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29歳独身は異世界で自由に生きた…かった。  作者: リュート
『押し掛け』ならぬ『押し売り』女房
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第九話~騎士団に行ったら勇者認定されました~

 昨晩は晩御飯を食べそびれたため、起き抜けの昼食はゆっくりとしっかりと取った。

 ピニャも今日は特にからかってきたりせずに粛々と給仕をしている。

 目が合うと優しげな笑みを浮かべた。

 なんだろうね、あの『うんうんわかってるよ』的な顔は。微妙にイラっとするんだが。


「さて、今日はどうするかね」


「そうですね、特にこれといってやらなきゃならないことはありませんけど」


 ちなみに、結婚についてマールに聞いてみると割と冒険者同士というのは適当であった。

 街に定住している市民や貴族ならばキチンと役所に婚姻届を提出し、所定の手続きを行なって結婚式などもするそうなのだが、冒険者の場合は精々冒険者ギルドで苗字などを登録しなおす程度だそうだ。

 じゃあそれをやるか、と言ってみると。


「そうですね、やっちゃいましょう!」


「んじゃギルドに行くか」


 登録しなおした後はあそこでもお茶や酒は飲めるし、退屈なら訓練場で身体を動かしてもいいしな。

 それに、そろそろ資金や装備、戦力も充実してきたから他の街に行くのも良い。

 折角異世界に来たんだから、観光がてら旅をするのも悪くない。

 このクロスロードも観光しきってないし、その辺の情報を集めることも出来るだろう。

 マールも特に異存ないのか素直に頷いたので、食事を終えた俺達は冒険者ギルドへと向かった。




「よう、来たか。騎士団から呼び出しがかかってるぜ」


 ギルドに着くなりウーツのおっさんがそんなことを言ってきた。

 この前のトロール退治の関連だろうか。

 おっさんに聞いてみると、呼び出されているのは俺だけらしい。

 つまりマールは連れていけない。


「なんだと思う?」


「…騎士団への勧誘、だといいですね」


 朝の幸せそうな表情とは打って変わって、マールの表情は深刻だ。

 どことなく纏う雰囲気も張り詰めている気がする。


「呼び出しっつか招待って感じの言い方だったからな。悪いようにはされないと思うぞ」


 対するウーツのおっさんは楽観的な物言いだ

 マールの態度が気になるが、相手が騎士団となればシカトするわけにも行くまい。


「何があるかわからんからマールはギルドに居てくれ。まだ先の話だが、別の街に移動する予定だから適当によさげなとこを見繕って情報収集を頼む」


「わかりました。くれぐれも気をつけてくださいね、タイシさん」


 ギルドに居れば滅多なことは起こらないだろう。

 俺はギルドを出て騎士団の詰め所へと向かう。

 確か西地区にあったはずだ。


 あ、名前の登録しなおすの忘れてる。




 王国軍の駐屯地を訪ねると、既に俺の来訪は周知されていたらしく騎士団の詰め所へと案内された。

 クロスロードはカレンディル王国に属する都市のひとつで、5年ごとに交代する太守によって治められている。

 太守はカレンディル王国の中でも力のある貴族が務め、伯爵以上の爵位を持つ貴族が任ぜられるらしい。

 ちなみにカレンディル王国における爵位は上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵だとか。

 実際にはその他にも細々としたものがあり、例えば騎士に叙勲された者も士爵位を頂き、貴族として扱われる。

 他にも一代限りの世襲できない名誉貴族なども居るらしい。例えば武勲を挙げた傭兵や冒険者が名誉士爵に任ぜられることがあるのだとか。

