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召喚幻想紀 - 召喚魔法で作り上げた最強パーティーで成り上がり - 作者:花京院 光

第三章「魔法都市ザラス編」

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第三十七話「エドガー・ベルネットの想い」

 ザラスに向けて馬車を走らせ始めた俺達は、約一時間程で魔法都市ザラスに到着した。
 ザラスの正門前では、商人のノーラさんと召喚獣達が俺達の帰りを待っていた。
 フーガとゲイザーは、俺の姿を見るや否や、一目散に駆け寄ってきて俺の体に飛びついた。

「よしよし……!」

 体にはゲイザーの触手が絡まり、フーガの大きな舌が俺の顔を舐める。
 ゲイザーもフーガも随分成長したんだな。
 日に日に強くなっていって、いつかは俺よりも強くなるだろう。
 いいや、もしかしたら既に俺よりも強いかもしれない。
 俺も負けられないな……。

「フーガ、今日の狩りはどうだった?」
「……」

 返事はないが、召喚獣には積極的に話しかけるようにしている。
 ゲイザーやベヒモスは俺の言葉は理解してくれる。
 生まれながらにして高度な知能を持つ幻獣は、やはり頼りがいがあるな。
 俺はベヒモスに近づいて、ゴツゴツした肌を触った。
 筋肉が限界まで発達していて、触っているだけで自分との体の違いを感じる。
 まるで戦闘のためだけに鍛え上げた様な、完璧な体をしている。
 ベヒモスは俺の体を抱き寄せて頬ずりをした。
 見た目は少し怖いが、彼も俺の可愛い召喚獣だ。

 俺と召喚獣達との触れ合いを、ノーラさんは驚いた様な表情で見ている。
 初めてこの光景を見る人にとっては異様かもしれないが、俺達にとっては当たり前だ。
 俺はゲイザーを肩の上に乗せて、ノーラさんの元に近づいた。

「レオン! あなたの召喚獣は素晴らしいです! 今日一日でこんなに稼げましたよ!」

 ノーラさんは懐から小さな袋を取り出して俺に渡した。
 受け取った袋を開けてると、クエスト達成の報酬の半分の金額と、売り捌いた素材の代金を合計した金額が入っていた。
 アルバーン姉妹には既にクエスト達成の報酬の半額を渡したのだとか。
 金額を数えてみると十九ゴールドも入っていた。
 これは凄いな。
 きっと召喚獣達が倒した魔物の素材を、ノーラさんがしっかりと選んでザラスに持ち帰り、お金に換えたに違いない。
 俺は小麦も馬車も全て失ったノーラさんに、今日の報酬を全て渡す事にした。

「ノーラさん、このお金じゃ少ないかもしれないけど、使って下さい」
「え? 全部ですか?」
「はい、だってノーラさん、小麦も燃やされて、馬車も無くなってしまったじゃないですか。その代り、明日からもパーティーに居てくれると嬉しいです」
「勿論です! お任せ下さい!」
「あ、敬語は使わなくても良いんですよ」
「それじゃお互い敬語は辞めましょう、レオン」
「わかったよ。ノーラ」

 俺はお金が入った袋をノーラに渡すと、彼女は嬉しそうに受け取った。
 今日の儲けは全て彼女にあげよう。
 今お金に困っているは俺ではなくノーラだからな。

「俺達はこれから冒険者ギルドに向かって、討伐完了の報告をするんだけど、ノーラはどうする?」
「私は町を回って物価を調べるようかな。素材の適正な値段とか、ドロップアイテムの相場が判れば、もっとお金を稼げるからね」
「わかったよ。それじゃ明日の朝からよろしくね」
「こちらこそ。私がパーティーに入ったからには、しっかり稼がせてあげるわ」
「楽しみにしているよ。そうだ、今日の夜時間があったら一緒に食事に行こうよ」

