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召喚幻想紀 - 召喚魔法で作り上げた最強パーティーがチートすぎる件について - 作者:花京院 光

第四章「本拠地編」

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第三十九話「本拠地」

 ノーラの提案により、俺達は本拠地作りを検討する事になった。
 時間なら沢山ある。
 ゆっくり酒を飲みながら、各々がアイディアを出し合い、本拠地について検討すれば良い。
 俺とノーラが話し込んでいる間に、リリーは眠くなってしまったのか、俺のマントに包まってすやすやと寝ている。

「本拠地か……確かにそんな場所が有れば、魔物の仲間は安心して生活出来るだろうね。これから仲間はまだまだ増えるだろうし、このままザラスの近くで野営を続ける事は難しいかもしれない……」
「そうでしょう? ザラスから近くて、安い土地を買って私達の本拠地にしましょう。今日、レオンの第二パーティーと共に行動して気がついた事があるのだけど、討伐した魔物の素材を、更に多く持ち帰る事が出来れば、より効率的にお金を稼ぐ事が出来ると思うんだ」
「馬車のような物が有れば、大量の魔物の素材やドロップアイテムを運べると言う訳か……」
「そういう事」

 ノーラは冷えたエールを頼むと、小さく切ったステーキを口の中に放り込み、キンキンに冷えたエールで流し込んだ。
 随分美味しそうに食事をする女性なんだな……。
 シルヴィアとリーシアとルルは、俺達の会話を静かに聞きながら、葡萄酒と肉料理を堪能している。

「馬車を買うのも良いかもしれないね。そうすれば更に多くのアイテムをザラスに持ち帰る事が出来る」
「うんうん。私に任せてくれれば、行商をしている仲間から安く馬車を買えるかもしれないわ」
「そうか。早速馬車を買うとしよう。実は俺達も馬車は必要だと思っていたんだ。冒険者ギルドから馬車を借りる事は出来るけど、クエストで遠方に移動する必要がある場合にしか借りられないみたいなんだ」
「それじゃ、早速明日の朝から馬車を探す事にするわ」
「うん、頼んだよノーラ。良い馬車が有ればその場で購入してくれるかい? 一応お金を渡しておくよ」

 俺は懐からお金が入っている袋を取り出すと、中身を半分程出してノーラに渡した。

「私にお金を預けてくれるの……? レオンは簡単に人を信じすぎなんじゃないかな?」
「そんな事は無いよ。俺はノーラを信じている」
「どうして私の事を信じてくれるの?」
「俺の賢い魔物の仲間達が、これだけノーラに気を許しているんだ。十分信用出来る人物と言う事だよ。ちなみにこの前、胡散臭い酔っぱらいが俺に話しかけて来た時、フーガは全力で噛み付いたし、シルヴィアは風の魔法で酔っぱらいを吹き飛ばして気絶させたからね」
「そんな事があったの……?」
「ああ。魔物は俺よりも人を見る目があると思うんだ。俺以外の人間に懐かない仲間が、こうして気を許しているんだ。それだけでもノーラは信用できる人だと思うよ」
「ありがとう……レオン。私、野盗に襲われた時、本当に死ぬんじゃないかって思ったの。男達から辱めを受けて、なぶり殺されるんじゃないかって……そんな時、レオン達が私を助けてくれた。私はさっきも言ったけれど、レオンのパーティーの専属の商人になるわ。私があなたを儲けさせてあげる」
「ありがとう。ノーラ。これからも俺がノーラを守るよ」

 俺がそう言うと、ノーラは嬉しそうに俺の手を握った。
 そんな様子を、リーシアとシルヴィアは微笑みながら見守っている。

「レオン。本拠地を作るのは良い考えだと思うよ。いつかそこに大きな家を建てて暮らそうよ!」
「それも良いかもしれないね。家か……どれだけお金が有れば建てられるのだろう……」

 本拠地に家を建てるのも悪くないと思うが、その前に、土地を買うお金を作らなければならない。
 これから魔法学校に入学するまでの約一ヶ月間で、Bランクの討伐クエストやCランクの討伐クエストを毎日受け続ければ、小さな土地を買えるだけのお金を作れると、ノーラから説明を聞いた。
 流石に商人だからか、お金の計算はとてつもなく早い。