 これらの知識は全てマールからの受け売りである。


 で、呼ばれた俺は何をしているのかというと。


「ま、参った!」


「それまで! 勝者、タイシ殿!」


 何故か騎士達と模擬戦をしていた。

 案内された後少し待たされたので剣術と長柄武器のレベルを4に、格闘をレベル3に上げてあった。

 その他習得していた各種魔法もレベル3にしてある。

 その成果かレベル的には格上の騎士達相手に連戦連勝だ。

 そういえば魔闘術は取得可能スキルリストの中にはなかった。

 スキルリストに表記されていないスキルもあるとなると、スキル取得に関する検証はかなり難航しそうだ。

 まだポイントを残してあるので、何か有用そうな魔法スキルを取得しようと思っている。


「あれだけの魔法を操る上に剣の腕もか…」

「冒険者の中にはこういった逸材が稀に出るから誠に侮れんな」


 模擬戦を見学している騎士達がヒソヒソと話している。

 フヒヒサーセン、これチートなんです。


 次の対戦者が現れ、一礼してくる。

 俺もそれに合わせて一礼し、模擬剣を構えた。

 模擬剣と言っても刃を引いただけの鉄剣なので、まともに当たれば肉が裂けて骨が砕ける。

 真剣よりいくらかマシという程度の代物でしかない。

 多少の怪我をしてでも実戦に近い感覚を身につけるための措置なんだとか。

 怪我は魔法兵が治すらしい。


「はぁぁっ!」


 対戦者の騎士が気合の入った声を張り上げながら斬りかかってくる。

 袈裟懸けに振るわれる剣を踏み込みながら体捌きでかわし、がら空きのわき腹に背中から体当たりをかける。

 なんちゃって鉄山靠だが、格闘スキルレベルが3もあるせいか金属鎧を着た騎士を吹っ飛ばした。

 しかし吹っ飛ばされた騎士は見事なバランス感覚で体勢を立て直して再度斬りかかってくる。


「うおぉぉぉぉぉっ!」

「うらぁぁぁぁぁっ!」


 今度は剣を合わせて何合か打ち合う。

 流石に相手の騎士も剣術のレベルが3もあるだけあって剣筋が鋭く、力強い。

 だが今の俺は剣術レベル4、世界有数クラスの達人なのだ。

 力を込めて振るわれた剣を受け流し、返す刃で剣を握る篭手を打つ。

 剣を取り落とした騎士の首にピタリと刃を当てた所で審判から声が上がった。


「勝者! タイシ殿!」


 ワルツ隊長の宣言にギャラリーの騎士団員から歓声と拍手が巻き起こる。

 俺は模擬戦の相手と握手し、お互いに一礼してから模擬剣を鞘に収めた。

 対戦相手は手を痛めてしまったらしく、治療係の魔法兵の元へと向かっている。

 残念ながら今日の魔法兵は金髪ボインの魔法兵ちゃんではなく中年のおっさんだ。

 

「素晴らしい剣技だな、うちの騎士団の一員に…いや、当家の剣術指南役にならないか?」


 そう声をかけてきたのはクロスロードに駐屯する騎士団の団長、トワニング氏だ。

 子爵位を持つ正真正銘の貴族様である。


「いやいやいや、光栄ですが自由で気ままな冒険者稼業が気に入ってるんで。それに礼儀作法にも自信が無いですから、そういうのはちょっと」


「ふむ、残念だな」


 俺が両手を振って苦笑いをするとトワニング団長は本当に残念そうに唸った。

 何不自由ない暮らしは出来そうだが、宮仕えは勘弁だ。

 朝からイチャついたりとかもできなくなりそうだしな。ぐへへ。


「ええっと、それで、今日はどういうご用件だったのでしょうか?」


 案内されるなりいきなり模擬戦に放り込まれたが、まさかこれだけが理由ではないだろう。


「うむ、このワルツが見所のある冒険者がいると言っていたのでな。不躾ながら貴殿の実力をこの目で見たいと思ったのが一つ。それと、先日のトロール退治での活躍に対する褒章を授与しようというのがもう一つだ」


