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召喚幻想紀 - 召喚魔法で作り上げた最強パーティーで成り上がり - 作者:花京院 光

第二章「ダンジョン編」

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第十二話「白い魔獣」

 〈ザラスのダンジョン〉

 ダンジョンの付近は、ザラスから二時間程しか離れていないにも関わらず、魔物の魔力を強く肌に感じる。
 ダンジョン内に潜んで居る魔物の魔力だろうか、それともダンジョン自体が持つ魔力だろうか。
 ダンジョン付近の魔物を討伐するクエストを受けている俺達は、早速新しい獲物を探し始めた。

「レオン、ダンジョンの付近は結構魔物が多いんだね」
「そうだね、ダンジョンから出てきた魔物か、もしくは元々この辺りに生息している魔物だろうね。今の俺達が勝てる相手とだけ戦おう」
「わかったよ。気をつけてね、レオン」
「大丈夫さ。俺は幼い頃から魔物と戦っているんだ。心配ないよ」

 ダンジョン付近の森の中を探索していると、スケルトンとゴブリンの集団と遭遇したが、俺のファイアボルトとリーシアのアイスの魔法で仕留めた。
 俺達は既に、スケルトンとゴブリンに関しては接近する必要もなく、遠距離で仕留められる強さを身に着けた。
 最近のリーシアは特に成長が早い。
 身長も150センチ後半はあるのではないだろうか。
 人間と契約をした後の精霊の成長速度は、人間とは比べ物にならない程早い。
 リーシアの説明によると、大人の体に成長した後は成長が止まるのだとか。

 俺達はダンジョンの周辺の森の中を、ゆっくりと物音を立てない様に進んでいると、見慣れない魔物を見つける事が出来た。
 二本足で背の低い鳥の様だ。
 もしかしてアックスビークだろうか?
 以前魔物に関する本で読んだ事がある。
 飛行能力を持たない魔物だが、二本の強靭な足で敵を蹴り殺すのだとか。
 白くてフワフワした羽根で全身が覆われており、アックスビークの羽根から作られた布団は高級品らしい。

「レオン! 可愛い魔物が居るね」
「うん、多分あれはアックスビークだと思うよ。移動手段としても使われるんだ。俺達の戦利品をザラスまで運んでもらうには丁度いいかな」
「え? 仲間にするの?」
「そうだね、これからダンジョンとザラスを往復するなら、なるべく早く、大量の荷物を運べる魔物が居れば都合が良いと思うんだ」
「だけど……あんなに可愛い魔物を殺すのは可哀想だよ」
「確かにね……」

 俺が召喚魔法を使うには魔物の素材が必要だ。
 今までは魔物を殺して素材を集めていたが、この魔物はどうしてかあまり殺したいと思わない。
 素材が持つ魔力は、強ければ強い程、召喚時に生まれる魔物は強くなる。
 アックスビークを殺さずに召喚をするとなると、羽根を引き抜いて召喚を試みなければならないだろう。
 しかし、魔力をほとんど持たない羽根から、俺の召喚魔法を成功させられるのだろうか。
 アックスビークは俺達を見ると、退屈そうに地面をついばみ始めた。
 虫でも食べているのだろうか。
 俺達を襲ってくる気はないらしい。
 ますます殺す訳にはいかなくなった。

「仕方がないな。羽根から召喚を試してみよう」
「それが良いよ。あの魔物は私達を襲ってくる気配もないし、殺すのは可哀想」
「わかったよ。ちょっと待っててくれ」

 俺は鞄から乾燥肉を取り出して、アックスビークに見えるように差し出した。
 すると、アックスビークは恐る恐る俺の方に近づいてきた。
 アックスビークが鋭いくちばしで俺から乾燥肉を取った瞬間、俺は咄嗟に腕を伸ばして羽根を引き抜いた。
 羽根を引き抜かれたアックスビークは驚いてどこか遠くへ走り去っていった。

 俺に手の中に残っている素材は、アックスビークの羽根が三本。
 召喚のチャンスは三回だ。
 俺は早速アックスビークの召喚を試みる事にした。
 素材を地面の上に置いて魔力を注ぐ。
 どうか強いアックスビークが生まれますように……。
 しばらく魔力を注ぎ続けると、素材は弱弱しい光を放ってから、ゆっくりと光を失った。
 目を凝らして見てみると、素材ごと消失していた。

