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怒哀楽
作:白琴



哀の章<15〜21>


15
   てまねき

 川辺に咲く彼岸花。
 現世に咲く必要が、どこにある。
 彼岸花、そんなに私を誘うのか。
 あなたがまねくその先に、なにがある。
 あなたは、なにものだ。
 彼岸花よ、あなたはどこに帰るのだ。
 やることもない現世で、
 なぜにあなたは、私を誘う。




16
   歩と

 あんなに弱い歩が、
 あんなに強くなるのはなぜだろう。
 強がりだろうか。
 一度、確かめてみたい。
 「あんなに弱い君がなぜ」
 「一歩一歩、歩くから、足が強くなるんだ」
 なんて、歩と、言うのだろうか。



17
   曲がり道と曲がり角

 先がみえるのは、曲がり道。
 先がみえないのは、曲がり角。
 そうかな?

 先がみえるのは、老いた人間。
 先がみえないのは、若い人間。
 そうかな?

 先がみえないのは、真っ暗な部屋だけ。




18
   神の手

 そのしわくちゃの手は、誰のためでしょう。
 (その手で、熱い湯を掻くのですか)
 にぎるとなくなってしまうその手は
 いくつの太陽を拝んだのでしょう。
 (その手で、風を掻くのですか)
 なにがあなたの手を茶色に染めたのですか。
 (おお、神の手よ)
 生の意味を何度考えたことでしょう。



19
   むらさき色の真実

 黒くもなく、
 青くもなく、
 緑色でもなく、
 白色ですらなく、
 混濁した時代を、
 そのままの勢いで、
 話すことも、話されることもなく、

 むらさき色に、生きたい。
 むらさき色は酸いも甘いも知っているから



20
   嵐

 なぐる。
 ける。
 なげる。
 たたく。
 嵐よ、私になにを求める。

 なにを考えて、吹くのだ!

 嵐よ。




21
   あとのまつり

 あばれ疲れた大河の、
 今、
 うるおいもなく、
 すぎた日々の、
 生き急いだ人生の、
 今を語るかなしさよ。
 すぎた月日の、
 あとのまつりのくやしさよ。







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