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  秘密の行方 作者:藍流
参:初めての帰郷
木の葉を出て一ヶ月

崖に挟まれた道を歩く四人
薄暗い道、その先には
キラキラとした光の線が延びていた
近づくにつれ、線は太くなり天を突く光柱の様だ
何故か向こう側は見えなかった
光の幕の前で奥を覗くように見るナルト
「まぶしくて何も見えねぇってばよ」
ヤマトはナルトをみて“フフ”と笑い
「ここを抜ければどうなってるかは分かる…行こう」
と呟いた

光の柱をぬけるとそこは真っ青の空と下に街を一望できるほど高い場所にあった街の大きさは木の葉の街の二回り大きいくらい。街の向こうには海も見えた…そして、そこには街の半分くらいはあろうかという大渦と沖側にいくつか小さな渦が見えた
街の建物はオレンジと白で統一され、東側と北側の斜面に立ち並んだ家々は瓦屋根の日本家屋そのままだった
街に向かってのびる階段と坂道は街の北北西辺りにあった
谷間の路と違い街は南国の様に暖かかった

四人はゆっくりと坂道を下り、大階段を下る

街は、階段下は広場のような場所でそこから海に向かって延びる石畳の大通り。
階段を下ったナルトたちは街を見ながら大通りをゆっくり進む
12時頃に着いたその街の入り口付近からは、穏やかな印象を受けた
大通りを少し進んだところ、旅館の前でヤマトが三人を引き止めた
「ナルト・サクラ・サイ、今日はここで宿をとるよ。荷物を置いたら今日は各自、自由に行動してかまわないから、観光なり買い物なりしてきていいよ。」
ナルトたちは返事をし、旅館に入った
チェックインした後、部屋に向かう廊下でヤマトが
「明日の朝から開始するからそのつもりでね」
というと、全員が別々の部屋に入った


ナルトは部屋に荷物を置き、窓を開け街を見ていた

頭がボーっとなる…痛みがあるわけでもなく…

ベットに腰を掛け、そのまま横になる
天井を眺め、目を瞑った




― コンコン ―

サクラがナルトの泊まる部屋の戸を叩く
「いないのかしら?」
とニ・三歩後ろに立つサイに言った
サイはナルトの部屋のに近づき、肩膝をつきドアに耳を当て気配を探る
立ち上がり、振り向くサイ
「いるみたいだよ」
と笑顔のサイ
「寝てるのかしら?」
と言うと腕を組むサクラ
ドアノブを回すと“ガチャ”とドアが開いた
「―――ホント無用心ね」
と呆れるサクラ
部屋に入るサクラとサイ
ナルトはベットに寝転がり、窓の方を向き寝息をたてていた
「ナルト?」
とサクラは声をかけ顔の正面にまわる
どこか幼さの残る寝顔…
膝立ちになり頬杖をつきナルトの顔をじっと見た
ナルトのほっぺたを左手で軽くつまみ、頬が伸びる
それを見て微笑むサクラ
入り口近くでつっ立ってるサイ
「サクラ…里でナルトを起こす時いつもそんな事してるんですか?」
と笑顔のサイ
その声に“ビクッ”となり手を離した
「し、しないわよ。こんなに静かに寝てるのが珍しかったから…」
と顔を少し赤らめ、膨れた
「サイ、アンタもやってみれば?」
テレを隠すように言った時、ナルトが目覚めた
上半身を起こす。
ナルトは寝ぼけながら“サクラ”と小さな声で呟いた
サクラはさっきより赤くなった。呼び捨てなんて初めてだったから少し…
だがナルトは続けて“…色”といったので自分とナルトに腹が立ちグーで頭を殴った
あまりの痛さに悶絶した
頭に手を当ててやっとサクラとサイに気付く
「あれ?サクラちゃんとサイ…何してんの?」
と頭をさする
「迎えに来たんだ」
とサイ
「ナルト、一緒に街見にいかない?」
とサクラが誘う
“ん…”と歯切れの悪いナルト。寝呆けていて頭が回らないようだ
ナルトは目を左手でこすり欠伸をした
サクラは“はぁ”とため息混じりに呆れ
両手でナルトの頬を“パシン”挟む
「で?行くの?行かないの?っていうか来なさい」
と命令する
サクラの威圧を感じ、
「―――はい。わかりましたってばよ」
目をパチクリし、頬をさするナルト

