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第二二話 セリヨン・ハーネストの過去

ああ、これでこの小説、二次小説確定。著作権侵害の領域へと。

今さら止められませんしね。それをするとお前もか!

って感じになってしまいますよね。

もう開き直りました。ただ、改悪になっていないか、がとても不安です。

ああ、もう色々悩み過ぎて、もういいや。

黒沢明人は、翌朝、食事も摂らずに自治都市役所へ出かけた。

見張りがいるが顔パスで中に入ることができた。もっとも黒沢明人を止められる障害など無いに等しいが…。

「しかし、ボロいな…」

黒沢明人は、一番奥へと向い、両開きの扉の両端にリザードマンの護衛二人のついた執務室の前に訪れ、代表セイフ・ハーグマンはいるか?と訪ねた。

「少々お待ちください」

そう言うと、一人が扉を開けて中に入り、何事かを語っている声が聞こえた。

「どうぞ」

と代表らしき声が聞こえてきたので黒沢明人は遠慮なく部屋へと入った。

すると昨日は無かった筈の机と、その上に大量の鱗らしきものが置かれていた。

「もう取ってきたのか…手際が良いというか、…早いな…」

「ええ、夜が開ける前に出かけたので、無尽蔵にあったとのことです。ですよね?リリア」

「はい、積もっていました。とても運びきれません」

代表の後に軽い鎧をまとった女性が答えた。彼女がリリアなのだろう。

昨日はいなかったことを考えると、昨日、鱗を取りに行っていた者の一人なのだろうか。

「で、昨日はドラゴンを怒らせた訳だ」

と俺が言うと、顔を真っ赤にして「それは…」と言ったまま俯いた。硬く握った拳が震えている。

まあ、相手が悪いしな、と黒沢明人はそれ以上追求しなかった。

それにしても代表の嬉しそうな顔を見ると、余程必要な物だったのだろう。

「で、これはどう捌くつもりだ」

「これと言って、当てが無いのですが…、そうですね…どうしましょう?」

「セリヨン・ハーネストがいるだろう」

黒沢明人がそう言うと、リリアが叫んだ。

「あいつは悪徳商人だぞ!薬を他の町の2倍の値で売っている!」

「他の商人は、薬を売っていないのか?」

「ああ、売っていない。だから2倍の値で売っているのだろう!」

なるほど、こいつらは知らないのか…、黒沢明人は少し悩み、切り出してみた。

「セリヨンをここへ呼べ」

「だからあいつは悪徳商人だと!」

そう言うリリアを代表がたしなめた。

「まあまあ、アキトさんの言う事を聞きましょう」


セリヨンは、突然呼ばれてどうしたものか、という顔で佇んでいた。

執務室の中は冷たい空気が流れ込んだのか、とも言える異様な雰囲気になっていた。特にそのような状態を創り上げているのはリリアだった。代表も表情が硬い。因みにセリヨンの到着を待つ間、リリアと自己紹介したのだが、リリアの名は、リリア・クラフトという名らしい。

黒沢明人は、切り出した。

「鱗は何枚ある?」

リリアが答えた、「302枚です」。

「セリヨン、この鱗は赤いドラゴンの鱗だ。俺が保証しよう。それで全部売るといくらになる?」

黒沢明人がセリヨン訪ねた。

「そうですね。都市によってばらつきがありますが、税金を払ってもイリート金貨2万5千枚といったところでしょうか」

代表とリリアは息を飲んだ。気の遠くなる値段だ。

代表が質問した。

「ま、前金はいくらになりますか?」

「…そうですね。イリート金貨500枚です」

「ちょっと待て!金貨2万5千だぞ!その前金がたったの金貨500枚とはどういうことか!やっぱりお前は悪徳商人だ!」

リリアが叫んだ。

だが、黒沢明人は落ち着いて、語りはじめた。


「セリヨン、俺の記憶が正しければ、自治都市ウェルデン行きに対してお前はこう言っていたな。

『実のところ、赤字だ。行き掛けの駄賃にこっそり村人を誘拐して奴隷として売る商人が多い。村の代表は実態を把握しているのか、どうしようもないのか、いずれにしろ未来は暗い。なんとかしなければならない。とは言え私は商人。私にできることは限られている』と…」

「まあ、…全くその通りですな」

「ちょっと待て!倍の値で売ってなんで赤字なんだ!」

リリアが叫んだ。

「それは、他の町では補助が出ることと、まあ、輸送費ですな。傭兵を大量に雇わないとこの町には来れないですから」

セリヨンはさも当然の事を告げるように穏やかに説明した。

黒沢明人が、それを受け継いだ。

「つまり、そういうことだ。そういえば俺が、何故赤字なのにわざわざ行くんだ、と聞いた時、話を逸したな、何故だ?」

リリアも代表も頷いた。尤もだと。

「…それは。もう20年も前になります。ようやく一端の商人に成り立ての頃、妻が自分の命と引換に子を産んだのです。余りにも辛く後を追おうと思いました。しかし、我が子が余りにも愛しく、亡くなった妻の分まで可愛がりました。…しかし、あの子が10歳に成った時に、能力者になってしまったのです。両手の甲に美しい宝石の様な石が浮かび上がりました。私は焦りました。そしてこの都市の存在を噂で聞きました。いろいろあって何とかこの都市に着き、一軒屋を購入し、一緒に住み始めたのですが、その2年後のある日、娘は病気にかかりました。しかし、薬が無かったのです。結局娘は命を落としました」

セリヨンは、最後は涙を流しながら語った。

「それで、この都市に赤字を度外視で薬を売りに来ているのか…」

リリアは沈痛な面持ちで語った。

黒沢明人は言った。

「金貨500枚は、全財産といったところだろ?」

「はい、その通りです」

セリヨンは涙を拭きながら頷いた。

代表は神妙な面持ちで、

「では、セリヨン。貴方におまかせしてよろしいでしょうか?」

「はい、是非喜んで」

そこで黒沢明人が注文を出した。

「値崩れを起こしたくない。様々な流通ルートを活用できないか?」

「はい、無論そのつもりです。一ヶ月後には全て換金できるかと」

ようやく落着いた代表が、「私からも宜しくお願いします」と深く頭を下げた。リリアもその横で頭を深く下げていた。

セリヨンは、「無論、ご希望に答えるよう努力します」と頭を下げた。

「セリヨン、すまなかった。悪徳商人なんて言って…私は自分が恥ずかしい」

リリアは、頭を下げながら懺悔を口にした。

「まあ、私も理由を告げていませんでしたし、仕方無いですよ。山賊は知っていましたが」

「山賊も知っていた?」

「ええ、山賊の首領も能力者なんですよ」

「そうか…私たちは知らぬ間に恩恵を受けていたということか…」

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