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どりーむパークのパンダさんはたいへんお疲れのようです。 作者:ちはや れいめい(千岩 黎明)
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ピンク対決、ウサギとクマ *

 日本のどこかにある、3階建てのショッピングセンター、その1階「おもちゃのもちや」に住まうのがおれっちことウサギだ。
 基本、新作おもちゃの宣伝と、割引券つきチラシを配る仕事をしている。
 桃色の体はふさふさの毛皮、常に含み笑いしたようなW形の口が特徴的である。
 人呼んで――。

「あー! うさたんだー。プリ○ュアの服かぁわいいー。あくしゅしてー」
「あたしも。うさちゃん、ぎゅー!」

 姉妹なのか小さな女の子2人が抱きついてきた。
 プリ○ュアは戦隊ものと同じ時間帯に放送される魔法少女アニメだ。
 なりきりこすちゅーむセットというのを先週売り出したばかりだから、宣伝としておれっちがアニメに出てくる魔法使いの衣装を着ている。

「あらー。ウサギさん大人気ねー」

 店主サトが送られてきた新商品の段ボールを開けながら笑う。
 パンダと同じく、おれっちは喋ってはいけないという制約がかかっている。
 紙にでかでか書いて訴えたい。
 着ぐるみなれど、おれっちの心はおとこだ。うさちゃんでもうさたんでもない。

 サトはわかっていておれっちに少女こすちゅーむを着せているんじゃなかろうか。
 同じ日に売り出した2人1組の戦士の変身ベルト(今回はライバル戦士版)をつけさせて欲しいもんだ。
 2階のどりーむパークに住んでいるパンダは羨ましそうな目で見てくるが、選べないくらいなら裸族の方がましだと知った方がいい。

 これで日給がオレンジジュース(200mlパック)3本は鬼だ。
 キャロットジュースはオレンジより割高だから駄目と買ってくれない。
 サトはにこりと微笑みながら、新たなチラシをおれっちに手渡した。ヌイ○ルーミーさんと写真を撮ろう! と大きく印字されている。

「明日から3日間、どりーむパークの景品とうちの商品の宣伝で、ヌイ○ルーミーさんが来るの。ウサギさんは先輩なんだから、わからないことがあったら教えてあげてね」
(ぬぬ!)

 ヌイ○ルーミー。桃色の体を持つ、獰猛なクマ型着ぐるみだ。
 今どりーむパークのクレーンに入っているクマのぬいぐるみと言えば、ヌイ○ルーミーとアライグマの2つだ。
 もちやにもヌイ○ルーミーのグッズが売り出されている。

(まさかこの店にキャラ着ぐるみが来るとは……)

 固有名を持つ着ぐるみはキャラ着ぐるみと呼ばれる。
 そんなものが現れたら、市販量産型ウサギであるおれっちが霞んでしまうではないか。

(なんとか対策を練らなければ!!)



 そして次の日、もちやの人気を独り占めしているのは、予想に違わずヌイ○ルーミーだった。
 とんがった爪に口許から流れる赤いもの。
 素振りして、今にもその爪で誰か切り裂きそうだ。

(割引券つきチラシだぞ。しかも風船についてる。みんな、これ好きだろ)

 普段風船にくっついたチラシごと喜んで取りに来る子どもたちはヌイ○ルーミーの虜となっている。
 毎日言われていたうさたんかわいいー! の一言が今日は一切聞こえない。
 代わりに聞こえるのはヌイ○ルーミーかわいいー! だ。

(ふ、風船でもダメなのか。まけてたまるか!)

 急いでバックヤードに戻り、今日新発売の戦士のベルトを装着し、ヌイ○ルーミーのもとへ行き仁王立ちする。
 もちやの人気者の座を掠め取られるわけにはいかない。
 量産型にもプライドくらいはある。

(さて、戦おうじゃないか、ヌイ○ルーミーよ)

挿絵(By みてみん)

 ヌイ○ルーミーの前でベルトのスイッチを入れ、戦闘ポーズを取る。ヌイ○ルーミーは子どもたちの間を抜けておれっちの前に出てきた。
 尖った爪のある桃色の片腕を大きく上げる。

(まさか仲良し挨拶の代表、はいたっちをする気か)

 さすが名前を与えられたキャラ着ぐるみ。負けたくなくて戦いを挑んだ量産型とは心の広さが違う。
 挨拶に応えようと手を掲げると、ヌイ○ルーミーが襲いかかってきた。
 何度も腕を上下運動しておれっちの頭を叩く。

(ぬあ! なぜだ!)

 忘れていたが、量産型のパンダとおれっちは喋ってはいけない制約があるが、ヌイ○ルーミーのようなキャラ着ぐるみには固有に与えられたスキルがある。
 獰猛なクマという設定のもと生まれたヌイ○ルーミーの固有スキルは、味方なら攻撃してオーケー(※お客様は駄目だよ)だった。
 おれっちは頭を抱えて爪を避け、次なる作戦を考えながら逃げ出すしかないのであった。
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