そして、三人は旅館をでた

大通りを街の奥に向かって歩いている三人 サクラ・ナルト・サイ
日が少し傾いた空を見た後、手を上に向け伸びをした
「ナルト、あんた着いて直ぐ寝たの?皆でお昼食べよう思って呼びに行った時、返事がなかったけど…」
左側のナルトの横顔を見ながら問う
「そうなの?俺ってば全然気付かなかったってばよ…」
ナルトは目を細め頭の上で手を組んだ
欠伸をしながらまた空を見て
「今って何時?」
とナルトは聞いた
サクラは空を見上げ、ナルトに視線を移した
「三時半くらいね。旅館に着いたのが真昼だったから三時間くらい寝てたってことね」
と旅館のフロントにあった時計を思い出しながら言った
“ん〜”と唸っているナルトにサイが
「あの夢でも見たの?」
と聞く
「―――いや…見てねぇってばよ?実はあの日以来見てねぇんだってばよ」
「そうなんだ」
とサイは意外だったと言わんばかりに言った
「そういやヤマト隊長は?」
ナルトが二人に尋ねた
「三人で行ってきなってさ。それと8時に宿で夕飯が用意されるから間に合うように帰ってきなって言ってたよ」
サイが微笑みながら告げた
“ふ〜ん”とナルトは欠伸をしながら道行く人たちを眺めた
サクラが足を止め、二人を呼び止める
“あのお店入らない?”とサクラが二人に声をかけた
サクラが指差し向かっていたのは雑貨屋だった
そこには貝や珊瑚など海の物で作られた髪飾りやネックレスなどが店先に並んでいた
髪飾りを手に取り“かわいいぃ”と呟くサクラ
ナルトとサイもしげしげとネックレスやブレスレットをみている
ナルトがドアを開けて店の中に入る“カランコロン”とドアベルが鳴った
ナルトに続く二人
中は海の家のような風合いで、大きい物だと流木でできた椅子やテーブル・服掛けなどがあり、小物は貝などでできた写真立てやテーブルランプ、風鈴(ウインドチャイム)、貝があしらわれた小物入れやピアスなど店の中が品物で埋まっていた
サクラは中でも“かわいいぃ”と連呼していた
奥のレジから若い男がでてきた
「いらっしゃい」と柔らかい笑顔で出迎える
「僕はそこにいるから何かあったら声かけてね」という男
ナルトは男が奥に行く前に呼び止めた
「ねぇ、これってば何?」
ナルトの手に白いまんじゅうみたいな肉厚の石が握られていた
「それは“タコノマクラ”っていってウニの仲間だね。元は黒い物なんだけど真水で洗って漂白するとそんな風になるんだ」
「へぇ…ここにある雑貨ってあんたが作ってんの?」
「うん、ここにあるのほとんどの物が僕が作ったものだよ。まぁ、委託販売もしてるけどね」

“他に質問はあるかい?”という男
そこにサイがそこに寄ってきて尋ねた
「イズナって名前の男を知らないかな?」
「イズナ?ん〜…名前だけじゃな…苗字や歳・背格好とかはわかんないのかい?」
手を顎辺りにあて考えるサイ
「歳はたぶん60歳近いと思う」
とサイが言う
「そうなのか?」
ナルトがサイに聞く
「火影さまの話だとね。前後に十歳の誤差はあるかもしれないけど、このくらいじゃないかな?」
「それってイズナ様のことかな?今は隠居なさってるはずだよ」
「今何処に住んでいるかわかりますか?」
「ん〜確か北区だったなぁ」
“北区?”
と問うナルト
「北の山の斜面に家が建っているのが見えたでしょ?あそこが北区さ。上の方にある屋敷に居られると思うよ」
「そう、どうもありがとう」
サイは作り笑顔で言った
“どういたしまして”と男が笑顔で返した


三人は店を出てまた大通りを歩く。店には一時間ほどいた
サクラの手には少し大きな紙袋が抱えられていた
「サクラちゃんってば何買ったの?」
ナルトがサクラの袋をみて言った
するとサクラは“フフン”とふくみ笑いをして嬉しそうに
「髪留めにネックレスでしょ。それに風鈴の小さいのと大きいの、あとテーブルランプよ」
と数を指折りでかぞえながらいう
「買いすぎなんじゃねぇの?」
とナルトが笑った。それに対しサクラはイラっとしながら
「いいのよ!今日しか買い物できそうにないし」
とかえした

歩いているとオシャレな茶屋があり、またサクラが“はいりましょ?”と言うと、サイとナルトの背中を押した
店に入り品書きをみる『コーヒー・紅茶・ケーキ・アイスジェラート』と項目別に書いてあった
ナルトはそれを見ながら
「種類が結構いっぱいあるってばよ…」
と呟く
「あのジェラートって何かしら?」
とサクラが言うと女の店員さんが答えた
「アイスの一種ですね。でも普通のアイスとはまた一味も二味も違いますよ!」
と薦めてきた
それを聞いてサクラはジェラートを食べる事に決めたようだ

― ジェラート ―“シングル・ダブル・ミックス”
『バニラ・チョコチップ・チョコレート・チョコミント・ミルク・ティラミス・コーヒー・アーモンドキャラメル・キャラメルラテ・ミルクティー・ブルーベリーヨーグルト・シナモン・イチゴ・グレープフルーツ・豆乳・抹茶・小倉・白ゴマ』

「私、アーモンドキャラメルとティラミスのミックス」
「僕はアイスミルクティで」
「なんだよ、サイ。何でドリンクなんだってばよ」
「何でって…僕はお腹へってないし」
「―まいいか。ん〜じゃぁ、俺ってば抹茶と小倉のダブルね」
“はい、できましたら番号でお呼びしますのでお席でお待ち下さい”と店員さんが言い、番号札“11”を渡され、それをサクラが受け取った

