冒険者カードを出してくれ、冒険者ギルドとは情報共有してるからそれで余計な書類を書かなくて済むぜ。あと、入会費は金貨3枚だ。それと、何がどれくらい欲しいんだ?」
昨日俺が大金を手にしたことを知っているヒューイは入会の受付をしながら直ぐに商談に入ってきた。
話の早いことで、なかなか助かるな。
さて、どうしたものか。何をどれくらい仕入れたら良いのか見当もつかんぞ。
「まずは肩慣らしに数を打ってみようと思うんでな、鉄をメインにやっていくつもりだ。他にオススメはあるか?」
「そうだな、やっぱ高く売れるのはミスリル製の武具だろう。他にはやっぱ黒鋼かね。オリハルコンやクリスタル製の武器はより高く売れるが、実際の所高すぎて買うようなヤツが少ないんだよな。ここだけの話、ギルドも在庫を持て余し気味だ」
ん? 今およそ鍛冶では関係なさそうな単語が出てこなかったか。
「クリスタルって、水晶だよな。水晶を武器に加工するのか? 鍛冶屋で?」
「? 普通だろ?」
「お、おう」
どうやらこの世界では常識らしい。カルチャーギャップである。熱してハンマーで叩くのか? 割れないか、普通。
それと黒鋼という単語も初めて聞いた気がする。とりあえず一通り買い付けていくか。
「鉄多め、ミスリルと黒鋼も少し、オリハルコンとクリスタルも剣を二本打てるくらいは貰っていくかな。あと、革紐とかもいるな。他の武器職人の連中が買っていく資材は他に何がある?」
「ああ、そうだな。他には……」
商業ギルド員なだけあって、ヒューイは博識だった。
そのほかにも木材や鞘の作成に使う皮革などアドバイスを受けて必要な資材を調達する。
金貨35枚分ほどの資材を買い取り、入会費の金貨3枚も支払って俺は商業ギルドを出た。
商業ギルドの会員証は冒険者カードと共用できるらしい。便利なことだ。
他に商業ギルドでは銀行としての側面も持っているらしく、お金を預けることが出来るらしい。
後は、商業ギルドの会員になれば手数料無料で素材の収集依頼を出すことも出来るそうだ。年会費金貨1枚は伊達じゃないな。
融資なんかも受けられるそうだが、今の所というか今後も必要はなさそうなので聞き流しておいた。
「屋号はどうするんだ?」
「屋号というと店の名前か…うーん、そうだな。『タイシ&マールの工房』で」
自分でそう言って思わず笑みがこぼれる。サブタイトルは異世界の勇者と家出王女、とかだろうか。
ヒューイはクスリと笑う俺には気付かなかったらしく、俺の言った通りに登録をしてくれたようだ。
「これで完了だ。今から注文の資材を出してくるが……配達は必要ないよな? 裏の倉庫までついてきてくれ」
昨日俺がストレージから大量の素材を出すのを目の当たりにしているヒューイはそう言って歩き出した。
ヒューイに指示されたとおりに資材をストレージに納め、違う場所に出して整頓する。
鑑定眼で色々見てみたが、その他にも様々な鉱石があるようだ。やたら軽い、ってか微妙に浮いてる鉱石とかあった。
夢中になって色々な鉱石や資材を移動し、鑑定しながら整理する。
資材の運び出しにかこつけて倉庫整理をさせられていることに気がついたのは一時間も経ってからだった。
「いやー、助かったわ。鉱石系の資材って重くて整理が大変だったんだよ」
「貸し一つだぞ」
「あっはっは、わかったわかった! 今度メシでも奢ってやるよ!」
さすが商人、転んでもただでは起きないというか、油断も隙もない。俺はヒューイと別れ、ホールへと向かう。
商業ギルドの待合ホールではマールが本を読んで待っていた。今読んでいる本だけでなく、結構な量の本やなんかが入ってると思しき袋を傍に置いている。
「あ、タイシさん! 色々見つけてきましたよ!」
「おう、こっちも登録と調達は終わったぞ。工房に戻ろう」
「はい! 聞いてくださいタイシさん、直ぐに魔法を使えるようになるらしい魔法の教本を見つけたんですよ!」
マールは今まで読んでいた本を閉じ、満面の笑みを浮かべる。
どうやらよほど楽しみらしい。
俺達は商業ギルドを出て、新市街から壁内へと向かい歩き出す。
「ほう、そうなのか? そんなに簡単なものなのかね」
魔法使いは貴重らしいし、そんなに簡単に使えるようならもっといっぱい魔法使いがいても良さそうなものだが。
というかそもそも、マールは魔法を使う才能があるんだろうか?
