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召喚幻想紀 - 召喚魔法で作り上げた最強パーティーがチートすぎる件について - 作者:花京院 光

第三章「魔法都市ザラス編」

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第二十七話「闘技場での攻防」

 俺とルルは闘技場の中でも一際大きな屋敷に目を付けた。

「ルル、この屋敷から攻略するよ! 時間が少ないからすぐに入ろう!」
「わかった!」

 右手に持ったブロードソードを握りしてめ、左手には予め炎の矢を作っておいた。
 屋敷の扉に手を掛けると、中からは無数のゴーストの呻き声が上がった。
 怖いな……。
 だが、幻獣のゲイザーやキメラと戦った時の恐怖と比べれば大した事は無い。
 勢いよく扉を開けると、中からは七体のゴーストが飛び出してきた。

「ルル! 下がるんだ!」

 咄嗟に命令すると、ルルは素早く反応し、ゴースト達の攻撃が届かない範囲まで一瞬で後退した。
 もしかしてルルはかなりの腕前の剣士なのかもしれない……。
 七体のゴーストが俺を取り囲んだ瞬間、俺はゴーストに向けて矢を放った。

『アローシャワー!』

 左手から放たれた七本の炎の矢は、四体のゴーストの体を貫くと、黒い霧の様な実態のない体は一瞬で消滅した。
 俺が攻撃を仕掛けた瞬間、ルルはレイピアを振り下ろした。

『サンダーブロー!』

 ルルがレイピアを振り下ろすと、レイピアの先からは雷の魔力が発生し、魔力は刃へと姿を変え、ゴーストに襲い掛かった。
 ゴーストは回避が間に合わずにルルの攻撃をもろに喰らうと、強い雷の衝撃によって吹き飛ばされた。
 ルルの攻撃はゴーストに対してかなりのダメージを与えた様だが、致命傷には至らなかった様だ。
 ルルは吹き飛んだゴーストに対してもう一度剣を向けた。

『サンダー!』

 魔法を唱えると、剣の先からは雷撃が放たれた。
 雷撃がゴーストに触れた瞬間、ゴーストの体は一瞬で消滅した。
 攻撃を繰り出すまでの速度や威力は、明らかに日常的に魔物との戦闘を行っている冒険者の動きだ。
 シルヴィアやリーシアよりも遥かに魔物との戦闘に慣れている。
 俺はルルと協力して残りのゴーストを倒すと、すぐに屋敷の中に入った……。


 屋敷に入ると、闘技場の中とは思えない程薄暗く、ゴーストの気味の悪い魔力が蔓延していた。
 俺達が屋敷に入った瞬間、突然屋敷の扉は閉まり、扉の前には濃い霧の様な魔法が掛かった。
 屋敷に潜むゴーストが俺達に対して魔法を掛けたのだろうか。

「罠か……」

 俺が小さく呟いた瞬間、背後からは強い雷の魔力を感じた。

『サンダー!』

 瞬間、俺の体には激痛が走った。
 え……。
 何が起こったんだ……?
 急いで後ろを振り返ると、ルルが虚ろな表情を浮かべて俺に剣を向けていた。
 ルルの背後には、見た事もない大きさのゴーストが、ルルに対して魔法を掛けていた。
 まるで操り人形だな。
 ゴーストは人間を操る魔法に長けている種族だという事は知っていたが、ルルの精神を乗っ取るとは……。

 ルルの背後に居るゴーストが魔法を唱えると、ルルは再び俺に対して攻撃を仕掛けてきた。 
 ルルは俺に向けてレイピアを構えると、鋭い突きを放ってきた。

『サンダーストライク!』

 俺は体に走る激痛を堪えながら、ギリギリのところでルルの突きを受け流した。
 やばいな……。
 早くルルの背後に居るゴーストを殺さなければ。
 このままだと俺がルルにやられてしまう。

『ファイア!』

 左手をゴーストに向けて魔法を唱えると、俺の手からは炎が噴き出した。
 これでゴーストを燃やしてやる。
 俺が魔法を唱えた瞬間、ゴーストは再びルルに指示を出すと、ルルはゴーストを守るかの如く、ゴーストの前に立った。
 雷の魔力をレイピアに込めると、俺が放った炎を器用に切り裂いた。
 これはまずいな。
 ルルを傷つける訳にはいかないし、手を抜いた攻撃ではルルに防御されてしまう。
 ルルの強さが裏目に出たか……。

 何か作戦を考えなければ。
 俺は痛む体を引きずりながら急いで逃げ出した。
 光りの入らない暗い屋敷の中を、激痛を堪えながら走ると、小さな扉の前に着いた。
 この部屋に入ってみるか。