 後ろに控えていた執事らしき人が黒い盆のようなものを持ってくる。


「直接金銭を渡すのは制度上問題があってな。代わりといってはなんだが、これを納めてくれ」


 そう言ってトワニング団長が盆の上から一本の短剣を差し出してきた。

 俺は恭しく両手で受け取り、頭を下げる。

 下賜された短剣は革製の鞘に納まっていて、ズシリと重い。


「抜いて見ても?」


 俺の言葉にトワニング団長が頷く。

 失礼して、と一言断ってから短剣を鞘から抜き放つ。

 日光を鈍く反射する鋼の色はよく鍛えられていることが一目瞭然だ。

 切っ先は鋭く、刀身は分厚く無骨な片刃。柄頭にはよくわからない文様が彫られている。

 どっかで見たことあるな。

 ああそうだ、元の世界で流行っていた某狩猟ゲームに出てくる剥ぎ取り用ナイフだ。あれにそっくり。


「無骨ながらも美しい逸品ですね」


 鑑定眼を発動してみると、そのまんまハンターナイフと表示される。

 特に特殊な効果があるわけではないが、かなり良い品のようだ。

 鞘に収め、鞘についているベルトを使って腰の後ろに固定する。

 ストッパーがついているので勝手に抜けることがないし、収まりも良くてピッタリだ。


「気に入ってくれたようだな」


「はい、ありがとうございます」


 短剣を一本買おうかどうか迷っていたところだったから丁度良かった。

 モノも良いみたいだし渡りに船だ。


「ところで、君はまだ暫くこの街にいるのかね?」


「そうですね…今日明日というわけではありませんが、そう遠くないうちに移動すると思います。まだ行き先も決めてはいないのですが」


「ふむ、出発前に騎士団に行き先を伝えていってくれたまえ。王国内のそれなりの大きさの町であれば大体王国軍が駐屯しているからな、紹介状を書いてあげよう」


 トワニング団長の申し出に素直に礼を言う。

 紹介状を書いてもらったらどんな利益があるのかよくわからんが、善意で言ってくれているんだろうから素直に受けておこう。


「ところで、タイシ殿は魔法も得意だと聞いているのだが…」


 まだやらせる気か!?




 流石に魔法を撃ち合うのは危険すぎるので、魔法兵の訓練を一緒に受けるということになった。

 細かい理論とか知らんしどうなっても知らんぞ、俺は。


「カレンディル王国魔法兵団、クロスロード小隊へようこそ」


 トワニング団長に連れて行かれたのは騎士団の訓練場から少し歩いたところにある魔法兵団の詰め所だ。

 どうやらカレンディル王国軍という大きい組織の中に魔法兵団や騎士団といった組織が存在するらしい。

 そこに詰めていたのは先日の魔法兵ちゃんをはじめとした魔法兵団の面々だ。

 魔法兵団の人々と握手を交わしながら自己紹介をする。

 例の魔法兵ちゃんはリネットという名前らしい。


「ところで、訓練を始める前に得意属性を教えてもらって良いかな」


「得意属性?」


 聞いてきたのは先ほど騎士団の訓練場にいたのとは別の中年の魔法兵だ。

 クロスロード小隊の小隊長らしい。たしかマルクスとかいう名前だったと思う。

 鑑定眼で見てみると、彼は名誉男爵だった。


「? 自分の得意属性を知らないのかい?」


「ああ、知らない。俺は師匠に魔法を教えてもらったが、理論的なこととかそういうのはすっ飛ばしてやり方だけ教わったんだ」


「そ、そうか、ユニークな修行だったんだね」


 そう言って引き攣った笑みを浮かべながら彼は掌サイズのガラス玉のようなものを取り出した。

 今虚空から取り出したな? トレジャーボックスを使えるんだろうか。


「これを三十秒くらい握ってみてくれ、それで大体の魔力量と得意属性がわかる」


「わかった」


 手渡されたガラス球を握ってみると、十秒くらい経ったあたりからガラス球が熱くなってきた。

 光もなんか激しく明滅していて明らかにヤバそうな雰囲気がする。


「お、おい、大丈夫なのかこれ」


「お、おかしいな? 故障したかな?」


 そう話している内に光の明滅が激しくなり、球がブルブルと震え始めた。

 なにこれこわい! ってか熱いんですけど!


 バギンッ!


