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どりーむパークのパンダさんはたいへんお疲れのようです。 作者:ちはや れいめい(千岩 黎明)
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ウサギ逃走中

 おれっちは怒っていた。
 なにが特別いやだったというのはない。
 降り積もった怒りが噴出したと言うのが一番近い。
 だから抗議の意味を込めて書き置きを残し、家出を決行した。

「あー。うさぎだー! ねえ見て、まま。プリ○ュアのふくきたうさぎがいるよ!」
「あら本当。うさぎちゃんかわいいわねえ」

 ショッピングセンター内を歩く母子がおれっちを見て手を振る。条件反射で手を振り返す。
 おれっちの心は漢。見た目がぷりちーなうさぎだから、だれもが女の子だろうと憶測してかわいい服を着せようとする。
 パンダに話を聞いてもらえば少しは気が晴れるかと、どりーむパークに足を運んだ。
 おれっちは視界がせまい着ぐるみ、行けるアテなんてたかがしれている。
 小さな視界のなかに、太鼓のげーむをみてとびはねているこどもがいる。
 デモ画面ではんぶんこ戦士のテーマソングが流れ、それにあわせてリズムをとっているようだ。
 ちらっともちやのことが脳裏をかすめる。

(いや、はやまるな。サトが謝るまでかえってやらん。女物の服ばかり着せるあいつがわるい)

 頭を振ってどりーむパークの事務所に行くと、テンチョーが腕組みをして唸っていた。事務机でパソコンが煌々と光を発している。えんたーぼたんを押してからおれっちに気づく。

「ウサギさんいいところに。パンダくんを見てないか。今朝から休憩室にこの手紙を残して姿を消してしまったんだ」

 丸っこい字で書かれた手紙は意味不明だった。

“あんまん……たべたかったです”

 いつもあんまんを食べているのにここ10日ほど辛そーなもんばかりだった。
 食の好みが変わったのかと思っていた。

「うーん。そんなにあんまんが好きだったのか」

 たぶん微妙に間違っている。
 テンチョーは考えにふけりながら、しゃこしゃこプリンターから出てくる紙を整え、かごに詰めている。

(いじわるしすぎでいじけたんじゃないか)

 おれっちは着ぐるみ。言葉を発してつっこみはいれられない。

「ところでウサギさんはどうしてここに。もちやの配達ってわけじゃないよな」
(配達じゃねえ。家出だ)

 首を振って否定する。
 テンチョーは少しだけ考え、ざっと見ただけで300枚はありそうなビラがつまったかごをおれっちの手に持たせた。

「じゃあさ、手が空いてるならちょっとだけ手伝ってよ。このビラ、十二時までに全部配って。そのあと音ゲー全台宣伝プレイ。それからプリクラコーナーの掃除、あと……」
(おいおいまてえい。ちょっと手伝っての量を遙かに超えているぞ)

 さらっと「下の売店でお弁当買ってきて」みたいなノリで言われたが、なんだその仕事量は。
 手をぶんぶん振り回してそんなにはできないと訴える。

「え。無理? パンダくんは毎日こなしてるぞ」

 こともなげに言われて、どうつっこめばいいか解らない。
 もしかしてパンダが家出したのはあんまんのことだけでなく、酷使されてるからじゃないか。
 パンダがいないとだれかが代わりにやらなきゃならない。
 しぶしぶかごを持ってふろあにでる。

(そういや、おれっちの仕事は誰がかわりにやっているんだ)

 もちやはサトとバイトの学生、パートの主婦、おれっちのメンバーしかいない。
 今日はサトしか出勤していないはずだ。
 困っているだろうか。ちょっとだけ思うがすぐ帰るのも負けたみたいで嫌だ。

(それより、ビラ配りくらいはしないと)

 気分を入れ替えビラ配りする。

“今週末3階の本屋さんが新規オープンするよ。イベントあります”

 カラフルな文字でそう印刷されている。
 めだるコーナーから出てくる50代くらいの夫婦にビラを渡すと、あたりをみまわして聞いてきた。

「今日はパンダくんじゃないのね。もしかして風邪でもひいたの?」
「いつもならパンダくんがいるから、別の子がいると妙な感じだな」

 のほほんとしているパンダでも、案外どりーむパークに定着していたらしい。
 大丈夫、すぐ帰ってくる。という意味を込めてじぇすちゃーで伝える。
 あいつはのんびりやでとぼけたところがあるから、迷子になって泣いているかもしれない。
 ビラ配りがおわったら、パンダを探しに行こう。
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