「よし! 魔法学校に入学するまでの間。魔法の練習も兼ねてモンスターを狩りまくろう! お金が貯まったら俺達の本拠地を作るんだ!」

 俺が宣言すると、仲間達は目をキラキラさせてゴブレットを持ち上げた。
 乾杯をしてから、葡萄酒を胃に流し込んだ。
 程良く酒が回ると、そろそろ解散する事になった。
 勿論、解散したとしても、明日からも一緒に狩りを続ける。
 ノーラは明日の朝から馬車を探し、ルル、シルヴィア、リーシア、リリーと俺は、第二パーティーの中でも強力な仲間を引き連れて、なるべく強い魔物を狩りに出る。

 ベヒモスとゲイザー、フーガが居れば良いだろうか?
 あまり強い仲間を第一パーティーに固めてしまうと、第二パーティーの戦力が減ってしまう。
 高い戦闘力と知能を持つノールに第二パーティーのリーダーを任せるのも良いかもしれないな。
 今後の方針を決めた俺達は、酒場を出てそれぞれの宿に戻った……。


〈冒険者の宿・ベルネット〉

 部屋に戻ると、リリーは嬉しそうに部屋中を飛び回った。
 宿に泊まるのが初めてなのか、ベッドの上で楽しそうに飛び跳ねている。

「リリー、お風呂に入ろうか」
「お風呂……?」
「ああ。ゆっくり湯船に浸かって疲れをとるんだ」
「うん! 一緒に入る!」

 リリーがそう言うと、シルヴィアも一緒に入りたいのか、俺の体を後ろから強く抱きしめた。
 流石に自分の召喚獣だとしても、シルヴィアと一緒に風呂に入るのは恥ずかしすぎる。

「私も一緒に入りたい……」
「だめだよ……シルヴィア。恥ずかしすぎる……」
「でも、リリーは良いんでしょう? 私もあなたの召喚獣なの」
「それはそうだけど……」
「ね、良いでしょう?」

 シルヴィアは可愛らしく上目遣いで俺を見つめている。 
 いつ見てもシルヴィアは美しいな。
 勿論、彼女は人間ではなく、俺の召喚獣だ。
 幻獣のウィンドデビルだ。
 間違っても魔物相手に興奮してはいけない……。
 俺はシルヴィアとリーシアを部屋に置いたまま、リリーと共に浴室に入った。

「本拠地作りか……面白くなってきたな。リリーはどう思う? 本拠地を作りたいかい?」
「私はレオンと居られるならどこでも良いよ。本拠地でも、宿でも。だけど私と離れるのはだめ!」
「勿論さ。ずっと一緒に居よう」

 俺はリリーの髪を丁寧に洗うと、彼女は心地良さそうに目を瞑って鼻歌を歌い始めた。
 なんだか幼い妹が出来たみたいだが、彼女はあまりにも小さすぎる。
 ちょうど俺の手のひらと同じくらいの大きさだろうか。
 長く伸びた銀色の髪も、青色の羽根も美しい。
 人間だったらとてつもない美少女だっただろう。

「レオン。私もみんなと魔法の練習をしようかな」
「それが良いだろうね。回復魔法や防御魔法を覚えてくれると助かるよ」
「私、聖属性の妖精だから、回復魔法は使えると思うの」
「そう言えば、リリーから貰った加護を使ってみたよ。聖属性のヒールの魔法を覚えたんだ」
「ほんとう? 私と同じ属性を覚えてくれたんだ!」
「うん、もっと練習するつもりだよ。リリーも明日から一緒に練習しようか」
「わかった!」

 リリーは嬉しそうに目を輝かせると、俺の肩の上に乗って湯船に浸かった。
 一人で湯船に入れば、たちまち溺れてしまうからな。
 しばらくリリーと話をしていると、突然浴室の扉が開いた……。

「え……? シルヴィア!?」
「うん……私も一緒に入る」
「……」

 浴室にはタオルを巻いたシルヴィアが入ってきた。
 タオル越しでも彼女の成熟した体がはっきりと分かる。
 豊かに盛り上がった胸からは目が離せそうにないな……。
 まずいまずい。
 相手は俺の召喚獣だ。
 魔物だ。
 興奮してしまってはいけない。