 という音を立ててガラス球にヒビが入り、光が収まった。

 辺りを沈黙が包む。


「こ、こわれちまったな、スマン」


「アアウン、イインダヨ」


 マルクスさんが俺の掌の上から割れたガラス玉を受け取った。

 そして後ろを振り返ってリネットちゃん達に声をかける。


「奥の倉庫から計測器を持ってきてくれ、急いで」


「は、はいっ!」


 リネットちゃん他数名が詰め所の奥に駆けていった。

 マルクスが俺の肩をガシっと掴んで離さない。


「…あの?」


「まぁまぁまぁまぁまぁ…席に座ってゆっくりと話そうじゃないか。トワニング団長も是非ご同席ください」


 なんか迫力のある笑顔で有無を言わせずテーブルへと引っ張っていかれる。

 トワニング団長と付き添いで来たワルツ隊長も厳しい表情だ。


「君、タイシ君だったね? どこの出身だい?」


「あー、田舎です。チキューってとこなんですけど、知らないと思いますよ」


「なるほど、チキューね」


 そうしているうちに先ほど出て行った魔法兵の方々が水晶玉やら石版のようなものやらを持ってきた。

 マルクスさんはそれらを机の上に広げ、水晶玉の台座から石版に金属のワイヤーのようなものを繋げていく。

 そして小さな宝石のようなものを石版に嵌めこみ、最後に何度か石版をなぞると文字の書いてある部分が光り始めた。

 水晶玉そのものも淡い光を発している。


「これは?」


「ステータスチェッカーという魔法道具だよ。人物の魔力量や能力値を数値化し、身につけているスキルを表示するものでね。生憎このような本格的なものだと運用に高価な魔晶石が必要になるから普及はしてないんだ」


 王都では最近運用コストが安い新型が開発されたらしいけどね、と言いながらマルクスは準備を終えたらしい。


「さぁ、タイシ君! 水晶玉に手を置いてくれ!」


 正直不安だが、断れる雰囲気ではない。

 大丈夫かなー、変な能力持ちってのがバレたりしないかなー。

 そんなことを考えつつ水晶玉に手を置くと、光り輝く文字が空中に出力され始める。


 【名前】タイシ=ミツバ  【年齢】19歳

 【階位】12

 【生命力】182 【魔力量】503

 【筋力】156 【耐力】161 【敏捷】141

 【器用】117 【魔力】260

 【技能】剣術4 格闘3 長柄武器4 射撃1 魔闘術2

     火魔法3 水魔法3 風魔法3 地魔法3 純粋魔法3 生活魔法

     回復魔法3 身体強化1 魔力強化1 魔力回復1 交渉2 調理1

     鑑定眼


 うおお、俺のステータスが晒されてる。

 凄いなステータスチェッカー、レベルは階位と表示されるのか。

 しかしスキルポイントは表示されないようだな。

 っていうか19歳? 俺29歳なんですけど。

 若返ったのか? 確かにメタボ腹にはさようならしてたけど。


「いやー、なんか凄いですねこれ」


 そう言って周りを見回すが、この場に居る全員が口をあんぐりと開けて固まっていた。

 あれ、どうしたんだこれ。


「階位12でこの値は…全部異常だけど、飛びぬけて魔力と魔力量が異常だ」


「剣術と長柄武器が4、だと…!?」


 マルクス氏やワルツ隊長を始め、リネットちゃん達魔法兵の方々も口々に驚愕の言葉を紡いでいる。

 あれ、これはなんかヤバい予感。


『…勇者だな(ですね)』


「いや、違いますそういうのじゃないですホント」


 即、否定する。

 やたら強い冒険者、ぐらいならまだいいが勇者とかになると義務とかしがらみとか発生しそうで嫌だ。

 魔王ぶっ殺してこいとか大した支度金もなしに放り出すつもりなんでしょう!? 某有名ゲームみたいに! 某有名ゲームみたいに!