 部屋の扉を開けた瞬間、一体のゴーストが飛び出してきたが、咄嗟に放ったファイアボルトによって一撃で仕留める事が出来た。
 部屋の中には他のゴーストの気配はなく、腐ってボロボロになった机とベッドが置かれてある。
 この部屋でゴーストを倒さなければ……。

 ルルの足音が、一歩ずつ、ゆっくりとこの部屋に近づいてきている。
 俺は急いで部屋の扉を閉めると、作戦を立てる事にした。
 正面からゴーストに攻撃を仕掛けても、ゴーストはルルを利用して攻撃を防ぐだろう。
 かと言って、ルルが防げない強さの魔法を放てば、たちまちルルの命を奪ってしまう。
 アローシャワーの様な防御が難しく、威力の高い魔法をゴーストに向けて使う事は出来ないな。
 どうにかしてゴーストに直接攻撃を当てる方法を考えなければならない。

 部屋の中には机とベッドがある。
 これを使って罠を仕掛けられないだろうか。
 俺は面白い考えを思いついた。
 正面からの攻撃は防御される確率が高い。
 それならゴーストが予測できない場所から攻撃を仕掛ければいい。

 机をドアの正面まで移動して、机の下には予め炎の球を作って浮かせておく。
 次に、ベッドを扉から離れた部屋の隅に動かした。
 ベッドの下には炎の矢を作って浮かせておく。
 俺はベッドとは反対側の部屋の隅で剣を持って待機した。
 罠が二つもあればゴーストを殺す事が出来るだろう。
 俺が二つの仕掛けを作り終えた瞬間、ルルは部屋の扉を叩き切った。

『サンダーストライク!』

 ルルが俺に対して突きを放つと、俺はわざと防御に失敗したふりをして、武器を落とした。
 ここで命乞いをするマネをしておこう。 
 ゴーストは俺が作った二つの仕掛けに気が付いていない。

「やめてくれ! 助けてくれ!!」

 俺がそう叫ぶと、ゴーストは嫌らしい笑みを浮かべながら部屋の中に入って来た。
 馬鹿め……。
 俺は机の下に浮かせておいた炎の球を飛ばした。

『ファイアボール!』

 魔法を唱えた瞬間、ゴーストは咄嗟に反応して、ルルを自分の前に立たせた。
 きっとルルはファイアボールを器用に切り裂くだろう。
 それなら次の攻撃で勝負を掛ける!

『ファイアボルト!』

 俺はベッドの下に作っておいた炎の矢をゴーストに向けて放った。
 ルルが炎の球を切り落とした瞬間、炎の矢はゴーストの体を貫いた。
 炎の矢はゴーストに纏わりつくように燃えると、ゴーストは気味の悪い叫び声を上げながら命を落とした。
 今の声の大きさはまずいな……。
 もしかすると、屋敷の付近に潜んで居るゴーストを呼び寄せてしまったかもしれない。
 ゴーストが死んだ瞬間、ルルに掛かっていた魔法が解けたのか、ルルは目に涙を浮かべて俺の方に駆け寄ってきた。

「レオン、ごめんさない! ゴーストに操られていたの!」
「大丈夫だよ。でも、もう動けそうにない。肩を貸してくれるかな」
「うん……本当にごめんなさい」

 俺はルルの肩を借りて屋敷を出ると、そこにはゴーストの大群が集まっていた。
 やばいだろ……いくら何でも。
 ゴーストは確実に四十体は以上は居る。
 もしかするともっと多いかもしれない。

「ルル、ゴーストの攻撃を防いでくれるかい。俺はとっておきの魔法をお見舞いするよ」
「攻撃を防げばいいのね! 任せて!」

 やってやる……。
 両手をゴーストの群れに向けると、体内から火の魔力を掻き集めて、七本の炎の矢を作り上げた。
 一撃で仕留めてやる。
 俺が魔法を完成させると、ゴースト達は俺の魔法を阻止すべく、標的を俺に定めて襲い掛かってきた。

『サンダー!』

 ゴーストの群れが俺達に向かってきた瞬間、ルルは雷の魔法を放った。
 ゴースト達はルルの雷をもろに喰らって動きが鈍くなった。
 ルルの魔法は、一撃でゴーストの群れを仕留められる威力ではなかったが、ゴーストの足止めは出来た様だ。

『アローシャワー!』

 俺はその瞬間を見逃さなかった。
 ありったけの魔力を込めた炎の矢をゴーストの群れに向けて放った。
 七本の炎の矢は複数のゴーストを貫き、遥か彼方まで飛んで行った。
 今の攻撃で十体近くのゴーストを殺せたようだ。
 仲間を殺されたゴースト達は、再び俺達に襲い掛かってきたが、俺とルルの魔法のコンビネーションによって、近づく事すら出来ずに命を落とした。
 全てのゴーストを倒し終えた瞬間、クラッセン先生が終了の合図を出した……。
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