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召喚幻想紀 - 召喚魔法で作り上げた最強パーティーがチートすぎる件について - 作者:花京院 光

第一章「冒険編」

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第五話「魔法都市を目指して」

 〈翌朝〉

 俺は朝からリーシアに体を揺すられて目を覚ました。

「レオン、早く出発しようよ。朝だよ」
「おはよう、リーシア……そうだね、そろそろ出発しようか」
「早く早く、冒険の旅が待ってるよ……」
「わかったよ、すぐに起きるからね」

 リーシアは俺と冒険に出るのが楽しみなのか、朝から機嫌が良さそうに微笑んでいる。
 こうして見ると、初めて出会った時の弱り切ったリーシアとは別人の様に元気になったんだな。
 精霊の契約をする事によって、リーシアは俺の魔力を自身の体内に取り込んで成長している。
 リーシアの体から感じる魔力が強く育っている気がする。
 次第に元気になり、活発になっていく彼女を見ているのは、なんだか気分が良いな。

「よし、皆に挨拶をしてすぐに出発しよう!」

 俺達が家から出ると、村人達の中でも親しい友人達が集まっていた。
 勿論、アッシュおじさんとグレートゴブリンの姿もあった。
 父さんと母さんも家から出てきて、俺とリーシアの旅の出発を祝福してくれた。
 俺は村を出る前にグレートゴブリンに村を頼むと伝えた。
 彼は嬉しそうに微笑むと、俺の肩に手を置いて頷いてくれた。
 きっとグレートゴブリンならアルシュ村を守る強い魔物に育ってくれるはずだ。
 俺達は村人達に別れの挨拶をすると、すぐに冒険の旅に出た……。


 〈魔法都市ザラスを目指して〉

 アルシュ村は魔法都市ザラスの南に位置しており、徒歩で約一週間も進めば着くだろうと父さんは言っていた。
 俺はたまに両親に連れられて、魔法都市ザラスまで馬車で遊びに行く事もあったが、今回は時間もある訳だから、馬車を使わずにリーシアと二人で、ゆっくりとザラスまでの道を歩いて移動する事にした。
 リーシアと知り合う時間も欲しいし、魔物の素材をなるべく多く集めたかったからだ。
 なるべく強い魔物の素材を集めて最強のパーティーを作る。
 これが今の目標だ。

 しかし、精霊王の加護は偉大だ。
 魔物の素材から新しい魔物を作り上げる事が出来るんだからな。
 まずはどんな魔物を仲間にしたら良いだろうか。
 魔法都市ザラスまでの道では、強力な魔物は生息していなかった気がする。
 一番多く湧く魔物はスライムだ。
 液体状の魔物で、スライムの体液はポーションを作るために使われる事もある。
 スライムを仲間にしたところで、戦闘能力も低ければ魔力も低い訳だから、ほとんど意味は無さそうだな……。

「レオン、ザラスまではどれくらいで着くの?」
「大体一週間くらいだよ、ゆっくり歩いて進もうか」
「そうだね、魔法都市か……楽しみだな。私、あまり都会に行った事がないから」
「うん、俺も大きな都市にはあまり行った事が無いよ。十七年間、ほとんどずっとアルシュ村に居たらからね」

 リーシアは出会った頃と比べて、口数も増えた気がするし、なんだか身長も少しだけ高くなったような気がする。
 彼女が日に日に強力な精霊へと成長している事は確かだ。
 アルシュ村を出発した俺達は、ザラスに向かうまでの最初の難所と呼ばれている深い森に入った。
 この森にはスパイダー系の魔物とスケルトン、それからスライム系の魔物が多く生息している。
 この森に湧く魔物は、どれも魔獣クラスの低級の魔物だが、複数で囲まれれば厄介だ。
 馬車で進む際にも、この森の中ではゆっくりと、慎重に進まなければならない。

「リーシア、この森は弱い魔物が湧く森なんだよ、気をつけて進もう」
「うん……私の事、守ってね」
「当たり前さ。リーシアは俺が守るよ」
「約束だよ……」

 リーシアは右手で杖を握りしめながら、左手で俺の服を握っている。
 俺はブロードソードを右手で構え、左手には魔法で作り上げた炎を灯した。
 低級の魔物は火が苦手な魔物が多い。
 火を持っているだけで逃げていく魔物も多く存在する。

「ところで、リーシアは何か魔法が使えるのかい?」
「うん、回復魔法のヒールと、防御魔法のマナシールドだけ」
「そうか、それは凄いよ。俺は回復魔法も防御魔法も、一度だって成功した事がないんだ。使える魔法は今のところ、火属性の攻撃魔法だけだよ」

 魔法都市に到着したら、冒険者としての登録をしなければならないが、俺自身も魔法や新しい剣技などを覚えなければならない。
 リーシアが回復魔法と防御魔法を使えるなら、攻撃に関しては俺と新しく仲間になる魔物が担当すればいいだろう。

 薄暗い森の中を、魔法の炎で照らしながら慎重に進むと、俺達の前方からは何やら騒がしい物音が聞こえた。
 スケルトンの集団が冒険者と交戦している最中だった。
 剣士風の二人の女性とスケルトンが約十五体。
 二人の冒険者は俺達と同様の駆け出しの冒険者なのか、古ぼけた剣を握りしめて、緊張した面持ちでスケルトンと戦っている。
 助太刀した方が良いだろうか?