「さっきも言いましたけど、片田舎で師匠と二人暮しだっただけですよ。両親共に勇者の血筋とかじゃなく一般家庭の出身でしたし、師匠と二人暮しだったのは両親が流行り病で死んだので引き取ってくれただけです」


「諦めたまえ。その階位でこの数値が出たとなると、誤魔化しようがない。というか出自は関係ない」


 トワニング団長が首を振る。

 ぐは、ステータスの伸びという基本的な所が違うのかよ。


「いいかい、常人は階位が一つあがるごとに各能力値が1~3くらいしか伸びないんだ。初期値はある程度資質によって変動するとは言えこの数値は明らかに異常だよ、勇者以外にはありえない。特に魔力の値がズバ抜けているね」


 マルクス氏が追撃してくる。

 くっ、言い訳が思いつかない。


「あー…降参します。勇者ってことになると、どうなりますかね」


「まず、いくつかの義務が発生する。一つは滞在場所の報告義務だ。どこに居るのか滞在国の国軍か、冒険者ギルドに報告しなければならない。そしてもう一つが国からの出頭要請に応じる義務だ。勇者は滞在国からの出頭要請があった場合、その出頭要請に従う義務がある」


 トワニング団長が答えてくれた。

 一つ目の義務はともかく、二つ目の義務は面倒だな。

 しかも依頼の途中とかだったらどうするんだ? 放り出せというつもりだろうか。


「逆に国から受けられる恩恵もある。一つは国家間の移動が無条件で容認される通行手形が発行される。関所の通過や街の出入りに関しては基本的にフリーパスになるから、旅は楽になるだろうな。他には二つ目の義務に関する項目だが国からの出頭があった場合、その時点で勇者が関わっていたあらゆる案件に対して滞在国からの全力のサポートが受けられる。例えば冒険者として活動していた場合、依頼を放り出すような真似はしなくて済むというわけだ。滞在国が全てをその責任において引き継ぐことになる」


 なるほど、思ったよりも制限は少ないな。


「他にも色々あるが、大きくはその辺りだな。国としては勇者の持つ大きな力を借りたい、その対価は十分に用意するということだ。出頭を求められるのは、大概騎士団などの国の戦力で対処することが難しい魔物の退治に関してだろう」


「…国という垣根を越えた対魔物限定の共有戦力として運用されるってことか」


 俺の言葉にトワニング団長はピクリと片眉を上げた。


「あまり深く考えないようにします。俺としても国家を相手に喧嘩なんてできることならしたくないので」


 元の世界でもそういう話は見たことがある。

 勇者の末路、ってやつだ。


「賢明だな。後日、正式に勇者認定を受けてもらうため王都に赴いてもらうことになるだろう」


 そう言ってトワニング団長は席を立ち、ワルツ隊長と一緒に退出していった。

 後には魔法兵団の面々が残される。


「君はカレンディル王国では五十数年ぶりの勇者だからね。大変だろうが、頑張ってくれ」


 マルクス氏は労うように方をポンポンと叩いてくる。

 折角プロの魔法使いが居るんだから、色々と聞いてみるとするか。

 そうだな、差し当たっては野営に便利な魔法を聞くか。


「それはそれとして、魔法について教えてもらっても良いですか? 師匠には四大属性と純粋魔法を習ったんですが、それ以外の魔法は名前くらいしか知らなくて…」


 どうにもキナ臭い感じがする。

 情報は武器だ。

 出来る限り集めよう。


 ~勇者~

 階位上昇時の肉体・魔力成長力が平均して常人の二倍以上、最大で六倍以上の数十万人から百万人に一人と言われるヒト種の突然変異体。

 各国が五百年前に結んだ条約により特定の国家に所属せず、ヒト種に対する脅威となる存在(ドラゴンなどの大型モンスター)に対する世界の共通戦力とされている。

 経験を積んだ勇者は一個大隊の騎士で倒すようなドラゴンを単体で討伐すると言われる。

 条約に批准して動く勇者は各国によって保護され、特権を付与される。


 過去に世界制服を企んだと言われる魔王も、実は勇者であったのではないかと言われている。

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[一言] ホントに好きだよね勇者の大安売り(笑)
2021/06/19 08:19 退会済み
管理
[気になる点] 後書きの世界制服はネタですか? 世界征服ですよね
[気になる点] マールが具体的に何に気を付けないといけないのか注意してない事に違和感を感じる。それと、宿に出頭要請が来るのではなく、ギルドに行っているのも引っかかった。
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