「失敗か……」
「大丈夫だよ。あと二回もチャンスがあるんだから」
「そうだね、もう一度試してみよう」

 俺は再び、羽根を地面に置いてから魔力を注いだ。
 どうか成功しますように……。
 体から両手に魔力を集め、魔力を羽根に注ぎ続けると、羽根は強く光った後、再び消失した。

「駄目か……なんで成功しないんだ!」
「レオン、素材の持つ魔力が少ないんだと思うよ」
「うん、だけど俺はこの羽根で召喚を成功させなきゃいけないんだ」

 最後の羽根を握りしめると、素材からは微量だが魔力を感じた。
 もしかしたら今回は成功するかもしれない。
 いいや、絶対に成功してくれ。
 強いアックスビークを育てて移動手段にするんだ。
 俺は羽根に願いを込めてから地面にそっと置いた。

『アックスビーク・召喚!』

 全力で魔力を込めた。
 体内にある魔力を使い果たすつもりで、ありったけの魔力を込めると、素材からはアックスビークの温かい魔力が放たれた。
 成功だ!
 素材は弱い光を辺りに放ち始めた。
 魔物が生まれる瞬間は何度見ても幻想的だな。
 自分自身の魔力と、元の素材の持ち主である魔物の魔力が融合して、新しい魔物が生まれる。
 しばらく光り輝く素材を見ていると、光りの中からは小さなアックスビークが姿を現した。

「小さいね……」

 リーシアがポツリと呟いた。
 さっき俺達が遭遇したアックスビークは、体長2メートルはあっただろう。
 だが、今生まれたアックスビークはフーガが生まれた時よりも体が小さい。
 両手で抱き上げられる程小さなアックスビークは、生まれてくるや否や、俺の胸に飛び込んできた。

「よしよし……」

 フワフワした白い毛で覆われた頭を撫でると、アックスビークは嬉しそうに目を閉じた。
 随分体は小さいが、召喚は成功した。
 あとは強く逞しい魔物に育てれば良い。
 そのためには栄養が必要だ。
 俺は手持ちの乾燥肉を全てアックスビークに与えた。
 生まれたばかりのアックスビークは肉が好きなのか、もの凄い勢いで食べ始めた。
 そんな様子をフーガは羨ましそうに見つめている。

「フーガ! お前に弟が出来たぞ! 可愛がってやるんだぞ」
「バウッ!」

 俺がフーガに声を掛けると、俺が言いたい事を理解したのか、嬉しそうに返事をしてから、アックスビークの体を舐めた。
 一体俺達パーティーは何を目指しているのだろう。
 人間が一人、精霊が一人。
 それからファイアウルフとアックスビーク、剣と盾を持ったスケルトンが三体と、ロングボウを持ったレイスが二体。
 アルシュ村には巨体のグレートゴブリンが一体。
 凄いパーティーだな……。
 パーティーというより、そのうち軍隊にでもなりそうだ。
 魔物と人間で構成された軍隊か。
 なかなか面白そうだな。

「リーシア、今日の狩りはここまでにしようか。どうやら俺は魔力を使い果たしてしまったみたいだよ」
「そうだね、私は魔法の練習をするよ」
「うん、近くで見ているよ。フーガ、レイス達を連れて獲物を狩ってきてくれないか? なるべくなら人間でも食べられる獲物を頼むよ」

 俺がフーガにお願いをすると、嬉しそうに二体のレイスを従えて森の中に入って行った。
 三体のスケルトンは、今日も野営地の見張りだ。
 リーシアはすぐに魔法の練習を始めた。
 まずはリジェネレーションだ。
 この魔法は対象の体力を継続的に回復させ続ける魔法らしい。
 リーシアは対象を俺に定めて、魔法の杖に魔力を込めた。