「一緒に入っても良い?」
「良いよ……」

 俺がそう言うと、シルヴィアは嬉しそうに湯に浸かった。
 まさか人間の見た目をした魔物と一緒に風呂に入る事になるとは……。
 俺はシルヴィアを見ないように、浴槽の壁をじっと見つめた。

「レオン……」

 俺の背中には何か信じられない程柔らかい物が当たっている。
 これは……胸か?
 シルヴィアの心地良い魔力と体温を感じる。
 シルヴィアが強く俺の体を抱きしめると、俺は我慢出来ずに振り返ってシルヴィアを見つめた。

「シルヴィア……」

 俺はシルヴィアの体を強く抱きしめると、俺の胸板には彼女の豊かな胸が当たった。
 最高の感覚だ……。
 これが女性の体か?
 いや、女性ではない……彼女は魔物だ。

「レオン。たまには一緒にお風呂に入っても良いでしょう? 今日はノーラの事ばかり見て、私なんて少しも構ってくれなかったし。リーシアも寂しそうにしていたよ」
「そうだったね……ごめん」
「いいの。外で他の女と楽しそうにしていても、レオンは毎晩私と一緒に寝ているんだから。少しぐらいの浮気は許してあげる……」
「ありがとう……」

 浮気?
 よく分からないが許して貰えたみたいだ。
 それから俺はしばらくシルヴィアの体を抱きしめていた。
 俺の腕の中には信じられない程美しい魔物が居る。
 幸せだな……。

「そろそろ上がりましょうか。リーシアが待っているわ」
「そうだね」

 部屋に戻ると、リーシアは退屈そうに魔導書を眺めていた。
 俺が浴室から出るや否や、リーシアは俺の体に抱きついた。

「もう……シルヴィアばっかり!」
「ごめんごめん」

 しばらく彼女を抱きしめながら頭を撫でていると、リーシアは機嫌を良くしたのか、楽しそうに浴室に入って行った。
 それから俺はシルヴィアとリリーの髪をタオルで拭いて乾かすと、葡萄酒を飲みながらリーシアを待った。

「本拠地か……楽しみだな。自分達の家を建てるのも良いだろう……」
「そうね。私達だけで暮らしましょう」
「うん。小さな家を建てて、ゆっくり暮らすのも良いかもしれない。勿論、魔法学校に通いながらね」

 ソファに座りながら、小さなリリーを膝の上に載せて、ゆっくりと葡萄酒を飲む。
 至福の時だ。
 シルヴィアは俺にもたれ掛かりながら、リリーの頭を撫でている。
 普段はミスリルの鎧を装備しているシルヴィアが、今日は新しく買ったネグリジェを着ている。
 ドレスの様な薄いネグリジェが、シルヴィアの美しさを更に引き立てている。

「レオン……見過ぎだよ……」
「ごめん、つい……」

 俺はシルヴィアのネグリジェ姿に見とれていたのか、恥ずかしさを隠すために葡萄酒を飲み干すと、猛烈に眠気が襲ってきた。
 フカフカのベッドにリリーを寝かせると、彼女は可愛らしく欠伸をしてから眠りに就いた……。

 リーシアが風呂から上がると、俺は彼女の髪を乾かしてあげた。
 火の魔力を弱めた温風を髪に当てると、リーシアの髪はすぐに乾いた。
 それからブラシで丁寧に髪を梳かす。
 艶のある長く伸びた銀髪が、リーシアの美貌を引き立てている。
 シルヴィアも美しいが、リーシアもまた美しい……。

 俺はリーシアと共にベッドに入り、シルヴィアとリリーと四人で一緒に眠る事にした。
 明日からは本拠地作りのために、本格的に活動を始めなければならない。
 しっかり休んでおこう。

「おやすみ、レオン……」
「ああ、おやすみ。リーシア、シルヴィア」

 俺はリーシアとシルヴィアの体を抱きしめ、彼女達の暖かい魔力を感じていると、いつの間にか眠りに落ちていた……。
 
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