「・・・・色っていうのは、この世界―――命と対になる異世界、源の、国が運営するような――――消防とか警察とか――――そういう仕事をすべてまかされた組織なの」
「へ〜〜〜」
「 で、私は色の情報部の人間。聖女ちゃんは、色の灰部隊長 」
「灰?」
「 ヒトの遺伝子実験で生まれたヒト×動物な生き物のことよ。聖女ちゃんは世界で始めての灰同士の子供 」
「――――――色って、そんな感じのヒトばかりなんですか?」
「う〜ん・・・・・少なくとも、【ヒト】とよばれる生き物は居ないかな 」
蝶の妖《アヤカシ》|咲希さんと、ウチのクラスの不登校児=美島聖女ちゃん二人に出会って一週間。
初めて会った頃よりは吃驚することは少なくなったと思うけど、彼女たちが知っていて私の知らないことはまだまだ多いよう。
難しいデス。
「 だいぶ色の・・・・っていうか、源の常識も覚えたし、源の王様達や神様達に会えるのもそう遠くはないかもね。あ、神官様にも会わないと。色のボスだし 」
そうです!!!私は源にある【色本部】へ近いうち行くことになったのです!!!! つまり、異世界!!!
でも、異世界となると、結構不安なこともあって――――――
「 ・・・・・・・前から思ってたんですけど・・・・源って、宗教国家なんですか? 」
神やら神官やら宗教が支配する国なんて、胡散臭い×怖い。
できれば行きたくない。
咲希さんは目を見開いて、固まって、驚いているように見える。
怒られるかな。
「 ・・・・・・・宗教じゃないけど、あそこには神様がいるの。本物のね 」
そういって、カップの紅茶を一口飲んだ。
「 もともと、この世界――――命は【創世の神】ってよばれる神様が生物を創り、守っていたの。ヒトも創られた最初のころは、【考え創る】っていう、ヒトだけの力が有った。そのヒトが【創世の神】のコピーとして創ったのが【ヒトの神】と【源】という【理想】よ 」
「 ・・・・・じゃ、その【ヒトの神】が―――――― 」
咲希さんはもう一口、紅茶を飲んだ。
「 ヒトの神は死んだよ。でも、その力を受け継いだ【三人の神】が源と命を守ってる。今の神様は二代目かな 」
「神さまも死ぬんですね」
「ヒトの神は所詮コピーだから 」
咲希さんは笑ってるのか、顔をしかめているのか、よく解らない顔をした。
「・・・・・・・すいません 」
私は思わず飛び上がった。
木野子館(聖女ちゃんと咲希さんの隠れ家)は学校の地下にあるので、生徒や先生に見られない様にしろと言われているのだ。
ちなみに、私は地下から出てきたところである。ヤバイ。
「 大西アリサさんですね。ちょっといいですか 」
無感情な声。高くも無く、低くも無い。つまり、男か女かも解らない。センセイか、風紀委員か、そこらへんだろう。
私はバクバクする心臓を抑えながら、ゆっくりと振り向いた。
―――――――と、見せかけて、逃げた。そらもう、全力疾走で。
「――――――コイツ、逃げたんだけど 」
ずびしッ!!!と、私を指差す。
言葉にはチクチクした怒りの感情が込められていた。
「・・・・・・あ〜あ・・・・・」
いつ帰ってきたのか、聖女ちゃんと咲希さんが『やっちゃった♪』的な目で見ながらハモる。
「・・・・・すみません」土下座。
私は捕まった。あっさりと。
私を捕まえたのは、N・ポピンズという、咲希さんの昔の同僚らしい。
スラリとした長身に紫の瞳に透き通る白髪。
色気があるし、顔も綺麗なので女性かと思ったけど、胸はない。でも筋肉質じゃないし、『胸の無い女性』で通るくらいで、服も性別の特徴のない黒のシャツとズボン。手袋とチョーカーも黒。
第一印象はめちゃくちゃ綺麗な(無表情なのが勿体無い)人。
「で、何?」
咲希さんがニコニコと(ニヤニヤと?)聞いた。聖女ちゃんが言っていたが、咲希さんはショタコンの気があるらしい。
「・・・・・健ちゃんのとこに寄ったついでに、お使いを頼まれて 」
ちなみに、聖女ちゃんのお祖父ちゃん=この学校の理事長=泉 健=健ちゃんv である。
そうか、理事長は『健ちゃん』とよばれているのか。
そんなどうでもいいことを考えていたので、私は大事なことをちゃんと聞いていなかった。
「 神様がアリサさんに会いたいって 」
「か、神様がぁ!!!?」
声が裏返る。マジですか。
「 うん。ボクの兄様と姉様が 」
源に行くのは、また違う話になりそうです。 |