第十五話 城塞都市ウェルマン
ディートが途中からディードに変わっていた(汗)ロードス島戦記だよw
町の名前を間違えたり、いやはや困ったもんです(笑)
今回ちょっと短めだけど勘弁して下さいXD
黒沢明人一行が城塞都市ウェルマンについたのは城塞都市ウィニックを出て3日目の夕頃だった。
一行の車列が跳ね橋に差し掛かると、温和そうな顔をした警備兵が二人立っていた。
「良かったですね。もう跳ね橋を上げようと思っていたところでね」
警備兵の一人が言った。
「私の名は、趣味で警備兵をしているガルガン・グリューシュ。いつもはもっぱら事務所にいるのだが、
書類に判子を押すだけの仕事はもうウンザリでね。いや、それは兎も角としてそちらの竜神人は、お仲間で?」
「ああ、そうだ。いつも役に立って貰っている」
「旦那の強さとは比べものにならないすがね」
「ほお、竜神人を就かせている上に、主人の貴方の方が強いとは、いやはや恐れいる。
さあ、入って下さい。この町は比較的人間外に慣れている者が多いのであまり問題は無いでしょう。
何かあったら私の名前を出せば、安心ってね」
黒沢明人は、その会話に疑問を感じた。
「何故、そこまでしてもらえるのか、裏があるとも思えないしな。教えて頂けないか?」
ガルガンは頷いてから答えた。
「まあ、疑問に思うのも尤もですな。私はエルフの娘の里親でね。人と亜人間が共生しているのをみると、
いつでも助けてあげたくなる」
ガルガンの嬉しそうな顔は、同人を見つけたからだろう。親心程同じでは無いだろうが、まあ合点がいった。
「俺は黒沢明人。明人と呼ばれている」
「アキト殿、では入城して下さい。後の馬車も仲間ですか?」
「ああ、あちらは商人だ。主に薬を扱っているらしい」
「そうですか、では後の方も一緒にどうぞ」
黒沢明人達一行が入ったところで、ゆっくりと跳ね橋が上がり、代わって落し格子が降りてきた。
エルフの娘の里親と言っていたが、この町には差別が無いのか、とキョロキョロ辺りを見渡してみたが、人間以外は往なさそうだった。
「どうしたんですか?アキト様」
挙動不審な黒沢明人にリーナ・サーリエントが話しかけた。
黒沢明人は、
「いや、ちょっと気になることがあってな。
まあ、それよりも取り敢えず宿を探そう」
と中央広場へ向け馬車を走らせた、といっても手綱を握っているのはブロンだが。
この町でも料理別に一階が居酒屋で二階が宿になっていた。
明人は、セリヨン・ハーネストに意見を伺った。
「私はこの国に疎いので、どの宿が良いのか察し兼ねるのだが、良い店はないものだろうか?」
するとセリヨンは、以前言った黒沢明人と同じく、
「リーナちゃんが痩せすぎなので肉料理が良いんじゃないでしょうか」
と答えた。
ということで、今日は焼き鳥にすることにした。
旅の間中、食事は味の薄いスープに乾燥肉だったが、乾燥肉は味が無い上に異常に硬かった。結局黒沢明人は、ほとんど食事をしていない。
一度、リーナとディート・ウェルヘンが「アキト様、このまま何も食べないと力が出ないを通り越して、死んじゃいますよ」と心配気に話しかけたのだが、黒沢明人は平然と言ってのけた。
「俺は何も食べなくても平気だ。食べるのは娯楽としてだが、味が薄くてマズイ料理ばかりだな」
と思いつつ、今度こそ味の濃い美味しい料理に期待をし、肩を落とした。結局、黒沢明人の料理は、ブロン・バーリエンスが平らげた。
リーナとディートは、黒沢明人がどんな食生活を営んでいたのか、非常に興味深く思ったが、実物を食べなければどんな話を聞いても何とも言えないな、と諦めた。
「しかし旦那、食べる食べないは別としても、娯楽の為だけに食事をするなんてまるで貴族みたいでやすな」
リーナとディートが見事に揃って叫んだ。
「「それよ!」」
「そういえば、アキト様は士官なんですよね?」とディート。
「しかんって何?仕事?階級?」とリーナ。
黒沢明人は、この世界の士官の仕事は知らないが、まああまり変わらないだろうと思い簡素に答えた。
「部下に指示を与える職業だ」
ディートが首を傾げた。
「つまり、管理職?」
「ああ、そうだ。軍隊のだがな」
リーナとディートの悲鳴が上がった。歓喜の悲鳴だ。フェイ・アルディオーネはただ感心しているようだった。
「しかし旦那、借りにも管理職にありながら、傲慢さというか、人を見下すというか、そういうのが無いでやすね」
黒沢明人は、この世界はどうなっているんだと思いつつ麦芽酒を飲み干し、答えた。
「俺の国では、士官は部下の命を落とさないように作戦を実行する義務がある。命は何よりも尊いものだ。
が、現実には戦争が絶えないのだがな」
「そうでやすか、命は何よりも尊い…この国も含めた周辺国家にも真似をして貰いたいでやすなぁ」
「それはそうと、ブロン、この町に入って亜人間を見たか?」
「みてないでやすね。寛容な町だと思っていたのでやすが…」
「そうだな…」
解らないことは知ってそうな奴に聞くのが良い。
黒沢明人は女将を呼んだ。
「麦芽酒のお代わりと質問がある」
「はい麦芽酒ね。で質問ってなにかしら?」
「この町は、亜人間とかは少ないのか?」
「自治都市ウェルデンには到底及びませんが、少なからずいますよ」
「それにしては一向に見ないが…」
「お客さん、夕方から来なすったのかしら?」
「ああ、そうだが。関係あるのか?」
「いえね、暗くなるとウィニックの奴隷商人が亜人間を誘拐するのですよ。
ガルガンさんがいる時は良いんですけどねぇ。他の警備兵は賄賂でころっと態度を変えるのよ。
私の知り合いも連れていかれたわ」
そういうと女将は肩を下ろした。
黒沢明人一行は、翌朝早く自治都市ウェルデンへ向けて馬車に乗った。
城塞都市ウェルマンは、入る時はチェックはなかったが、出る時は荷物検査された。
リーナ、フェイは、誘拐したのかと執拗に探りを入れられたが、本人達のいでたちや言から問題無いとされ、ようやく城塞都市ウェルマンを後にすることができた。
本来ならここでガルガンの娘を明人が助けないといけないのだけど、魔界の雷帝とちょっと変えます(って今までも全然違うではないか、と言われそうだw)