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これは小説というよりも詩に近い作品です。夜の街で垣間見た事を詩的に表現してみました。
短い話の集会所
作:藤田文人



眠らぬ街の側面


 

 鳴り止まぬサイレン。逃げ出す靴音が響き、人混みに見失う姿。
 ざわめく街はまるで舞踏会の様に、そこに在るすべてを欲望の坩堝に飲み込んでいく。

 ゆらめく心と気だるい体。空っぽの魂を満たせるモノを求めてさまよう。
 時は緩やかに流れ、雑踏に立ち尽くすだけ。
 何もかもが空白の中に置き去りにした様だ。

 眠らぬ街の眠らない欲望。人の性に巧みに入り込む。
 落ちゆく者を糧として、止めどなく貪欲に惰性を貪る。
 その真実は誰も気づかず、それに近づく者さえ無情に飲み込む。
 そして、まるで一つの生き物の様に変貌を遂げる。

 近し所より遠き所。遠く見えて目の前に立ちふさがる。
 街はざわめき、心を麻痺させ闇に染める。
 あらゆる想いを内包し、慈愛と非情を用いて弱き魂を捉える。

 魂の淵より溢れる情熱だけが、こぼれる悲嘆を覆い隠す。
 そこに喜びは無い。虚しさを閉じ込め、心の奥底に溜めるだけ。
 自らの意志無き処に安らぎはない。
 掴み取る術があるなら遠目に眺めればいい。
 深みに陥って抜け出せなくなる愚を犯す必要は無い。

 夜の街はきらびやかな姿で惑わし、人の魔性を擡げさせる。
 短き時の狭間に悦楽を与え、心を代償とする。
 醜い性と偽りの情。見え隠れする一瞬が、人を引きつけてならないのかもしれない。


 ――夜が明け陽が昇る頃、束の間の休息につき、人群れる頃蠢きはじめる……。

















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