 俺はルルが泊まっている宿の近くの酒場の場所を伝えた。
 ノーラは必ず来ると返事をした後、ザラスの市場の方に向かって歩いて行った。
 頼もしい仲間が増えたな。

 俺は召喚獣達に新しい仲間であるノールが増えた事を報告すると、仲間達は嬉しそうにノールを歓迎した。
 ノールは自慢のクレイモアを見せびらかしている。
 スケルトン達やドラゴニュート達、それからオーク達はうらやましそうにノールのクレイモアを見つめている。
 試しにノールがクレイモアをスケルトンに渡すと、スケルトンには重すぎて持ち上げる事も出来なかった。
 そんなクレイモアを、ベヒモスは当たり前のように簡単に持ち上げて見せた。
 やはりベヒモスの筋肉は伊達ではない。

「さて、これから冒険者ギルドで討伐の報告をしてから、カイの鍛冶屋に行ってノールの武器を渡しに行こう」
「レオン、そういえばクラーラさんのために召喚した妖精の名前は考えた?」
「勿論、考えておいたよ」
「本当? どんな名前?」
「内緒。あとで教えてあげるよ」

 リーシアは少し不貞腐れた様な表情で俺を見たが、俺が彼女の手を握ると、すぐに嬉しそうに微笑んでくれた。
 さて、早速冒険者ギルドに向かうか……。
 俺はゲイザーを肩の上から降ろしてフーガの上に乗せると、フーガはゲイザーを乗せて楽しそうに走り出した。
 全く凄い組み合わせだよな……。
 第二パーティーに別れを告げると、馬車に乗り込んでザラスの町に入った……。


 〈魔法都市ザラス〉

 今はまだ夕方の六時頃だろうか、ザラスの町にはクエストを完了して、所属しているギルドに戻る者の姿が多い。
 人間以外の獣人や、見た事もない魔物と人間との中間種の様な冒険者も多い。
 クエストを達成して喜びながら帰路につく者も居れば、クエストに失敗したのだろうか、肩を落として町を歩く者も居る。

「そろそろギルドに着くね。ベルネットさんが特別な報酬をくれるって言ってたけど。どんな物だろう」
「うん……想像もつかないよ。装備品なら嬉しいけどね」
「新しい装備かぁ。私は今の装備が気に入ってるからな」

 リーシアはアッシュおじさんから頂いた杖を取り出して、手垢を取るためにマントで磨き始めた。
 金属製の杖には手垢が付くのか、リーシアは毎日欠かさず磨いている。

 それにしても、新しい装備か……。
 火属性の魔力を高める装飾品が欲しいな。
 カイにお願いしてみようか。
 勿論、彼の鍛冶師としての腕前は分からないが……。
 馬車を進めると、冒険者ギルドが見えてきた。
 馬車を入口付近に停めると、馬車から飛び降りて冒険者ギルドの扉を開けた。


 〈冒険者ギルド〉

 ギルドの中は今日も冒険者達で溢れている。
 俺が冒険者ギルドに入るや否や、妖精のホーリーフェアリーは俺の胸元に飛び込んできた。
 余程俺に会いたかったのか……。

「お待たせ」
「待ってたよ……」

 嬉しそうに顔を上げて俺を見つめると、俺は彼女の可愛らしさに、一瞬胸の高鳴りを感じた。
 青色の美しい羽根に青色の髪、目も綺麗な青色をしている。
 まつ毛も長く、人間の女性なら驚くほど美しいだろう。
 彼女が人間じゃない事だけが残念だ。

「名前……」
「あ、そうだ。ちゃんと考えておいたんだよ」
「早く……」
「君の名前はリリーにしようと思うんだけど、どうかな?」
「リリー? 可愛い!」
「気に入って貰えたかな?」
「うん! 私は今日からリリー!」

 嬉しそうに自分の名前を何度も口ずさむと、クラーラさんがギルドのカウンターから出てきた。

「レオン。ホーリーフェアリーは一日中レオンの事を待っていました。あれから何度も考えたのですが、やはり自分の力で召喚しなければいけないと思いました……」
「え、俺を待っていたんですか?」
「はい。ずっとギルドの入り口を見つめたまま、私の方なんてほとんど見てくれませんでした。レオン、ホーリーフェアリーはあなたにお返しします。私はいつかきっと、自分自身の力でホーリーフェアリーを召喚してみせます」