「リーシア、俺達も戦った方が良いかな?」
「うん……助けてあげようよ」

 俺は左手に溜めていた炎の魔力を更に強めると、アッシュおじさんの得意魔法である、炎の矢を作り上げた。
 俺は左手を一体のスケルトンに向けると、思い切り魔力を放出させた。

『ファイアボルト!』

 魔法を唱えると、俺が作り上げた炎の矢は、一撃でスケルトンの頭蓋骨を貫き、遥か彼方へと飛んで行った。
 あれ? 俺の魔法ってこんなに強かったっけ?
 それとも敵のスケルトンが弱いのだろうか。
 今の攻撃で、群れていたスケルトンの半数は俺達目がけて襲い掛かってきた。
 これで半分の敵が釣れた訳だ。

 それからは乱戦になった。
 俺はリーシアを守りながら、スケルトンの攻撃をなんとか武器で受け流し、ファイアボルトやファイアを駆使してスケルトン連中を倒す事が出来た。
 リーシアは俺が戦っている間、俺と自分自身に対して『マナシールド』と言う防御の魔法を展開させつつも、女の冒険者の様子を確認しながら回復魔法を掛けていた。
 戦闘が終わると、俺も二人の冒険者も、リーシアの補助魔法のお陰もあって、大きな怪我すら負わなかった事に気が付いた。
 剣を鞘に仕舞い、体についた汚れを落としていると、二人の冒険者は俺達の方に駆け寄ってきた。

「ありがとうございます……あなた達の協力が無ければ、私達は今頃やられていたかもしれない……」
「大丈夫でしたか? スケルトンに囲まれていたので戦闘に参加してしまいました」

 基本的に、他の冒険者が魔物と戦っている間は手を出さないのが冒険者同士の決まりだ。
 冒険者同士というか、魔物を狩る者同士の当たり前の決まりだ。
 しかし、今回の様に大量の魔物に囲まれていて、命に危険がありそうな場合は別だ。

「私達は魔法都市ザラスで冒険者登録をしたばかりで、今はスケルトンの討伐クエストの最中でした。お二人が居なければ本当にやられていたかもしれません……」

 背の高い剣士風の女性は、目に涙を浮かべながら俺とリーシアに礼を言った。
 リーシアは自分の力で冒険者を助けた事が嬉しかったのか、誇らしげな表情で俺を見上げている。
 リーシアの補助魔法もなかなかのものだった。

「気にしないで下さい。お互い冒険者として頑張りましょう。それでは先を急ぐので……」

 俺はそう言って立ち去ろうとすると、二人組の冒険者は、今回の戦闘で得たアイテムを山分けしましょうと提案してくれた。
 俺は少しでも魔物の素材を増やしたかったから、喜んで相手の提案を受け入れた。
 今回俺が手に入れたアイテムは……。

 ・スケルトンの頭骨×3
 ・シルバーダガー
 ・1ゴールド
 ・『魔導書・アイス』

 俺は戦利品を受け取ると、二人の冒険者に礼を言って、すぐに魔法都市ザラスへの道を進み始めた。
 スケルトンとの戦闘で、魔物の素材が三つも手に入ったのはかなり収穫だな。
 素材は強い魔力を放っている物以外はガラクタ同然だ。
 素材に魔力を含まない物は、基本的には拾わずにそのまま放置しておく。
 魔獣クラスの素材で、素材自体が魔力すら含まない物なら、基本的に値段が付かない事が多い。

 だが、今回手に入れたスケルトンの素材はなかなかの魔力を持っている。
 素材の魔力の強さは、実際に手に取ってみればすぐにわかる。
 早速、スケルトンの頭骨を使って魔物を召喚しよう!

「リーシア! スケルトンを三体、俺達の仲間にしてみないかい?」
「スケルトンを? 面白そうだね!」
「三体のスケルトンに武器を持たせたら前衛が四人になるだろう? さらに強いパーティーになると思うんだ」

 俺はすぐに新しい仲間を召喚する事にした。
 スケルトンなら人間用の装備も使えるし、体も大きくない訳だから、冒険の旅の邪魔にはならないだろう。
 俺とリーシアは森の中の開けた場所で召喚の準備を始めた。
 準備と言っても、地面の上にスケルトンの頭骨を置くだけだ。
 精霊王の加護による召喚魔法は至ってシンプルだ。
 ただ魔物の素材に魔力を注ぐだけで良い。
 俺は両手に魔力を込めて、地面に置いたスケルトンの素材に魔力を注いだ。

『スケルトン・召喚!』

 魔法を唱えると、スケルトンの頭骨は魔力を吸収して、辺りに鈍い光を放ち始めた。
 魔物が新しく生まれる時はどうやら光を放つみたいだ。
 グレートゴブリンが生まれた時程ではないが、なかなか力強い魔力を感じる。

 しばらく魔力を注ぎ続けると、光の中から新しいスケルトンが三体生まれた。
 身長は150センチ程だろうか。
 随分背が低いんだな。
 俺は新しく生まれたスケルトンに早速自己紹介をする事にした。

「俺は君達を召喚した、レオン・シュタインだよ。今日から俺が君達の主だ」
「……」

 三体のスケルトンは俺を見ると無邪気に群がってきた。
 何やら嬉しそうに俺の体をペタペタと触っている。
 どうやら気の良い仲間が生まれたみたいだな。
 リーシアはそんな様子を、嬉しそうに微笑みながら見つめている。

 今日は冒険の旅に出たばかりの俺達に、新しい仲間が加わった記念すべき日だ。
 俺達はザラスまでの森の中で少し早めの野営をする事にした……。
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