店の前にあるテーブルにつく三人
サクラが頬杖をつきながらナルトを見る
「ナルト、アンタもさっきのお店で何か買ってたけど何買ったのよ?」
サクラが悪戯っぽく聞く
その問いをきいてサイもナルトをみた
「秘密だってばよ」とナルトが笑う
「木の葉にいる誰かにプレゼント?」サイが言う
それを聞いてナルトはまた笑った
サイは腑に落ちない感じで
(かんざし)とか女物の小物を買ってたじゃないか?ナルトは使わないだろ?それともそういう趣味があるんですか?」
と言った
ナルトはムッとした表情で“そんな趣味ねぇってばよ”と断固否定したが、サクラに“アンタのエロ忍術はどうなのよ”と横槍をいれられ、“それは別次元の話だってばよ”と訳の分からんことを口走った
一呼吸置き、気を取り直す。
目を細め、腕を組むと空を仰ぐ
「…プレゼントっちゃプレゼントか…。綱手のばあちゃんとかシズネの姉ちゃんにはいつも世話んなってっからな…色んなやつに渡そうかなって思ったんだってばよ」
指で頬を掻きながら照れ笑いのナルト
サクラがナルトをみて驚く
「あんたがプレゼントねぇ…、雪でも降らなきゃいいけど」
とサクラが茶化した
「…俺だってプレゼントぐらいするってばよ…?」
とナルトはうなだれた
「今まで誰かにプレゼント何かしたことあるの?」
とサイは真顔で質問した
目を泳がせるナルト
「そんくらい…あるってばよ…」
と詰まりながら言い返した
「へぇ〜意外だな。ナルトがそんな気の利いたことするなんて」
とサイが笑む


“11番でお待ちのお客様”と呼ぶ声が聞こえた
それを聞き
“私とって来るわね”とサクラが番号札を持って取りに行き、直ぐに戻ってきた

「サイはアイスミルクティね。ナルトは抹茶小豆。」
と手に持ったジェラートとガラスのコップを渡した

サクラとナルトは“おいしい”とか“うまい”といいながら食べ、サイはストローで少しずつ飲んでいた
サクラが通りの方を眺める
「それにしても派手な街ね。建物がオレンジなんてナルトみたいね」
とナルトに視線を移して言った
街はレンガの様なくすんだ色ではなく、蛍光色の強いオレンジ色だった
「いやいやいや、そんなに派手じゃねーってばよ」
「…派手よ。両方とも」
とナルトを見るサクラ
「それを言うならサクラちゃんだって派手だってばよ?ピンクだし…」
サクラを見ながら言っていたが途中から目をそらし、言葉が尻つぼみになるナルト
「ん…?何か文句あんの?」
と睨むサクラ
“いや、何でもないってばよ”とナルトは笑って流した
サクラが何気なく行き交う人を見て呟く
「…髪といえば、この街って紅い髪の人が多いと思わない?」
だがナルトは“たまたまじゃねぇの?”と目を細めながら美味しそうに食べるだけだった

「アイス食べたら何処行こっか?」
とサクラがスプーンで少し溶けたジェラートをすくいながら二人に聞く
ナルトは食べ終わったカップとスプーンを前に、腕を組み“ん〜”と唸る
「…大渦見に行かない?俺ってばちょっと興味あんだ」といつになく静かに言った
サクラがそれを聞いて
「あ、いいわね!渦の国っていうくらいだし」とナルトに賛同する
サイも“いいね”と賛同した

ナルトたちはカウンターに行きガラスカップとスプーンを置き、店員に“ごちそうさま”と言うと海に向かって通りを店先を覗きながら歩いた


浜辺に着いた時もう夕暮れだった
浜に立って三人は渦を眺めた
「……何かすげぇ迫力があるってばよ」とナルトが呟く
「…そうね…国の象徴にするにはぴったりね」としみじみ感じながらサクラも呟く
サイは黙って見ている
15分ほどナルトはオレンジに染まった海を黙って座り眺めた

日が下がり、山の陰にいる二人…
そして、海と浜は夕日が入り、明るい…
後ろに立って海とナルトを見ているサクラとサイ
哀愁すら感じるナルトの背中…
夕日と海で反射された光でキラキラ光る髪

二人は同じ事を想っていた

オレンジの海と金髪の少年…
瞬き(まばたき)をしてしまえば、海に融けて消えてしまうと感じてしまう位の危うさ…
いつもの元気というか五月蝿いナルトとは違い…
“儚い”という言葉すら似合ってしまいそうな…

ナルトが立ち上がり、振り返ると“腹減っちまったってばよ”と微笑んで言った
サクラはいつものナルトの反応に安心した
「あんたが柄にもなく黄昏てるからでしょ」と笑う
サイも笑顔で
「そろそろ旅館に向かおう。ヤマト隊長も待ってるよ」と言った
「おう」と返事をしたナルトは笑った


背景色・文字色は到着した街と海辺でナルトを包む光のイメージ


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