 クラーラさんがそう言うと、嬉しそうに目を輝かせて俺を見つめた。

「俺の仲間になるかい、リリー」
「うん!」
「クラーラさん。それじゃリリーは俺が引き取ります」
「引き取るも何も……レオンが召喚した妖精ですからね。リリーをよろしくお願いします」
「お任せ下さい。きっと幸せにしてみます」

 俺は小さなリリーを持ち上げて肩の上に乗せると、リリーは嬉しそうに俺の髪を掴んだ。
 また新たな仲間が増えたか。
 喜ばしい事だな。
 強い聖属性の魔力を持つ妖精か。

 それから俺はクラーラさんにベルネットさんを呼んでもらってから、討伐したノールの素材を納品して、クエストを完了した。
 ベルネットさんは嬉しそうにカウンターの引き出しを開けると、ノール討伐の報酬のお金をくれた。
 俺は中身を確認せずに、懐に入れた。

「おいおい、中身は確認しないのか?」
「はい。金額は重要ではありません。それに、今日はお金以外にも大切な存在を手に入れましたから……」
「大切な存在?」
「はい、四体のオークにノール、それから妖精のリリーです。あと、新しい仲間に商人のノーラ」
「商人と四体のオーク、それからノールに妖精? 一日で自分のパーティーに引き入れるとは……レオンは仲間を増やす天才だな。全くレオンがこの町に来てから、俺は毎日退屈しないよ。そうだ、それより今日は特別な報酬を渡す日だったな」

 ついに来たぞ……。
 ベルネットさんが特別という程の物だ、きっと凄いアイテムに違ない。
 ベルネットさんは一度職員の休憩室に戻ると、小さな袋を手に持って俺達の元に戻ってきた。
 袋は四つあり、一つ目を俺に、二つ目をリーシア、三つ目をシルヴィアに、四つ目をルルに渡した。
 人数分有るとは……。

「さぁ! 開けて中身を確認してくれ!」
「わかりました!」

 俺はベルネットさんから受け取った包みを開けると、中には黒いマントが入っていた。
 俺にマント……?
 マントをよく見てみると、胸の部分には、ザラスの冒険者ギルドの紋章が入っていた。
 紋章は二本の剣が交差しているデザインで、剣の下には、魔法都市ザラス・冒険者ギルドと書いてある。

「これから四人は魔法学校に入学するだろう。だが、冒険者として入学して欲しいんだ。魔法学校の生徒になり、毎日魔法の研究や魔導書なんかを読み解くのは結構だ。しかし、君達は冒険者だ! 魔物との戦闘に身を置き、自らの力でザラスの民を守ってほしい!」
「ベルネットさん……」
「さぁ、早速羽織ってみるんだ」
「はい!」

 ベルネットさんがくれたマントを羽織ってみると、優しい魔力に包まれているような気がした。
 これは素晴らしいアイテムだ……。

「レオン。冒険者ギルドの魔法剣士になれ。常に戦い続けるんだ。力を求めろ! 俺もそうしてきたし、これからも俺は力を追求する。魔法学校の中に居れば、安全で、黙っていても有能な冒険者達が、ザラスを脅かす魔物を討伐してくれるだろう。だが、俺はそれがレオンであって欲しい。いつか俺の所まで、Aランクの冒険者まで登り詰めて欲しい!」
「勿論です! 俺は魔法学校に入学しても、冒険者のレオン・シュタインです。いつかAランクの冒険者になってみせます! 例えどれだけ時間が掛かったとしても!」
「その言葉が聞きたかったぞ! レオン!」

 俺はベルネットさんと硬い握手を交わすと、冒険者ギルドを出て、カイのところに頼まれていたノールの武器を渡しに行く事にした。
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