『リジェネレーション!』

 リーシアが魔法を唱えた瞬間、彼女の心地の良い魔力を体に感じたが、特に体が回復しているという感じはなかった。
 失敗だろう。
 その後もリーシアはひたすらリジェネレーションの練習を続けた。
 魔力を使い果たすぎりぎりまでリジェネレーションを唱え続けると、フーガと二体のレイスは嬉しそうに獲物を引きずって運んできた。
 運んできたのは大きな白いイノシシだった。
 ホワイトボアといって、田畑を荒らす悪質な魔物だ。

「よくやった! 今日はホワイトボアの焼肉にしよう!」

 俺は早速ホワイトボアの血を抜いてから解体した。
 すぐに血を抜いたからか、肉は比較的臭みが少ない様だ。
 まぁ、多少臭みがあっても問題はないが、なるべくならリーシアに美味しい肉を食べさせたいからな。
 俺はホワイトボアの肉を薄く切ってから調味料を振り、予めファイアの魔法で加熱しておいたフライパンにぶち込んだ。
 ホワイトボアの香ばしい肉の香りが森の中に広がった。

 俺が肉を焼いていると、小さなアックスビークが見上げている事に気が付いた。
 きっとお腹が減っているのだろう。
 フライパンで焼いた肉を少し冷ましてからアックスビークに与えると、喜んで食べ始めた。
 今は体も小さいが、すぐにフーガよりも、俺よりも大きく成長するのだろう。

 リーシアと俺が食べる分の肉をホワイトボアから切り取ると、残ったホワイトボアの肉は、面倒だから適当にサイコロ状に切って焼いた。
 サイコロ状に切った肉は全てフーガとアックスビークに与えた。
 こうして森の中で食事をしていると、父さんやアッシュおじさんとの生活を思い出すな。
 よくアルシュ村の近くの森に入って、三人で協力して魔物を仕留めて料理を作ったものだ。
 懐かしいな……。
 アルシュ村の生活は懐かしいが、今更戻りたいとは思わない。
 俺は念願の冒険者になったんだ。
 コツコツとクエストをこなして地域に貢献しながら名を上げよう。
 まずはCランクの冒険者になるのが当面の目標だ。
 今回のクエストで、魔物を二百体討伐すると、FランクからEランクに昇格出来る。
 きっとこのペースで狩りを続ければ、すぐにEランクの冒険者になれるだろう。

「さて、ご飯も食べ終わったし、スケルトン達と剣術の稽古でもするか」
「私はもう魔力が無いから見学しているね」

 夕食を終えた俺はスケルトン達と剣術の稽古を始めた。
 三体のスケルトンは日に日に腕を上げて、彼等が使うスラッシュの威力はなかなかのものだ。
 細い木なら簡単に切り裂いてしまう。
 やはり、魔物はしっかり育てればいくらでも強くなるんだ。

 俺はスケルトン達に戦い方を教えながらも、自分自身の戦い方を研究している。
 右手での物理攻撃と、左手での魔法攻撃をスムーズに切り替えて戦えるようになる必要がある。
 俺は体力が尽きるまで剣を振り続けると、疲れ果ててリーシアの隣に倒れこんだ。

「リーシア、今日は早めに休もう……」
「そうだね、魔法の練習で疲れちゃったよ」
「うん、俺も今日は召喚魔法のせいで魔力を使いすぎたよ」
「でも、アックスビークが生まれて良かったね。今日は宿には戻らないんだよね?」
「そのつもりだよ。生まれたばかりのアックスビークを連れて宿に戻るのは危険だし、ザラスまでの道で魔物に襲われても危ないからね」
「宿代がちょっと勿体ないかも……」
「確かにね。明日は宿に戻ろうか」

 俺はテントの中に入ると、リーシアの隣に布団を敷いて横になった。
 明日も魔物を狩りまくろう。
 兎に角、今日は新しい仲間が生まれて良かった。
 きっとアックスビークは俺達の移動手段として活躍してくれるはずだ。

「レオン、おやすみ」
「おやすみ、リーシア」

 リーシアは布団の中から眠たそうな目で俺を見つめている。
 彼女の紫色で宝石の様な目は、いつ見ても美しい。
 このままリーシアと二人で一緒に居られたら、どれだけ幸せだろうか。
 早めに寝るとしよう……。
 俺は布団の中に小さなアックスビークとフーガを入れて、抱きしめながら眠りについた。
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