「大丈夫です。昔調べたんですが、才能はあるらしいですから。ぜんぜん使えたことありませんけど! 昔、勉強させられたことはあったんですけど、サッパリでした」
大丈夫なのか、それは。
まぁ素質はあるというのであれば、レベルも上がってることだし意外とサクサク修得するかも知れんな。
「でも大丈夫! この魔法ならきっとできます! タイシさんが手伝ってくれればすぐですよ! 魔法屋のお姉さんがそう言ってました、間違いありません!」
魔法屋、なんとも怪しげな響きだ。
魔法の本とか魔動具とか魔力付与品とか置いてるのだろうか。
「魔法屋って、どんな店だったんだ?」
「壁内の路地裏にひっそりあった魔法屋さんです。本とか見たこともないような品が沢山あって、見た目よりも広いお店でしたよ! きっと魔法でおうちの中を拡張してたんでしょう」
大丈夫かその店。後で行ったらあるはずなのになかったとか、行こうとしても場所を思い出せないとかそういう類の店じゃないだろうな。
そんな妙な心配をしながら、俺とマールは屋敷へと帰るのだった。
屋敷に帰ると、直ぐにゾンタークの元へと向かうことになった。
マールは屋敷に残って本を読んだり、錬金術の基礎の基礎を工房の実験道具で試したりするらしい。
俺はジャック氏を伴って馬車に乗り、貴族区にあるゾンタークの屋敷に移動した。
街中を馬車で移動するとは……なんとなくセレブになった気分だ。
いや、前の世界では移動するとなると自動車か、電車や地下鉄で移動するのが当たり前だったのだが。
このエリアルドの生活に慣れ始めてきているんだろうなぁ、これは。
ゾンタークの屋敷に着いた俺は屋敷の玄関で沢山のメイドさん達に迎えられた。
全員ピシっと揃って「いらっしゃいませ」である。映画かゲームの世界かよ。いや、そんな世界だった。
ジャック氏に先導され、屋敷の中を進む。
デカい。俺とマールが住んでいる屋敷もでかいが、比べ物にならない。一体何部屋あるんだ。
廊下を暫く歩いた後、重厚な木製の扉の前に辿り着く。
ジャック氏が扉をノックすると、中から「入れ」と声が聞こえてきた。
中に入ると、ゾンタークが書類と格闘していた。
傍には妙齢の美人なメイドさんが控えている。秘書も兼ねているのだろうか。
「閣下、タイシ様をお連れ致しました」
「ああ、すまんが少しそこのソファに座って待っていてくれ。すぐにキリの良い所まで終わらせる」
「はいよ」
俺は言われた通りにソファに腰掛ける。
そうするとすぐにカートを押したメイドさんが現れ、お茶を注いでくれた。
自慢じゃないが茶の味がしっかりわかるほど優れた味覚は持ち合わせていない。だが、このお茶は美味いと感じた。
ジャック氏が淹れてくれるお茶も美味いが、やはり茶葉が違うのだろうと思う。
「待たせたな」
キリの良い所まで作業を終わらせたらしいゾンタークが俺の正面のソファに座って溜息を吐く。
どうやらかなりのお疲れらしい。メイドさんが淹れたお茶にドバドバ砂糖を入れている。糖尿病になっても知らんぞ。
「今日、勇者殿にわざわざ来てもらったのは他でもない。例の件についてなんだが」
ゾンタークは一口お茶を含み、眉間に皺を寄せた。甘すぎたんだろう。言わんこっちゃない。いや、言ってないけどな。
「結論から言うと、アタリだった。各神殿に依頼し、神託で確認された。今は各国と情報の共有を行なっているところだ」
そう言うゾンタークの顔はダダ甘いお茶を飲んでいるのに苦虫を噛み潰しているような表情だった。それもそうだよな、まだ第四城壁も完成していないのに大氾濫が起きるんだから。
それに、大氾濫が起きれば国内各地でどれだけの被害が出るのか予想もつかない。
俺も勿論大氾濫を経験したことがないからわからないけども。ただ、大事件だと言うのはわかる。
「それで、だな。各国は士気高揚のため、大氾濫発生の発表と共に、各国の勇者をお披露目することになったのだ」
「……なるほど」
俺は大々的な発表を控えてくれるように言っていたからな。
そのように約束した手前、早速それを反故にしなければならない状況になったので負い目を感じているんだろう。
まがりなりにもカレンディル王国は一度俺を殺そうとしたわけだからな。その国の士気高揚のために働いてください、と言うのは流石に虫の良い話だ。
「俺としては構わない。事が事だしな、過去の遺恨は水に流して協力すべきだろうと思う」
率直にそう言った。ここで意地を張っても誰も得をしない。
それに俺もカレンディル王国に恩を売れるしな。悪い話じゃない。
「……すまんな、我が国がこんなことを請える立場ではないのは重々承知なんだが」
「仕方ないだろ、こればかりは。ただ、わかってると思うがマールや屋敷の身内に何かあったら俺は完全にカレンディル王国の敵に回るからな。それだけは心しておいてくれ」
俺の言葉にゾンタークは神妙な顔で頷いた。
俺は彼に手を差し出す。
「予定が決まったら連絡をくれ。それまでは屋敷を空けないようにしておく」
「わかった、感謝する」
ゾンタークは俺の手をがっしりと握った。
握手を交わし、お互いに一口お茶を飲む。まだもう一つ、重大な問題が残っている。
「問題は、マールだよな」
「ああ、その通りだ。その件で提案があるんだが――」
ゾンタークの話を聞き、俺の思ったことは一つだ。
それしかありませんよねー。
「何を読んでるんですか?」
「魔法書ですよ、魔法書! 相手がいればすぐに覚えられる魔法だそうです。なんでもとても古い魔法らしいんですけどね」
「そんな魔法があるんですか!? 私も覚えたいです!」
「ダメです。これはメイベルちゃんには教えません」
「えーっ!? ズルいですよ! 教えてくださいよー!」