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第四話 未知の世界

黒沢明人は、暗い森の中で目を覚ました。

ここはどこだ?黒沢明人は周囲を見渡した。どちらを向いても鬱蒼とした森しか見えない。

何があった?

そしてすぐに思い出した。そう、ダナ・ハーグマンの自爆に巻き込まれたのだ。

そうか、あの能力は、転送だったのか…、ダナは「一緒に死にましょ」と言っていた。だが俺はまだ生きているようだ。恐らく彼女も自分の能力の本質を理解していなかった、と考えるべきだろう。地球政府ならこんなミスは無かったに違いない。コントロールすれば宇宙空間に飛ばすことも、最も絶望的なら恒星へ飛ばせば良い。

しかし、と黒沢明人は周囲を見渡した。地下の施設を除いて火星に森は無い。しかもここまでのものは無い。となるとここは火星では無いのだろう。それに空気は地球と変わりない。空がとても澄んでいる。まさか木々の間から見える綺麗な空が偽物だとも思えない。

黒沢明人は、2038衛星とのコンタクトを取ってみた。2038は生命のある、ありとあらゆる星に衛星等を放っている。

2038衛星とのコンタクトがとれた。正直ほっとした。

黒沢明人は、2038衛星に対して心の中で質問を投げた。

「ここはどこだ?」

すぐさま返事が帰ってくる。

『貴方のいた世界とは違う、平行世界です』

なんだって?

「つまり、…どういうことなんだ?」

『今まで貴方のいた世界とは根本的違う世界です。そして、貴方の思いを汲み取ると、今のあなたに元の世界に戻る手段はありません。今の状況では、ですが』

黒沢明人は唸った。

「何だって?、違う世界?戻れない?助けも求められないということか?」

『その通りです』

なんてこった…参ったな…納得できないが良くも悪くもない結果だとも言えよう…しかし、何も異世界で無くても。ん、並行世界だったか?いや、まあ、いい。

はっきり言って洒落にならないが、取り敢えず生きている。幸運だと言えよう。しかし、どうすれば良い?黒沢明人は悩んだ。まだだ、まだ諦めるな、ま方法があるはずだ。来ることができたのだから戻ることもできるかも知れない。そうだあの女だ。だが、そこでふと黒沢明人は疑問に思った。

「…ん?今、ふと思ったのだが、2038は、並行世界にまで衛星を置いてあるのか?」

『相互リンクはできませんが、全ての並行世界に存在するハズです』

「全くお前たちの創造主は神じみてあるな…まあ、いい。となると要はダナ・ハーグマンを探せば良いのだな?」

『残念ながら、この時間軸には該当する彼女はいません。20年前にウイルス性の病気にかかり他界しています。しかし、彼女の娘が1人います』

異世界だからか環境からか。未知のウイルスに感染したのだろう。しかし20年前とは?同じ時間に飛んだはずなんだが…。まあいい、もしかしたらその娘にも同じ能力があるかもしれない。

「その娘はどこに住んでいる?」

『ここから228kmはなれた、ヴィーダ王国の地方自治都市ウェルデンです。現在地はヴィーダ王国の東、クラエン領です』

「地図は?」

『並行世界からなのかインターフェイスの違いにより、転送できないようです。かなりの制限があります。改善するまで時間を下さい。簡易情報としては西の方角です』

「そうか、なるほど。自力でなんとかするか。取り敢えず一番近い人のいるところの距離と方角は解かるか?」

『村があります。北へ3kmといったところです。現在ヴィーダ王国は東の隣国ウェルマール帝国と交戦状態にあり、村はウェルマール帝国の非正規軍に襲われています』

「そうか、解った」

黒沢明人は、地面を蹴って森の上空にジャンプした。そして一気に北へと加速した。

村はすぐに視界に入った。手前で地面に降りる。

歩いて村の入口に近づくと、槍を持って甲冑を着た兵士らしき者の死体13体が転がっていた。

村に入ると老人の遺体がそこら中に転がっており、そこら中から女性の助けを求める声が聴こえてきた。どうやら襲われているらしい。

村の中央に行くと、隣接する一軒家から3人の男がでてきた。

「おいおい、まだ男がいるじゃないか、んあ?、なんだその格好は?」

黒沢明人は、都市迷彩の装備をしていた。この世界では異様に映るかも知れない。

それにしても3人の男達の顔には不快この上ないゲスな笑顔が浮かんでいた。

持っている武器は、1人が戦斧と残り2人が1m位の剣である。そして鎧はてんでバラバラだった。

「ほお、言葉が通じるのか、これが並行世界というものか…」黒沢明人は納得するように頷いた。

「おい、何言ってやがる」

男たちは、3方向から黒沢明人を囲んでいた。

「へへ、悪いな。男は皆殺しにしなきゃならんでな」

戦斧の男はそういうと、優に30kgはする鉄製と思われる戦斧を振り上げ黒沢明人へ振り落とした。

黒沢明人は、それをなんでもないように右手の人差し指と親指で摘むように受け止めた。余りにも非常識な話である。

男たちは目を見開いた。

恐怖に突き動かされたもう一人の男が剣を抜刀し、叫びながら突きをくりだしてきた。がこれも左手の指で受け止められた。

引こうにも押そうにもぴくりとも動かない。

黒沢明人は、有り得ない光景に、硬直しているもう一人の男を挑発した。

「どうした。両手がふさがっているのだぞ?今こそ攻撃するチャンスは無いだろう?」

だが男は動けなかった。素直に黒沢明人の言葉を受け止めることができなかったのだ。

「そうか、では死んでもらう」

黒沢明人はそういうと、電撃の能力を開放した。

一瞬で3人の男達は、黒こげになった。即死である。

黒沢明人は、2038の協力を得て、村全体をスキャンした。ウェルマール帝国の非正規軍の兵士と思われる反応は、全員で残り31人。

31人全てを照準に合わせた黒沢明人は、2038の高出力のレーザーをパルス状に一斉に放った。

ウェルマール帝国の兵士は、全員一瞬で脳に穴が開き即死した。


やがて半裸の女性達が広間に現れ始めた。その中のひとり、ウェルマール帝国の兵士の陵辱を免れた娘が、黒沢明人に近づいて来た。

「奇妙な服を着た貴方、ひょっとして貴方が私たちを助けてくれたのですか?」

黒沢明人は、ちょっと助けるには遅かったかなと思いつつ。

「なんてことは無い」

と答えた。

「とんでも無いです。見ていました。凄いです!こんな事を聞くのは失礼かも知れませんが、貴方は人間ですか?」

黒沢明人はちょっと笑って答えた。

「さあな元から人間だったのか、後で人間を止めたのか、自分にも解らん」

「見た目は変わった格好をしていますが人間にしか見えませんね」

黒沢明人は、ふと疑問を感じた。

「それは重要なことなのか?」

「え?」

「俺はこの世界に来て間もないのでね」

「この世界?…この国ということですか?どこの国から訪れたのか解らないのですが、殆どの国では、亜人種と能力者は一般に奴隷として売られていますよ。それは兎も角、貴方が私たちの命の恩人には変わりは無いのも事実です。私の父は、村長です。もっとも父は殺されましたが。父に代わって御礼をしたいのです。多くの女性を助けてもらいました」

「なるほど解った。そうだな、ただ、まだ村の周囲にウェルマール帝国の兵士が残っているかも知れない。まずはそれを片付ける」

「あ、ありがとうございます」

娘は、心の底から感謝していた。それは雰囲気でわかる。

「俺の名前は、黒沢明人。明人と呼んでくれ」

「私の名前は、ディート・ウェルヘンです。ディーと呼んで下さい」

「よろしくディー。では索敵に入る」

「はい、宜しくお願いします…索敵?」

この世界の一般人には、初めて聞いた言葉だったかも知れない。


ようやく、SFからファンタジーへ。

SFは書いてて大変なんですよね。

ファンタジーが楽だと良いのですが、よくよく考えたらファンタジーも書いたことが無い…。

大丈夫かなぁなんてね!

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